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24年有馬記念を振り返る~横山一家が生んだ並びを生かす完璧な騎乗~
ドウデュース、出走取消
コーヒーを飲んでいた時に第一報を聞いて、思わずむせてしまったよ。コーヒーが違う臓器に入ってしまって、まともに言葉を発することもできなかった。
改めて、無事に出走することの難しさを感じたね。GIで勝ち負けするためにはギリギリのところまで攻めないといけないわけだが、馬はしゃべれないから、その『ギリギリのライン』がどこにあるのか分からない。
ドウデュースが「アカン、ちょっと脚痛くなる気配があるから明日の調教休んだほうがええわ」なんて言ってくれたら楽なのだけれど、この世界はそんなマキバオーみたいな世界線ではない。
ギリギリのところまで仕上げて出してくるスタッフさんたちも凄いし、仕上げに応える馬たちも凄い。
ドウデュースがいなくなったことで中山競馬場の日曜の入場券はキャンセルが続出したんだってな。もったいないよ。プレッシャーと戦いながら調整されてきた15頭を目の前で見られるチャンスなのに。
目の前の当たり前は当たり前じゃない、改めてそう思わせられる有馬記念ウィークだった。
まー、いつまでもドウデュースの話をしても仕方ない。このままマクラでドウデュースのことばかり書いていたら週刊Mリーグが始まってしまう。
予想にも書いたように、今年の有馬記念のポイントはペースと隊列にあったと思う。
☆有馬記念の出走ボーダー
1億5580万円 ダノンベルーガ
1億4200万円 ハヤヤッコ
ーーーーーーー
1億2200万円 カラテ
1億1400万円 ホウオウビスケッツ
1億1300万円 メイショウタバル
昨年は出走決定賞金で1億持っていなかったプラダリアたちまで出られたから、1億以上持っていたのに出られなかったカラテやホウオウビスケッツ、メイショウタバルは不運だったね。
この3頭は賞金だけならレガレイラより持っているんだけれど、有馬記念はファン投票。最初は除外対象だったのにファン投票に救われたレガレイラは出られることになったんだ。
ホウオウビスケッツが除外2番手、メイショウタバルが除外3番手となって除外を食らってしまったことで、誰が逃げるか分からない有馬記念が生まれてしまった。
大外を引いてしまったシャフリヤールが逃げ宣言したりと戦前から心理戦のようなものが行われていたのだが、誰が逃げて、どんなペースになるのか、マスクも若干手探りの状況で迎えた第69回有馬記念だった。
全員知ってたスローペース
やはり今年の有馬記念を振り返っていく中で、最初にポイントとなってくるのはペースだろう。
☆24年 有馬記念
6.8-11.7-12.9-12.4-12.4-13.3-12.4-12.0-11.3-11.4-11.6-11.5-12.1
1100m通過 69.5
残り1000m 57.9
遅い。序盤からこれは遅くなるなと確信する並びだったが、逃げたダノンデサイルが900→1100m区間で13.3というラップを刻んできた。
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中山芝2500mの900m→1100m区間というのが、この黒い矢印のところ。たまに予想にも書くが、中山の芝の上り坂は有名な直線のものだけでなく、1コーナーにも存在する。
そのため1コーナーの上り坂でペースが落ちるなんていうことは珍しくもないのだが、それにしても今年は遅い。
☆有馬記念 過去10年の前半1100m通過タイム
14年 69.8
15年 68.9
16年 67.5
17年 68.1
18年 67.1
19年 64.5
20年 68.6
21年 65.7
22年 67.7
23年 66.4
24年 69.5
過去10年、1100m通過タイムが今年よりペースが遅かったのは2014年だけ。ここ10年で一番速かった2019年リスグラシューが勝った年より5秒も遅かった。
1秒5馬身で考えると25馬身も違う。いかに今年のペースが遅かったかが分かるね。
☆有馬記念 86年以降の1100m通過が遅い順
11年 70.8
90年 70.5
14年 69.8
24年 69.5
一応86年以降の記録も参考に載せておこう。86年以降に限れば4番目に遅いラップだった。2011年の70.8が際立つね。今後これより遅い有馬があるのかどうか。
中には、自分が買った馬が後ろからになって『こんなミエミエのスローなんだから、ハナに行って主導権取れば良かったじゃないか』と思う人間もいるかもしれないな。
有馬に出てくる馬のほとんどはもう競馬を覚えてしまっている。近走後ろから行っている馬が突然先行するというパターンはそうない。メンバー通りのスローになった。
今年考えたいのはここ。ではスローペースなのに楽なレースだったのか、というところさ。
たぶん一般的なイメージで、スローペースは楽なレース、と思われる方は結構いると思う。実際楽なレースは多いのだが、今回の有馬記念に関しては違う。
☆24年 有馬記念
6.8-11.7-12.9-12.4-12.4-13.3-12.4-12.0-11.3-11.4-11.6-11.5-12.1
ラスト1000m 57.9
残り1000mからが57.9だったんだよ、今年は。
これは速い。残り1000mから11秒台だったのはここ10年のうち16年、18年、20年、22年とそれなりにあるのだが、ラスト1000mが57.9より速かったことはない。
86年以降の有馬記念で、ラスト1000mを速い順に並べると、01年マンハッタンカフェの年、そして11年オルフェーヴルの年の57.9が最速。つまり今年は残り1000mからが最速タイだったわけ。
☆11年有馬記念 1着オルフェーヴル
6.8-12.0-12.4-12.1-13.1-14.4-14.3-13.0-12.0-11.9-11.4-11.3-11.3
1100m通過 70.8
ラスト1000m 57.9
☆14年有馬記念 1着ジェンティルドンナ
7.0-11.8-12.3-12.6-12.5-13.6-13.2-13.0-12.3-12.4-11.5-11.2-11.9
1100m通過 69.8
ラスト1000m 59.3
☆24年 有馬記念
6.8-11.7-12.9-12.4-12.4-13.3-12.4-12.0-11.3-11.4-11.6-11.5-12.1
1100m通過 69.5
ラスト1000m 57.9
前述した有馬記念の代表的なスローペースと比べると、今年の有馬の違いよく分かる。
ご覧のように、今年は残り1000mから1F11.3という厳しいラップが入っている。11年は実質ラスト3F勝負だったし、14年も同様。
今年は残り1000mから速い。前半が遅ければ当然後半が速くなるものだが、『スローなのにサバイバル』という状況が生まれる。過去のスローとは段違いに厳しいレースとなった。
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しかも今日は午前中からずっと、北北西のほうから強い風が吹いていた。中山の北北西はこのような形になる。直線はやや向かい風だし、4コーナーは完全に向かい風になる。
強い向かい風区間があるのに残り1000mが86年以降最速タイ。これはたぶん、風がもっと弱かったら最速だった可能性が高い。
実際上がり3F33秒台が6頭もいた14年に対し、今年はレガレイラとダノンベルーガの34.9が最速。
残り600mのヨーイドンではなく、残り1000m断続的に速い脚を使う力が求められた、それが今年の有馬記念だ。
ダノンデサイルハナ、横山家の選択
マスクはだいぶ前にノリさんの奥様とお会いしたことがある。その時に聞けなかったのだが、一体奥様はどういう気持ちで競馬を見ているんだろうなと不思議に思っているんだ。
もちろんご家族の安全を第一に見ていると思う。ただ例えば、長男の和生がハナで、三男の武史が中団にいて、旦那のノリさんが最後方にいた場合、どういう感じでレースを見ているんだろうな。
今年の有馬記念、奥様同様、横山家の出方を気にしていた人間は多かったんじゃないか。数少ない先行できる馬であり、どちらも内枠。この2頭がどのような隊列を組むかで有馬記念のレースの質が変わってくる。
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スタート。水アーバンシックと黄プログノーシスが出遅れた。まー、どちらもこれが初めての出遅れではない。スタートに課題がある2頭だ。
ましてプログノーシスは今回テン乗り。めちゃくちゃ前半部の組み方が難しいとは以前から書いてきた通りだが、この馬で五分以上にゲートを切ってくるほうが凄い。出遅れは仕方ないところがある。
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スタートしてすぐは赤ベラジオオペラ和生のほうが速かったんだよな。半馬身はベラジオのほうが速かった。
ただここで白ダノンデサイルのノリさんが、息子のハナを叩いて先手を主張しにいったんだ。
ダノンデサイルの安田翔師が「逃げる作戦だった」と言うのも分かる。ノリさんがスタートから明確に出していっているし、これが1、2馬身くらいベラジオが前に出ているならまだしも、半馬身程度だと内の馬が主張すればそちらがハナを切るものだ。
つまり内からノリさんが主張した時点で、和生の選択肢は『2番手のみ』となる。何が何でもハナを切らないといけない馬ならまだしも、ベラジオオペラは普段から控えている。
しかも戦前から2500mが少し長いのでは…と言われている馬で、序盤から過度に押してハナを切りにくい。
そして代わりにハナを切ったのがパパとなると、これでもう絡めなくなる。自分の馬が距離長そうなのに、わざわざパパに絡む理由がない。これで隊列が固まったことで、ほぼスローペースが確定した。
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なんてことは当然ジョッキーも分かっている。
先行馬が少ないだけでなく、内の先行馬がノリさんと和生の時点で、ここに競り合いは発生しないと枠順を見た時点である程度推測できる。
上手かったのが水ルメールだ。最初からスローと読んでいるからこそ、出遅れながらも少し出していった。
本来アーバンシックが出遅れた時点で、隣の枠だった黒ブローザホーンのほうが内ラチ沿いを確保し、その後ろがアーバンというのが普通の流れ。
ところがルメールのリカバリーが早く、ブローザホーンが内ラチ沿いを取る前にアーバンシックが内に入る形になった。
今回ルメールは負けたことで結構叩かれているが、出遅れからのリカバリーの早さを見てほしいところだ。気難しく乗りにくいアーバンシックでこれができるジョッキーは少ない。
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ただアーバンシックが出遅れたのは事実で、ブローザホーンもテンは遅かったこと、そして白ダノンデサイル&赤ベラジオオペラの横山親子が内から先行したこと。
これらの要因が重なったことで、内ラチ沿いの一番いいところ、青丸部分が思い切り空いてしまった。
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当然このスペースを埋めないジョッキーはいなくて、一番近いところにいた青スターズオンアースの川田がこのポジションを埋めることになる。
それにより青スターズオンアースの後ろに水アーバンシックという隊列になったんだ。今年の有馬記念、これもまた一つのポイントになった。
シャフリヤール、最悪の中の最善
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外の動きも見てみよう。これまた多くの人間が予想していたことだと思うが、橙スタニングローズがちょっと出していって先行しようとする。まー、そこまで速くなかったんだけれど。
注目は桃シャフリヤールの存在だった。木曜の枠順抽選会で大外を引いたことにより藤原師が川田に散々イジられていた。
余談だがあれは良かった。いいプロレス。話題にもなる。川田を叩く声なんかもあったが、何もなく進行するグランプリが面白いかって話さ。
別に中傷しているわけでもないしね。なんでも目くじら立てて見るもんじゃない。
それはいいとして、確かに昨年スターズオンアースが大外枠から2着になったとはいえ、ここ10年、16番から好走したのはスターズだけ。そもそも86年以降16番は未勝利。
クリスチャンも藤原師も蟹座で、蟹座は枠順抽選会の日のめざまし占いで9位と低調だったのだが、かわいそうに、大外を引いてしまった。
中山芝2500mの8枠不利については昨年も書いたからそちらを参照してくれ。M-1を観ながら書いているのに、そんなところから改めて書いたら終わらない。
ついでに昨年の回顧を読んだところで、昨年のスターズオンアースの乗り方も見てほしい。昨年のスターズは先行してロスを消したが、今年のシャフリヤールは『差し』タイプだ。
枠順抽選会が終わった後に『シャフリヤールハナ宣言』なるものが流れていたが、大外からハナを切るほどテンが速くない馬。逃げはないと見ていたし、さてどう乗るものかと思っていた。
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実際桃シャフリヤールはテンに行けなかった。いや、行かなかったというほうが正しい。
お分かりだろうか。スタートした直後に少し外に飛んでいる。これはだいぶ前、安田記念だったかなんかの回顧に書いたと思うが、大外の馬の外飛びだ。
大外のメリットは最後入れになってゲートの中に入れられている時間が短いことにある。ただ馬はスタートした時に、誰もいない方向に走っていくことがままある。
大外枠は片方に誰もいないから、馬がいないほうに飛んでいってロスが生まれるんだよな。
今回のシャフリヤールのケースもこれに近い。まー、仕方ない話だ。よくある話だし、完全に防ぐのはなかなか難しい。
ここでロスが生まれてしまったこともあり、クリスチャンは先行策も諦めた。手綱をしごくこともなく、ハナどころか前目のポジションを狙う気がない。
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今回シャフリヤールはラッキーだったところがある。能力が足りないのに、という話ではないから誤解しないでほしい。
この馬が強いことはよく分かっている。これを明記しておかないと色々うるさいのがいるものでね。
☆有馬記念の真ん中から外枠
⑨ディープボンド 4-3-2
⑩プログノーシス 3-2-2
⑪ジャスティンパレス 7-7-7
⑫シュトルーヴェ 12-12-12
⑬スタニングローズ 4-4-2
⑭ダノンベルーガ 7-9-7
⑮ハヤヤッコ 15-15-15
⑯シャフリヤール 7-8-8
右の数字は前走の位置取りであって、それぞれの電話番号の下3桁ではない。
頭の中でイメージしてみてほしい。ディープボンド、スタニングローズはそれまでもある程度出していっていることを考えると、この2頭は先行策に出ることが濃厚だ。
プログノーシスは2番手から運んでいるが、これは奇跡的な話であって、基本的にスタートから遅い。
ジャスティンパレス、シュトルーヴェ、ダノンベルーガのテンが速くないのは過去のレースからも明らかで、ヤッコはもう言わずもがな。
確かに与えられた枠は8枠16番。これは事実。ただし自分より内の馬たちが軒並みテンに行けないと考えると、シャフリヤールのテンの速さでも中団くらいにはつけられる、と考えられる。
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実際桃シャフリヤールはそこまで後ろではないポジションにつけられたんだけど、真ん中から外でシャフリヤール以外の7頭中、3頭がシャフリヤールより後ろだったんだ。
これによりクリスチャンは過度に外を回らなくて済むことになった。近くの馬がもっとテンが速ければ、クリスチャンは更に外を回っていた可能性がある。まー、そうしたらもっと出すか、もっと下げてロスを消したかもしれないが。
しかもクリスチャンの前は橙スタニングローズ。ジョッキーは世界的名手R.ムーア。強い馬の後ろと、上手い騎手の後ろはいいポジション、もう過去の回顧でミミズがタコに食べられるくらい書いてきた。
間違いなく大外枠は良くはない。ただ考えられる最悪の状況にはならず、『大外でもまだいい状況』だった。
遅過ぎるペース、我慢できないヤッコ
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1周目の直線。前述したように白ダノンデサイルノリさんがハナで、番手が赤ベラジオオペラ、ジョッキーは長男。動きのない隊列でスローだ。
3番手がもっと動いてくる馬ならまた話は変わったと思うが、黄ディープボンドは『客観的に見て』、全盛期の力はない。ポジションを動かさず、3番手キープとなる。
☆24年 有馬記念
6.8-11.7-12.9-12.4-12.4-13.3-12.4-12.0-11.3-11.4-11.6-11.5-12.1
1100m通過 69.5
1周目の坂上から1コーナーにかけた区間はこの太字の部分。12.4-13.3とだいぶ遅い。
この流れに我慢できず、上がっていった馬がいる。201色目の白、ハヤヤッコだ。
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ヤッコさんも8枠15番とかなり厳しい枠を引いたが、外を引いたことで内に入れずハミを噛み気味だった。
流れがあまりに遅いものだからもう抑えきれず、2周目の1コーナーから上がって行ってしまったんだよ。
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ここまで書いて思ったのだが、ハヤヤッコを白毛だからって理由で白矢印をつけたものの、すると今回1枠白帽ダノンデサイルは何色にすればいいんだという疑問が湧いてしまった。
後のことを考えずに矢印を打つとこうなるという大変悪い例だと思う。とりあえずもう少し色が増えてほしい。選択肢に茶色もないんだよ。
ヤッコもまくりたくてまくっているわけではない。抑えきれないまま上がっていってしまっただけで、その中で先頭を潰しに掛かるとレースも壊れてしまうから、そこまでは行かない。
ベテランは分かってるから、潰し切らないところで止める。レースを壊さない。まくりを悪といっているのではなく、意図と違う動きだから攻め切っていないという話だ。
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このヤッコの中途半端なまくりのような動きで、より困ったのは緑ジャスティンパレスのあたりだ。
5着ジャスティンパレス 坂井騎手「ゲートはうまく出られましたが、ペースが遅くて動けるポジションを取れなかったです。力はあるので最後は脚を使ってくれたのですが」
レース後瑠星はこんなことを言っていた。まー、そう言いたくもなる。画像見て分かるように、外がガチガチに固まっている。
橙スタニングローズのムーアと、桃シャフリヤールのクリスチャンは内を締め切っているし、赤ローシャムパークは頭を上げて引っかかっていてもうまくるとかそういう問題ではなくなっている。
ドン・キホーテにこういう被り物売ってるなと一瞬思った。学園祭とかでこういうの被ってるヤツ、一人はいるよな。
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それはいいとして、ただでさえ外の外国人たちが内を締め切っているのに、そこで外からヤッコが動いていってしまっては、下がるヤッコのことも考えないといけないから外は簡単に動けない。
仮にこの隊列をまくるとしたら、ヤッコの更に外だろう。スローペースでそんなに外をまくるわけにもいかない。
閉じ込められている緑ジャスティンパレスあたりはもう他力本願だ。誰かがまくってくれるの待ちだが、外に出そうにも黄シュトルーヴェは桃シャフリヤールの後ろで我慢しているから出せないし、展開が動く気配がない。この時点でだいぶ厳しい。
上手過ぎた戸崎、完璧なポジション
外が固まったことで差し馬がなかなか上がれなくなったという話をここまで書いたが、さて、ここまでまだ、勝ち馬レガレイラのレの字も出していないことに気づいた。
レース直後も絶賛したが、今回のレガレイラ戸崎の動きは本当に素晴らしかった。絶賛するところしかない。
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まず素晴らしかったのが前半の組み立て。青レガレイラはゲートは五分だったのだが、そこから出していって、赤ベラジオオペラの後ろ、4、5番手までポジションを上げていったんだ。これが凄い。
☆レガレイラのポジション
新馬 5-6-6-5 9頭立て 出遅れ
アイビーS 3-3-3 6頭立て 出遅れ
ホープフル 14-14-11-10 出遅れ
皐月賞 14-15-14-13
ダービー 10-11-14-13
ローズS 15-15-15-15 出遅れ
エリザベス 8-8-9-10
考えてもみてくれ、レガレイラがこれまでそんな競馬したか?よく出遅れて、加速もつかない。外を回って最後は届かないなんていう時もあった。
そんなレガレイラがスタートを決めて、4番手付近を走っているなんてそれは想像していなかった。買ったが、こういうイメージで買っていなかったからマスクは驚いてしまった。
そりゃスローペース濃厚なんだからある程度前目にいたほうが有利だ。それもあって出していったのは分かるが、レガレイラでここまでポジションを取れるとは。
Xに『1周目4コーナーで引いた』と書いたが、これは前述した内容から書いている。スタニングローズより前にいるとはなあ。
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1コーナーで外からヤッコが上がっていったのも、青レガレイラにとってはプラスだったね。
桃ハヤヤッコが1、2コーナーで外から上がっていくだろう。当然まくられたくない赤ベラジオオペラは少しぺースを上げて、外を止めに掛かる。
するとその後ろにいる青レガレイラは、スローペースの中でも前の馬がペースを上げてくれるから進路を作りやすい。
加えて白ダノンデサイルが自力でペースアップしたのも良かった。
ノリさんの逃げ方で多いのが、序盤や中盤に一度息を入れた後に早めに踏み込む逃げ。
☆98年 有馬記念
7.1-12.0-12.9-11.3-11.4-12.5-12.5-12.2-11.6-12.2-12.3-12.5-11.6
これは98年、グラスワンダーが勝った有馬記念だ。逃げてラップを作ったのはノリさんが乗った1番人気セイウンスカイ。
大逃げに近い形の逃げを打ったんだけれど、大逃げに近い形なのに残り1000mから11.6を踏んでいた。早めに踏んで後ろに脚を使わせるという、よく見る形の逃げを今回も踏襲してきた。
☆24年 有馬記念
6.8-11.7-12.9-12.4-12.4-13.3-12.4-12.0-11.3-11.4-11.6-11.5-12.1
1100m通過 69.5
今回も残り1000mから11.3とかなり速いラップが入っている。残り1000m地点というのは向正面半ばにあたる。
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この青矢印のところ、下り坂が終わった部分な。向正面というのは他馬がまくってくるところだ。しかしここでペースアップすれば後ろは簡単にはまくれない。
逃げ馬に乗っている時、後ろで誰が動いているかなんて分からないんだよな。ジョッキーカメラを見ながらレースに乗っているわけでもなしに。
ノリさんや武さんは向正面、まくられやすいスポットであえてペースを上げて、後ろも見ずに後ろの動きをコントロールすることが多い。今回もそんな意図を感じるラップだった。
前述したが、同じくスローだった2014年は残り600mから一気にペースアップしている。
残り600m地点は大体3コーナーの終わりあたりだが、レガレイラはビュンと切れるというより追って更に伸びていくタイプだから、直線まで一団で進んでからのヨーイドンは怪しい。
ノリさんが向正面からペースアップしてくれたおかげで、上がりが速くなることはなくなった。これでレガレイラが切れ負ける可能性が下がる。
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白ダノンデサイルのノリさんが早めにペースを上げたことで、レガレイラにはもう一つプラス材料が生まれた。それがこの3コーナー。
お分かりだろうか。向正面までインの好位、白ダノンデサイルの真後ろにいいた黄スターズオンアースが早くも脱落している。
スターズはこの中間も状態が上がらず、まるでいい時のデキになかった。いくらスローペースの好位を追走したとはいえ、残り1000mからペースを上げられたら当然苦しくなる。
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スターズが下がってしまたことで、4コーナーのあたりでは内、青丸で囲んだあたりにスペースができるわけ。
レガレイラにとって幸いなことに?、左前は客観的に見てこの後垂れていく可能性のほうが高い黄ディープボンドだ。自分の内にはスペースが空いているし、外もディープボンドがいるから簡単に割れる。
序盤が超スローだったから、白ダノンデサイルと赤ベラジオオペラは簡単には下がってこない。
まー、両面待ちのようなものだ。内でもいい、外でもいいという状況で、選択肢が複数あるからギリギリまで脚を溜められる。溜めて、あとは直線どちらかに開くスペースを突けば上がり。
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結果、下がっていった黄ディープボンドのいたところを抜けてきた。ギリギリまで内目で脚を溜めていた54kgはさすがにずるいよ。
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桃シャフリヤールのクリスチャンも、道中の運びは大外を考えればかなり良かったほう。ただ一つ、もったいなかったのは前が白ヤッコだったことだろう。
これも客観的に見て、だが、ハヤヤッコが掛かりながら外を回り、更に伸びることは基本的にない。すぐに下がってくる。
すると桃シャフリヤールは白ハヤヤッコの更に1頭分外を回る必要がある。さすがに上から飛び越えるわけにはいかんだろう。池谷直樹じゃあるまいし。
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実際桃シャフリヤールはそういう進路を取らざるをえなかった。内目でギリギリまで脚を溜めていたレガレイラに対して、外から上がっていくシャフリヤールのロスは大きい。
まー、大外枠の時点でこれは仕方ない。それを含めて中山の2500mの大外だ。こういうことがあるからみんな嫌がる。
ここ2年大外が好走したことで来年以降も16番は注目されそうだが、そもそも不利であることは覚えておきたい。
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桃シャフリヤールも4コーナー2列目まで押し上げてきたんだけどな。こちらが58kgに対して、青レガレイラは内目で溜めた54kg。しかも抜け出すところがあったから、スムーズに抜けてきた。
どっちが有利かは書くまでもないだろう。レース後クリスチャンは「最後の100mあたりでちょっと苦しくなって、モタれるところがありました」と話しているのだが、若干強引になってしまった分が最後に出た。
仕方ない。やれることは全部やった上での結果だし、ハヤヤッコが早めに下がってくる以上仕掛けも待てない。
結局のところスタートを決めてポジションを取って、いいところで溜めた戸崎が上手かった。俺もまさかレガレイラでこんなことができるとは思わなかったよ。本当に驚いた。
ルメールの憂鬱、自分で競馬を作れない馬
競馬は逃げ馬が有利。なんて言葉、聞いたことないか。
厳密に言えば若干語弊はあるところだが、逃げ馬と後ろから行く馬だったら前者のほうが有利だ。だって逃げ馬は詰まらないから。
まー、カラ馬が先頭に立ったりして稀に詰まる可能性はあるかもしれないが、基本的に逃げ馬は誰かに詰まったりしない。もちろん突っかけられたりするところはあるがね。
対して後ろから行く馬は展開に左右されるリスクがあるし、詰まるリスクだって出てくる。
特にアーバンシックのような乗り難しい馬にGIで乗るのは大変なんだろうなと心から思うよ。
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水アーバンシックが出遅れを上手いことカバーして、ある程度中団まで行ったというところまではもう書いたと思うが、同時に、青スターズオンアースが内のスペースに入ってきた、という話はしたと思う。
これ、スターズオンアースが完調だったら今年の有馬はまた話が変わったんだろうな。絶好位だっただけに。
しかし今のスターズは絶好枠を生かせる状況ではない。画像は2周目3コーナー入口だが、ルメールとしてはもう手応えが怪しい青スターズの後ろより、まだ手応えがいい赤レガレイラの後ろに行きたい。
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しかし緑ジャスティンパレスが隣にいた。簡単にルメールを行かせるわけにもいかないし、少し締め気味の追走になる。
アーバンシックからするともう1列前が最高なんだろうが、元々ゲートが難しい馬だけにこのポジションは仕方ないところだ。
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いとこでほぼ同血の青レガレイラがスタートを決め、内目好位を立ち回っているのとは対照的だ。
下がった黄スターズオンアースのポジションを上手く使えた青レガレイラに対して、水アーバンシックはスターズが邪魔で加速がスムーズにいっていない。
スターズオンアースという馬は内にモタれてラチに頼るところがあるから、スターズの内が空くことはほぼない、なんていうのは昨年このレースで乗って2着になっているルメールもよく分かっているだろう。
しかし外はジャスティンパレスがついているし、この時点で後手に回ってしまっている。
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水アーバンシックがようやくスターズオンアースを交わした時には、青レガレイラはもう前を捌くだけというところまで来ていた。
結局スタートなんだよな。スタートを決められたレガレイラと、決められなかったアーバンシックの差が出てしまった。
まー、スタートを決めようがたぶんスターズはアーバンシックの前に来たと思うが、アーバンがジャスティンに締められることはなかったろう。
結構ルメールが叩かれているようだね。正直、だったらどうすれば良かったの?としか思わない。
スタートが難しい、気性が難しいという乗り難しい馬だ。内から上がらず、後方で待機するか?スローペース濃厚なのに?という話も出てくる。
並びが悪かった。毎回自分の形にならないのが差し馬。そうやって割り切るしかないんだよな。
来年の競馬、伸びしろと適性を探る
6着アーバンシックの話をこのまますると、まだまだこれから。身体は成長してきているように思うが、気性はまだこれから成長する余地はある。
というか現段階の身体、精神レベルでもうGIを勝っているのが凄いわけで、能力の高い馬だ。
今日のレースを見ていてももう少し広いコースのほうがいいんだろうな、現状。もう少し精神面が成長すれば春の天皇賞で考えたい馬。広いコースとはいえ天皇賞秋になるとだいぶぺース次第だ。
同じく3歳ダノンデサイルは、残り5Fから11秒台を踏むラップで、しかも4個ーナーから向かい風になる厳しい条件の中、レース上がり5F推定58秒ちょっとで走り切っている。十分頑張っている。
ネットの広い海にはスローで逃げたのに残れないなんて、というご意見も見られたが、今年の有馬はスローの毛皮を被ったサバイバルレース。残れたことを褒めるレースだ。
調教師は「ダービーの頃に比べると若干なくしているものがある」、「これからの期待感よりも自分としては危機感の方が強い」とレース後話しているが、前者に関しては序盤スローでも粘り切れなかったことを言っている感じはある。
まー、これに関しては何度も書いているように、序盤はスローでも厳しいレースだからそこまで悲観することはないと思っているんだけれど、調教師が現状に満足せず危機感を抱いているのは心強いね。
この馬、完成は来年以降だ。まだまだ成長する余地があるし、危機感を抱いた陣営がここからダノンデサイルという馬をどう作ってくるのか楽しみ。
インの好位で溜めたほうがより持ち味は生きる感じはある。現状全体的に85点出してくるタイプという感じで、直近買いたいのは大阪杯か。ドバイだとちょっと疑問はあるね。
同じく85点ずつ出してくるタイプなのが4着ベラジオオペラ。競馬が上手いから、当然上手さが生きる小回りが主戦場になる。
来年で言えば大阪杯、宝塚、そして年末の香港カップ。今日はほぼ完璧な形で最後止まったように、和生の言う通り2500は長い。体型からして2000くらいが向いている。
レースが上手いっていうのは大きな武器。外枠からどうするかなどそういう諸問題はあるが、短縮の大阪杯で期待したい。ドバイ、行かないよな…
5着ジャスティンパレスはレースが下手というわけではないんだけれど、今日のように序盤スローでフタされると持ち味が生きないね。スタミナが生きる形に持ち込めるかどうか、つまり自分のゾーンがある。そこに入ればまだやれる。
つまりそれは阪神大賞典であり、天皇賞春ではないかな。ここから急激に伸びるとは思わないが、ここ数走の詰め切れない着順は適性の問題。
懸念していた短所が出てしまったのが7着ローシャムパーク。途中画像を見てもらって分かるように、今回も掛かってしまっていた。
ブリーダーズCターフはルメールがなんとかごまかして持たせていたが、2400以上だと当たりの柔らかいタイプのジョッキーでないと難しいことがはっきりした。
最近前半から掛かり出すことが多いだけに2000前後かな。次は大阪杯にぶっつけだろう。宝塚は折り合いによる。
だいぶ馬が良くなっているから、適条件ならというところ。2500くらいになるとルメールとか、そういうキャラで。
8着スタニングローズはこれが引退レースだ。素晴らしい仕上がりだったな。秋華賞が一番良かったと思うが、それに近いレベルにあったと思う。ラストランでここまで上げられるスタッフさんたちが凄い。
適条件が少なかったり脚をやったりと色々苦労もあった馬だが、結構いい繁殖になると思っている馬。頑張ってほしいね。
繁殖入りといえば14着スターズオンアースも、近いうちに次の話が出てくるだろう。能力だけならGIをもっと勝てるだけのものがあった。
乗り難しかったり、仕上げにくかったりでGI2勝に終わったが、繁殖としてとても期待している。ブリックスじゃありませんように。
10着シュトルーヴェは一線級との差を感じたレース。デキも良かったんだけどな。シャフリヤールに離されたように、ゆったりした流れだと一線級と少し差を感じる。もう少し流れてほしい。
日経賞くらいなら能力で何とかなると思うが、その先となるとちょっと敷居が高そう。夏にちょっと弱いだけに宝塚は状態次第。来年の今頃は香港ヴァーズを走っているんだろうなあ。
かなり乗り難しいことがネックの11着プログノーシスはたぶん春、香港だろう。この前香港カップを勝った強いのがいなければワンチャン。能力はGI勝てるレベルなのだが…。2500も少し長い。金鯱賞、香港共に期待している。
13着ディープボンドはお疲れさまでした。GIを勝つには決め手が少し足りなくて、それだけに全盛期の時にもっと色々なジョッキーを試して、可能性を広げてほしかった馬だ。
ただそれはもう終わったこと。違うジョッキーなら勝てるほど決め手があったかというと疑問なところ。今はただお疲れ様という気持ち。脚もそろそろ金属疲労でしんどい頃だろう。無事に現役を終えることが難しい世界だ。誘導馬になれて良かった。
種牡馬入りさせてほしいという声も多いようだが、種牡馬は繁殖牝馬がいて成立するものだ。ノースヒルズは自前の種馬が多いだけに簡単に種馬にするわけにもいかない。需要と供給面の話になってくる。誘導馬になれるだけいい。
2着シャフリヤールはただただ頑張ったという言葉しかない。最後止まったとはいえ、この形で4kg差の牝馬相手にハナ差2着。6歳、海外帰りでここまでやれるのは尊敬に値する。
昔断続的に流れたハイレベル毎日杯を勝っているように、残り1000mが断続的に流れた今回の有馬に適性があったとも思っている。
先々種馬になると、兄のアルアインとは違ったタイプの種牡馬になりそうだ。アルアインより父が出ている感じ。消耗度が高くなっている今の競馬で3歳から6歳までトップレベルにいられるって、本当に凄いことなんだよなあ。
急成長、レガレイラのこの先を考える
しかし驚いたのは1着レガレイラだ。能力のある馬ではあったが、前述したように今回のような形の競馬ができるとは思わなかった。
前走のエリザベス女王杯も馬群の中で競馬していたが、今回よりも1、2列後ろ。抜群に切れるわけでもなく、スタートが悪い中で置かれて届かない、なんていうのが3歳春までの形。スタートが安定してきたね。
スタートを決めて前に行けた一つの要因として考えられるのは、ゲートへの慣れの他に、段違いに柔らかいパドックを見せていたこともあるのでは。
秋初戦のローズSパドックはXに書いていたように8割5分、いや、そこまで達してないレベルだった。
秋初戦だしそんなもんでもいいと思うのだが、返し馬でもパドックでも硬い。それがエリザベス女王杯ではマシになり、今回の有馬ではもっと良くなっている。
ローズのパドックと比べてほしい。今回の有馬とはパドックの柔らかさが違う。今回は前脚がちゃんと出て、身体が前後で連動して歩けている。
本当に素晴らしいパドックだった。すぐにこれはいいなと思えるほど、ここ最近とは違う。秋3戦目でここまで上げてくるかと思ったね。
前が柔らかくなったことでより出脚がついた可能性は結構あると思うんだよな。もちろんジョッキーの扶助も上手かったわけで、パドックが全てとは思わないが、良化度は著しい。
先週の追い切りでちょっとトモが流れていたからどうかなと思ったが、ハードに追ったことで馬にスイッチが入ったのかもしれないな。この短期間でここまで変わるか。
担当はイクイノックスと同じ助手さんなんだけれど、イクイノックスもひと夏超えて一気に上昇していった。その姿が少しダブる。腕利きだな。
正直、今回は全てが上手くいった部分はある。前述したように戸崎が完璧の上に完璧を重ねたような素晴らしい騎乗があったのが第一。
元々上手いのだが、序盤からここまで攻めて、4コーナーで冷静に追い出しを待つまで全て120点満点のような騎乗。ここまで上手くいくことはそうないのではないかな。それくらい凄かった。
有馬記念に限れば、マスクの記憶にある限りトップクラスの好騎乗だったと思う。あの動きをレガレイラでやったのがまたポイントが高いんだ。
まー、間違いなく54kgはプラスだった。これが次以降牡馬相手に2kg差になってくるし、ドバイに行ったとしてもちょっと疑問が残るところ。もちろん宝塚やエリザベス女王杯なんていうレースでは買いたいけどね。
何度見ても凄いのは騎乗だけではない。その血統もそう。
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同年に、いとこ同士でレガレイラ、アーバンシック、ステレンボッシュとGI馬3頭が出てくるのは今後破られない記録じゃないか。
ウインドインハーヘアがもう3代前だからな。少しずつ遠くなっているのに、同時に3頭もGI馬が出るとは。
まだ3歳馬だから今話すことではないかもしれないが、ステレンボッシュといいレガレイラといい、血統的に繁殖としても楽しみ。
いつの日か、今度はレガレイラの子どもとステレンボッシュの子どもが同時にグランプリで走っているかもしれないし、その2頭を倒すのがアーバンシックの産駒かもしれない。
なんて、そんなことを考えられるのも競馬の面白いところだし、この血統の活力を考えるとあながち無理な話ではない気もするよ。
話は冒頭に戻るのだが、レガレイラは当初除外対象だった。
☆有馬記念 ファン投票関係なしの出走ボーダー
1億5580万円 ダノンベルーガ
1億4200万円 ハヤヤッコ
1億2200万円 カラテ
ーーーーーーーー
1億1400万円 ホウオウビスケッツ
1億1300万円 メイショウタバル
1億900万円 レガレイラ
あくまで単純に賞金順に並べるとこうなるんだ。本来であればレガレイラは出られない。
ただ有馬記念はご存じの通り、ファン投票の上位10頭に優先出走権が与えられる。レガレイラは13位。これは上位9番目で、こちらがカウントされて出走に漕ぎつけた。
JRAの今年の有馬記念宣伝テレビCM、観た人間はいるだろうか。
これなんだけどな。いや、長澤まさみが可愛いって話をしたいんじゃないんだ。可愛いんだけど。
このCMで「みんなが投票する1票で出走馬が決まる有馬記念」、「有馬記念はみんなで作る特別な舞台」というセリフがある。
正直有馬記念のファン投票上位馬なんて基本賞金持ちだから、別に投票がなくても出走できる。
このCMを見ながらマスクは、『言うほどみんなで作るレースか?』と思っていたんだよ。
ところが今年、ファン投票がなかったら出走できなかったレガレイラが優勝した。ああ、今年のサインはこれだったか。
CM通り有馬記念はみんなで作るレースだったな。すまんJRA、マスクが間違っていた。