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【日本ダービー/東京優駿2024】東京芝2400mの特徴と馬場傾向(トラックバイアス)

日本ダービー/東京優駿の好走傾向=先行有利

日本ダービー(東京芝2400m) 過去5年好走馬直線進路

直線平均進路:8.3頭目÷大外平均:13.4頭目=馬群内直線位置:62%
4角平均位置:7.4番手÷出走平均数:17.8頭=馬群内道中位置:42%
好走馬上がり3F平均タイム=33.98秒

全てのホースマンが目標とする、日本競馬界において最高峰のレース。歴史があって格式の高い日本ダービーはここで結果を残すことが最も名誉なことであるといってもおかしくない。
レースの傾向は直線真ん中よりやや外側に平均があり、脚質はやや前目。過去はかなり強いバイアスが存在し、“4角でこの辺りにいないと勝てない”という意味の「ダービーポジション」という言葉が存在した。しかし近年は傾向がマイルドになっている。

クラシックディスタンスのチャンピオンコース

東京芝2400mはオークス、日本ダービー、ジャパンカップと由緒正しい歴史のあって最高峰の馬が集うレースで使用されるレース。日本の競馬界において特別なコースであり、生産時点からこのコースに照準を合わせているため、この舞台で好走する事が最も名誉なことであるとも考えられる。
コース自体はぐるっと周回するためコーナーが多く、向正面や直線が広く長いことからレイアウト由来で極端な有利不利は生まれにくい。格式高いレースが行われるにふさわしいフェアなコースと言えるだろう。

内枠がやや有利

日本ダービー過去10年枠順別成績

日本ダービーのデータで最も有名なのは「内枠有利」だろう。過去10年の枠順別成績を見ると、1~3枠の複勝率がそれぞれ高い。全ての中では6枠が最も数値が高いが、その前後である5・7枠の数値が伴わないため、内外での傾向ではなく偶発的なものだと考え、素直に内枠有利と解釈して良いだろう。

東京芝春開催コースマネジメント

1番の要因だと考えられるのは、コース替わり初週であることだろう。元々スタートから1角までの距離が短い上にコーナー4つのコースであるため自然と内を走る=スタートから直ぐに内を奪いやすい=内枠に有利性の高い性質があるが、それに加えてラチ沿いが綺麗な馬場状態であれば、必然的に内枠有利になりやすい。

先行有利は健在

日本ダービー過去5年好走馬位置
(二重下線は単勝10倍、丸数字は単勝20倍以上)

脚質はこれまでの傾向通り先行有利が健在。過去5年の好走馬で最も多いのは4角2~5番手で7頭/15頭。しかもその内3頭は単勝20倍以上の穴馬なため、戦前注目されていない伏兵馬はこの辺りに位置していることが多い。

日本ダービー先行好走馬前走位置

どの馬が「現代版ダービーポジション」に位置できるのかを戦前に推測すればいい馬券が獲れる確率が高まるわけだが、結果的にそのポジションを奪った馬たちの前走脚質が先行位置に限っているわけではない。距離の延長短縮で法則があるわけでもない。なかなか糸口が見えないが、違った視点で探ってみる。

日本ダービー先行好走馬前走位置 (枠付き)

ダービーポジションを奪っているのは比較的内枠の馬が多いが、やや外めの5~6枠でもポジションを奪えているのは内枠に先行馬がおらず外枠の馬が前の位置を強行しているパターンが多い。結果的に中枠でも比較的スムーズに内先行位置を奪えていたのではないかと考えられる。

シン・東京適性

東京競馬場のイメージは直線が広く長い、そして馬場状態が年間通して安定して崩れないことからも「パンパンの良馬場」「時計の速さ」「切れる脚が問われる」といった印象が持たれがち。
しかし、近年は東京が他の競馬場と異なる性質を持っている。

主場4競馬場年間平均含水率/クッション値(2023年)

主場と呼ばれる東京・中山・阪神・京都の含水率とクッション値を平均にしてみた。含水率は馬場が重たくタフと言われてきた中山・阪神よりも高く、反対にクッション値はそれらよりも低いため、東京は「馬場が重ためであまり弾まない」といった事が数字上で証明ができる。

日本ダービー好走馬新馬・東京(~2歳冬)成績

実際に近年の日本ダービーで好走をしている馬の多くは新馬戦を東京、馬場が傷みやすく回復しにくい新潟、水分量が多い札幌(≒北海道)といったいわゆる重ためタフなコース、またこれら以外のコースでデビューしても3歳冬までに東京開催の重賞競走で結果を残して馬場的な東京適性を証明している。
中山や関西圏の競馬場でしか結果を残していない、東京で結果が奮わない馬はこれまでのレースで結果を残していても、馬場適性的に合わない可能性もあるだろう。

「東京の馬場は重たい」というこれまでの感覚とは違った新しい東京の印象を持って予想を組み立てるといいだろう。

当週の馬場傾向

<トラックバイアス>
2019年 土曜:5.2/日曜:5.4
2020年 土曜:5.1/日曜:7.8
2021年 土曜:4.4/日曜:3.1
2022年 土曜:6.5/日曜:6.3
2023年 土曜:5.1/日曜:5.1

※数値はその日の3着内馬がL1Fで内ラチから何頭分離れた場所を走ったかの平均値

Cコース初週で最内から6m離れたところに仮柵が設置されるため、前週までのBコースよりと比べて数値が低下し「内有利」が顕著。日本ダービーが内有利というイメージを持たせてしまうほど傾向が強いため、今年も例年通りの馬場傾向なら内有利が基本だろう。

注目馬

◎ジャスティンミラノ
ハイペースだった皐月賞は大逃げに打ったメイショウタバルの演出したラップであり、実際はそこまで強烈な前傾ラップではないものの、ほぼイーブンペースを押し切っての勝ち方は圧巻だった。
東京デビュー、東京重賞勝ち鞍ありは馬場適性の観点でクリア。あとは初の2400m、おそらく前半ある程度流れた上での後半は長くいい脚が求められる底力勝負の高いクラスでのレースで本来の実力を発揮できるかどうかが鍵となるだろう。
人気を背負う立場ではあるが、実力は世代屈指なだけに安易に逆らうことは難しい。

アーバンシック
後半の鋭い脚は長らく評価されてきており、皐月賞を負けた時点で「ダービーで巻き返す馬はこれだ」と囁かれてきた馬である。東京芝2000mの百日草特別では最高12.2秒の速いラップを刻み続けながらも終いは11.7 - 11.5 - 11.3と加速ラップでまとめながらの勝利。2歳秋時点でタフに変異し始めた東京の馬場を優秀なタイムで勝利しているあたりは実力高と適性有の証だろう。得意なコースに戻って着順を上げる可能性は十分あり。

コスモキュランダ
皐月賞②着と立派な成績を残しながらもフロック視されているのか、今回もあまり人気していない。この馬の真価は前走よりも2走前・弥生賞ディープインパクト記念(以下:弥生賞)にあるだろう。
弥生賞は例年前哨戦的な要素が強く、中盤のラップが緩んで終い勝負になりやすいことからレース自体の評価を高めることが難しい。しかし今年は

<2024>
12.5 - 10.7 - 12.0 - 12.8 - 12.4 - 12.2 - 12.1 - 11.7 - 11.4 - 12.0
<2014~2023 Ave.>
12.5 - 11.3 - 12.2 - 12.6 - 12.7 - 12.4 - 12.3 - 12.0 - 11.5 - 12.0

という4F目だけが緩んで、その後は流れた展開となった上ラストも極端な加速点がないことから底力が問われるレースとなった。L5F 59.4 / L4F 47.2 という長くいい脚を使って勝利しているところはレベルの高さが感じられる。
また、新馬戦は芝が重ためな東京で下され、未勝利戦突破は馬場が傷みやすく同じく馬場が重ためな新潟であることも例年の日本ダービーで好走するパターンに該当する。

★最終予想はX(旧Twitter)で公開予定です。


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