【福島牝馬S2024】福島芝1800mの特徴と馬場傾向(トラックバイアス)
福島牝馬Sの好走傾向=(差し)有利
直線平均進路:5.6頭目÷大外平均:10.0頭目=馬群内直線位置:56%
4角平均位置:4.8番手÷出走平均数:13.8頭=馬群内道中位置:35%
(1角平均位置:7.4番手÷出走平均数:13.8頭=馬群内道中位置:54%)
好走馬上がり3F平均タイム=34.94秒
春の古馬牝馬のローカル重賞。脚を溜めて直線でキレ脚を発揮する馬が多い牝馬にとって、小回りのこーカルコースで、しかも芝が特徴的である福島となればクセが出ないわけがない。
好走馬の直線平均進路は馬群に対して56%と内ではなく内外差無~外有利。毎年1頭が逃げ粘るような馬がいるため数値が抑えられている。しかしながら映像などの印象では外を走った馬が多く好走しているように感じるだろう。
脚質は4角平均だと前から35%で先行有利に感じるが、最初となる1角ならば54%に増加するため序盤の位置から途中でポジションを押し上げている馬が多いことがわかる。
また、上がりタイムは平均34.94秒とかなりかかっているため、馬場の重たさや長くいい脚が求められる展開が特徴を生んでいるのだろう。
開催後半で傷みが強い
福島牝馬Sは毎年第1回開催で行われれ、年によって開催日が異なるが大半が開催後半に行われる。この頃には内側を中心に傷みが強くなってしまうために自然と内を走らない外の馬が好走する流れとななる。内外だけでなく、馬場自体の育ちが悪い上に傷みが目立つようになっているために先行馬の脚が止まりやすく、差し馬にチャンスが生まれやすい。
★春の福島はなぜ弱いのか?
経過による馬場の傷みだけでなく、季節的な芝の弱さもレースに影響するが、なぜ福島の芝は季節的な弱さが出てしまうのか。それはいくつかの理由が絡み合っているのではと考える。
①福島の気候
JRAは函館札幌を除く8競馬場で野芝が中心に敷かれている。日本由来の野芝は寒さに弱いため、冬場や気温の低い場所では育ちにくいため、春先もまだ気温が上がり切らない福島では関東以南の競馬場に比べると4月でも生育が悪い。
②春の福島は天気が変わりやすい
福島の春先は日本の南岸を東~北東進する低気圧によって季節外れの雪が降ることがある。また低気圧や高気圧が3~4日おきに通ることが多く、天気は周期的に変化して良く雨が降り、夜間は放射冷却により気温が氷点下近くまで下がることも。
(※昨年の1週目2日目の朝に降雪、今年は3月初旬と中旬に降雪あり)
平均ペースからのロングスパート
このレースの流れは前半5Fが59.9秒と限りなく平均的なラップを刻む。スタートから300m程度ですぐにコーナーを迎えてしまうためペースはそれほど速くならない。これに加えて1~2角ではアップダウンが存在し、直線が短く3角の入り口がスパイラルカーブになっていることで早めからある程度加速するラップがデフォルトとなる。
当週の馬場傾向
<トラックバイアス>
2018年 土曜:6.1/日曜:5.6
2019年 土曜:4.7/日曜:5.3
2020年 土曜:7.6/日曜:6.8
2022年 土曜:5.9/日曜:7.2
2023年 土曜:7.0/日曜:6.1
※数値はその日の3着内馬がL1Fで内ラチから何頭分離れた場所を走ったかの平均値
過去5年(2021年新潟代替開催を除く)を見ると、小回り短直線コースで直線では馬群が大きく広がらない形態ながらも、平均値が5~7頭目ぐらいになっているため毎年のように数値が高い。今年は例年より芝の傷みの進行も遅い上に雨量が少ないため馬場が傷む条件がなく数字はとてもマイルド。それでも先週あたりからは外走る馬の好走が増え、着々と例年通りの馬場状態に近づいているように感じる。
注目馬
◎グランベルナデット
24/01/20 中山(最終週)初富士S/芝2000m (前半5F 60.7)→①着
23/12/23 阪神(4週目) サンタクロースS/芝2000m (前半5F 58.6)→⑥着
23/10/15 京都(2週目) 秋華賞/芝2000m (前半5F 61.9)→⑥着
23/09/09 中山(初週) 紫苑S/芝2000m (前半5F 58.1)→⑩着
23/04/09 阪神(9週目) 忘れな草賞/芝2000m (前半5F 60.5)→①着
23/02/11 東京(3週目) クイーンC/芝1600m (前半5F 58.0)→ ⑤着
22/12/17 中山(3週目) 2歳未勝利/芝2000m (前半5F 59.7)→①着
22/06/26 東京(10週目) 新馬戦/阪神芝1600m (前半5F 60.5)→⑥着
過去の戦歴を見ると、これまで勝利したのは「コーナー4つの中距離」「開催後半(≒芝が傷んで弱い)」「前半5F 60秒前後」の条件が揃っている。どれかが欠けてしまうと好走できておらず、3歳秋の紫苑Sは早すぎ、秋華賞は遅すぎで共に凡走をしているため、好走にはMペースは理想的である。
このコースで、例年通りの展開、開催後半の蓄積した馬場の傷みが組み合わされば、自然とこの馬の得意な条件となるだろう。