【ラジオNIKKEI賞2024】福島芝1800mの特徴と馬場傾向(トラックバイアス)
ラジオNIKKEI賞の好走傾向=内先行有利
直線平均進路:3.9頭目÷大外平均:13.6頭目=馬群内直線位置:28%
4角平均位置:4.5番手÷出走平均数:14.6頭=馬群内道中位置:31%
好走馬上がり3F平均タイム=35.55秒
日本ダービーが終わり3歳クラシック戦線は休戦モード入るが、秋の大舞台に向けた遅咲き馬たちがここで鎬をけずる。ローカル小回りコースの福島、息の入りにくいタイトなラップ、梅雨時の重たい馬場といった特殊な条件が揃うこの舞台は予想も難解だ。
好走傾向は直線だと内目に集まり「内有利」、脚質は平均が4角5番手以内で「先行有利」。スパイラルカーブを採用している福島で中距離戦になるため向正面終わりあたりから動き出しのありそうなコースではあるが、実際大きくまくる馬がいるわけではないし、極端にポジションを押し上げて好走した19年ブレイキングドーン、ゴータイミングは不良馬場の影響で差しが決まったことが側面にあるため、コース形態によるものではないだろう。
シンプルに内枠を狙おう
明確に内有利のレースであるため、これに合わせるように内枠の馬に好走傾向が集まっている。勝率/連対率・複勝率はどれをとっても1,2,3枠が高水準である。
福島芝1800mは直線からスタートをし、305mで1角を迎える。直線が短くコンパクトなコースが故にすぐに最初のコーナーを迎えてしまうのであれば必然的に内のコースを奪うことができる内枠が有利になるのだ。
開幕週の芝状態
福島競馬の開催は春・夏・秋の年間3回。通常年間通した馬場状態を見ると、芝の大規模張替え作業直前の開催が最も芝が傷んで馬場が荒れていることが多い。
しかし、福島競馬場は寒冷地域が故に年間の開催日程が少なく、本来馬場が強く傷んでいる張替作業直前の開催は前回開催後から気温が上昇して芝の生育の良い季節に当たる。
しかも、第1回開催ではA・Bコースを使いかけているため最内はそれ以外よりも若干養生期間が長い。これにより、夏の開催開幕週の最内はそれ以外よりもさらに馬場状態が良い。元々コンパクトで内々を走る馬に恩恵のあるコースレイアウトな上に内側の馬場状態が良いとなれば「内有利」のレース傾向が見られることは当然と言えるだろう。
4角レースだけど前傾ラップ
当レースは「4角コース」「スタート→1角が近い」「直線短い」という条件で行われるため、早めにペースが落ち着く展開が想定されそう。しかし実態は前半400m通過がとにかく速く、中盤でのペースの緩みも少ない前傾&タイトなラップ推移である。
スタート直後こそ緩やかな上りだが、1角入り口から2角手前までは下り坂になっている。隊列がすぐに決まってペースが落ち着く、減速するはずの1角の下り坂で流れが落ち着きにくく、そのままほぼ平坦な向正面でも流れに乗ってレースが進むことが大きな要因であると考える。
ローカル競馬場のGⅢレースではあるが、コースに影響を受けるレースの展開を考えると、一瞬のキレ脚よりも底力が問われるレースになりやすいのも特徴だ。
当週の馬場傾向
<トラックバイアス>
2019年 土曜:4.6/日曜:7.0
2020年 土曜:4.2/日曜:5.1
2021年 土曜:5.1/日曜:3.6
2022年 土曜:4.8/日曜:3.6
2023年 土曜:4.0/日曜:4.2
※数値はその日の3着内馬がL1Fで内ラチから何頭分離れた場所を走ったかの平均値
先述の通り、開幕週に当たるため比較的内に好走馬が集まる「内有利」の傾向。元々傷みやすいことで有名だった福島芝は近年エクイターフの採用や、エアレーション/シャタリング作業の実施時期をコントロールすることで開催開幕週に馬場状態を良好にすることができている。(経過による傷みの早さは他競馬場と比べてしまうと未だ顕著ではある)
記事作成時点では金~土曜にかけて雨が降る予報。全国にあるJRA競馬場で唯一暗渠管が設置されていない福島競馬場は一度水を含んでしまうと、これが長らく残ってしまうことが多い。今週末に限っては含水率が高く、道悪適性が問われる馬場状態も考えられるだろう。
注目馬
◎ウインマクシマム
デビューから2戦は前後半3Fで後傾1.0秒以上のスローペースで勝ちきれず、3戦目はフラットに近い展開で見事勝利。中山芝2000mという舞台も含めて底力のいるコース/レースでこそ走るタイプなのであろう。近走は日本ダービー出走を目指したローテーションであることがわかるため、1800mに短縮してくることは自分の守備範囲に戻ると解釈できる。タフな展開になりやすい福島芝1800mで適性を生かした走りに期待。