【小倉大賞典2024】小倉芝1800mの特徴と馬場傾向(トラックバイアス)
小倉大賞典の好走傾向=外有利
直線平均進路:11.3頭目÷大外平均:16.6頭目=馬群内直線位置:68%
4角平均位置:4.8番手÷出走平均数:15.2頭=馬群内道中位置:32%
好走馬上がり3F平均タイム=35.36秒
冬の小倉最大の重賞レースである小倉大賞典はコース形態はもちろんのこと、傷んだ馬場によるトラックバイアスが色濃く見受けられる。中距離に分類される1800mではあるが、好走馬を見ると少し違ったタイプが揃うため、細かく考察してみたい。
内外枠不問の外有利
小倉大賞典の頃は馬場の内側が傷んで「外有利」の馬場傾向が明確である事はすでによく広まっている情報である。そのために外枠の馬に注目が集まりがちだが、枠順別成績を見ると印象が異なる。
1枠の極端な成績は奇妙であるものの、それ以外を見渡すと突出して結果の良いところはなく、内外どちらか有利であるとは言い難い。
小倉芝1800mはコーナー4つのツーターンコースのため、外枠で外々を走り続ければ馬場の比較的綺麗なコースを走れる反面、大きな距離ロスを被ることになるため不利を受ける面もある。道中強い傷みのあるコースを避けながらも距離ロスのない進路を選びながら丁寧に走り、最後の直線でうまく馬群を抜け出しながら外のコースを突き抜けられる馬が好走していて、単に外の馬が有利なレースではない。
4コーナーでもスピード持続形(≒マイラー)を探せ!
小倉芝1800mは直線やや4角寄りから発走。1角まで272mと直ぐにコーナーを迎えてコンパクトなカーブを経て向正面→スパイラルカーブの3~4角→293mの短直線となる。コーナー4つのツーターンコースで一見ローカル中距離というイメージを抱きやすいが、高低差の断面図を見ると2角前の山の頂点を抜けるとゴールに向かって下りor平坦しかないという特徴が特殊な展開を生み出す。
コースの断面図の通り、山を登り切るところでペースが落ちるものの、その後は終始スピードが持続的に出し続ける展開が基本。これは小倉大賞典に限らず、小倉芝1800m全体の平均ラップも重賞と差があるものの同じような形態をしているため、このコースにおける傾向と言えるだろう。
小回りコースのローカル競馬場の芝1800mラップを並べてみると、他場は800m~1200mで息の入るのに、小倉芝1800mだけが加速→スピード持続という明らかに異なっていることがわかる。息を入れて後半で一気に加速するor 1200m通過あたりから加速し始めてロングスパートというのが中距離らしいローカル芝1800mの基本展開であり中距離馬が好走するわけだが、小倉芝1800mに限っては早めにスピードが加速してそのスピードを持続し続けるために中距離馬ではなくマイルのような「スピードの速さ」「スピードの持続力」「スタミナ」のバランスが取れている馬がフィットする。
小倉大賞典を近年好走した馬たちの戦歴を見ると、
①このコースで好走を続けているコース巧者
②スピード/スピード持続/スタミナを兼ね備えたマイルの重賞で好走した馬
③中距離でもマイルのようなスピードを要するコース(ex.東京芝1800~2000m、阪神芝2000mなど)を好走経験あり
あたりが共通条件となっている。速いスピードを出せる馬、そのスピードを持続できる馬、持続してもバテないスタミナのある馬を小倉芝1800mで狙うべきだろう。
当週の馬場傾向
<トラックバイアス>
2019年 日曜:5.0/月曜:4.4
2020年 土曜:10.1/日曜:7.3
2021年 土曜:9.7/日曜:8.1
2022年 土曜:12.0/日曜:13.2
2023年 土曜:13.6/日曜:11.9
※数値はその日の3着内馬がL1Fで内ラチから何頭分離れた場所を走ったかの平均値
先述の通り、とにかく外有利でその傾向は近年にかけて強い。直線は内を走った馬の好走はほとんどなく、しっかり外に持ち出して脚を伸ばせる馬が好走している。今年は開幕が早かったために傷みの進行も例年よりも若干進んでいて傾向も顕著であるため、バイアスは無視できない。
注目馬
◎セルバーグ
23年中京記念①着でマイル重賞馬。しかも内容は初めと終わりの1Fずつ以外は全て11秒台を刻む超タイトなラップで「スピードの速さ」「スピードの持続力」「スタミナ」のバランスが取れたマイルらしいレースだった。逃げ脚質でリズムが取れる馬ながら近走は二の脚で置かれているため、今回は距離を延長して中距離仕様の他馬よりもテンの速さの違いで理想のポジションを目指すだろう。復活に期待。
○ゴールドエクリプス
冬の小倉①①着、小倉記念③着のコース実績有。特に小倉記念では掲示板に1,2枠4頭が集結する内有利のバイアスに反して唯一外から追い込んでの好走とコース適性と力の違いを見せつけ気を吐いた。前走の大敗で人気を落としているが、芝2200mへの対応力や初GⅠだったことを考慮すると悲観する対象ではないだろう。