【ダイヤモンドS2024】東京芝3400mの特徴と馬場傾向(トラックバイアス)
ダイヤモンドSの好走傾向=馬場差無
直線平均進路:7.1頭目÷大外平均:13.4頭目=馬群内直線位置:53%
4角平均位置:6.9番手÷出走平均数:15.2頭=馬群内道中位置:45%
好走馬上がり3F平均タイム=35.43秒
国内重賞の中で2番目に長い超長距離レースで、東京芝3400m自体はダイヤモンドSでしか使用されない幻のコースである。そのためこのレースこそがこのコースの傾向であり、毎年この時期に行われるために馬場状態などは全て同じである。
しかしながら、好走馬の直線進路と4角位置を見ても極端な内外前後に傾向は見られず、数字上では「馬場差無」と評価せざるを得ない。
ではこのレースにおいてどのような狙い方をしたら良いか、考察していこう。
重視するのは「馬場状態<コース傾向」
ダイヤモンドSは毎年2月の3~4週目に行われるため、内側を中心に馬場は悪化した状態で行われる。普段のレースでこの馬場状態ならば、中~外枠に成績が集まるのだが、ダイヤモンドSに関しては1,2枠が複勝率25%以上で内枠が安定的だ。
これは馬場状態よりもコースの特徴、傾向にレースの鍵があるからではないかと考える。
コーナー6つのクルクルコース
東京芝3400mは向正面からスタートをして1周半してゴールを迎える。この間にコーナーを6つ回ることになり、コーナーを回るたびに距離のロスが生まれながら外側の馬は遠心力が働くために内々を走るメリット(=外々を走るデメリット)が発生する。
東京コースはコーナー角が緩やかで直線も長いため、他の距離ではこれほど内枠に集まる事は少なく、あるとすればスタートからすぐにコーナーを迎える1800m,2000m,2400mぐらいである。これらのコースは内枠有利になる理由が芝3400mと異なるため、このコースは特殊な特徴を持つと言えるだろう。
走破距離が最大18mも違う?
コーナーをたくさん走れるコースは外を走った馬ほど距離ロスを被る事は安易に想像がつくが、実際にどのくらい違うのか、数字を見てみよう。
東京芝コースの円周はAコースだと2083.10m、ダイヤモンドSが行われるDコースだと2139.60mである。向正面は2角終わりあたりからスタートする芝1600mの分析だと「3角まで550mある」と解説されているため、これを参考にコーナーの距離と直径を計算する。
Aコースの場合、直線・向正面を合わせて1100mを1周距離から引いた数字がコーナーの距離になる。これに円周率をかけて直径を算出した。直径はAコースだと313.09m、Dコースは331.09mとなるわけだが、これはあくまでラチ沿いの距離を計算しているわけで、そこから馬群4頭分(1頭1m換算)で直径を4m加算して計算をすると、1周距離は2152.2mで最内を走り続けた場合と12.6mも違うことがわかった。1馬身が約2.4mと言われているため、これを元に考えると最内と大外が仮に同時スタートして走り続けた場合5.23馬身も差が生まれてしまう。
問題は芝3400mは1周ではないということ。細かな数字は出しきれないがざっくりと1周半だと見込んで計算をすると、Dコースだと最内と大外では走破距離が18.84m(7.85馬身)も違うこととなる。
これはあくまで机上の空論的な話であり、最内と大外の違いはスタートからゴールまで終始同じコースを走った場合の話である。実際はポジションが入れ替わるわけでこの数字のようにはならないわけだが、それでも内を走り続けられれば外を走る馬よりもメリットがあることは理解できるだろう。
当週の馬場傾向
<トラックバイアス>
2019年 日曜:5.6/月曜:6.0
2020年 土曜:9.1/日曜:7.5
2021年 土曜:4.3/日曜:8.9
2022年 土曜:7.1/日曜:7.9
2023年 土曜:6.7/日曜:6.5
※数値はその日の3着内馬がL1Fで内ラチから何頭分離れた場所を走ったかの平均値
先述にもある通り、Dコース開催4週目(最終週)で内側を中心に芝の傷みが顕著。毎年馬場状態は内外差無~外有利で内を走り続けた馬が揃って好走することはあまりない。
今年も同じような傾向が見られて馬場状態は例年通りだろう。
また解れ具合から末脚に長けた差し馬の好走が目立つため、上がりタイムには注目したい。
注目馬
◎ニシノレヴナント
近3走のうち2度はコーナー6つの中山芝2500mを2勝していて、コーナーの多いレースで好走している。しかもどちらも内枠から馬群の内に構えて直線で抜け出す競馬で、この舞台での好走パターンにも該当する。今回はそれほど内枠には見えないが6番枠ならばポジションを取ることは可能だろう。実力・人気上位の強豪馬が外枠に集まった今回はチャンスがあるだろう。
★ヒュミドール
この舞台は年1度の超レアコースで、他にはない特殊な舞台。前走は手応えがなく惨敗し力不足が懸念されるが、昨年②着のこの馬が「リピーター」がメンバー唯一権利があって穴推奨したい。昨年は4角後各馬が外の進路を選ぶ中で一か八かの最内を走り続けてのギャンブルを打って見事好走。今回は内枠を引いてスムーズに内のポジションが取れるだろうから、腹を括って内に潜り続けて最短距離に徹してしまうと一発あるかもしれない。この枠ならば抑えておきたい。