【ヴィクトリアマイル2024】東京芝1600mの特徴と馬場傾向(トラックバイアス)
ヴィクトリアマイルの好走傾向=(内)先行有利
直線平均進路:7.1頭目÷大外平均:14.6頭目=馬群内直線位置:48%
4角平均位置:5.1番手÷出走平均数:17.6頭=馬群内道中位置:29%
好走馬上がり3F平均タイム=33.34秒
春の4歳以上牝馬の最大目標となるレース。秋の最大目標となるエリザベス女王杯とは条件が大きく異なるため、短い距離に強みを持つ馬にとっては是が非でも結果を残したい。
好走馬は直線だとほぼ真ん中ぐらいの数値であるが、直線が広く長い東京コースのマイルで、前週のNHKマイルCと比べると数値がグッと下がるため内を走る馬にチャンスが生まれている。脚質は馬群の1/3前に集中しているため圧倒的に「先行有利」だろう。
★東京マイルはノンフレームコース
東京マイルGⅠはNHKマイルC、ヴィクトリアマイル、安田記念と年間3度行われ、開催時期は5~6月の近い。通常同じコースのレースであれば馬場条件なども含めてレース展開や血統の好走傾向など類似することが多い。しかし、この3レースに限っては三者三様である。
NHKマイルCが最も前傾度合いが強く前半からスピードで押していって中盤で一度落ち着くものの最後はスパートでスタミナ勝負。Vマイルは牝馬限定戦らしく脚を溜めて終盤で一気にスパートをかける上がり勝負になっているため後継度合いが最も強い。そして安田記念は前後半のラップが他のふたレースと比べてフラットに近いため、序盤中盤終盤と最初から最後までスピードを出し続けるバランスの取れた能力を求められるレースである。
ゆったりとした展開から直線での究極な上がり勝負になりやすいレースにある馬、これにリンクするようなレースやコースを得意とする馬などから注目していきたい。
近年のトレンドは「速い流れ」
前半のラップが緩やかで中盤で息が入りやすいのがヴィクトリアマイルの特徴だが、近年は傾向に変化が生まれ始めた。19年~23年の近5年は前半3F自体と前後半3Fのラップ差が共に速くなっていて、よりスピードが求められるレースに変異しているように感じる。
これは参戦するメンバーの面々の変化が大きな要因があるのだろう。
14年~18年で好走した馬(≒このレースにフィットした馬)の前走は阪神牝馬S/福島牝馬S/京都牝馬Sと牝馬限定重賞が中心で、18/19年に限ると6頭全てが牝馬限定重賞と圧倒的な数字である。
しかし、19年以降は牡牝混合重賞を経由する馬が多くなり、20年以降の勝ち馬は全て、そして22年以降2年間は圏内馬全てが前走牡牝混合重賞だった
基本的に牝馬限定戦は馬の特性上、緩い流れからの後半上がり勝負になりやすいため、~18年までのレースは牝馬限定戦組が作る緩やかなレースの上にその適性能力の高い馬が結果を残し、~19年以降は牡牝馬混合戦の前半から流れてタフな流れを経験した馬が増えたことでラップがフラットとなり、それに対応できるタイプの馬が好走している。
今年は近年と比べると牝馬限定戦から参戦してくる馬の方が多く、牡牝混合レースでも1600m~2000mからの参戦となるためテンが極端に速くなることも少ないだろう。
近年のトレンドである「テンから速い流れ」という形ではなく、従来の若干緩やかな流れのレースを想定する。
内有利の馬場
ヴィクトリアマイルが通常行われる5月2週目はコースが替わってBコース初週に当たる。強い傾向ではないものの若干内側の傷みが見られ始めてきた頃に仮柵が設置されて比較的綺麗なコースでレースが行われる。
開催後半だと、仮柵が移動しても馬場の全域に傷みが出てしまうためコース替わりの効力が薄まるため、開催前半の初めてのコース替わりは傷んだ箇所とそうでない箇所が明確で、コース替わり初週の効果は大きいだろう。
当週の馬場傾向
<トラックバイアス>
2019年 土曜:5.5/日曜:7.3
2020年 土曜:3.5/日曜:6.1
2021年 土曜:5.8/日曜:6.2
2022年 土曜:6.1/日曜:6.2
2022年 土曜:4.7/日曜:7.1
※数値はその日の3着内馬がL1Fで内ラチから何頭分離れた場所を走ったかの平均値
先述の通りBコースに替わった週のため、傾向としては内有利が続いている印象。特に土曜は毎年数値が少なく、日曜にかけて傾向を掴んでいくせいなのか若干数値が上昇しているのがデフォルト。
今年もこれまでの馬場状態は例年通りのため、今週も同じような傾向になることを予想する。
注目馬
◎マスクトディーヴァ
王道の阪神牝馬Sを勝利し、完璧な臨戦過程で本番に臨んできた。前走から見せた先行脚質はこのレースにフィットしそうだし、脚を溜めて一瞬のキレ足を生かせば人気最上位想定のナミュールよりも先着できる計算が立つ。阪神牝馬Sレース後インタビューでは②着のウンブライル騎乗の川田騎手が「勝ち馬は着差以上に強い」と述べているところが印象的で、この馬の評価は鞍上以外も高い。
⑨着に敗れた東京新聞杯は前後半フラットな展開の上に骨っぽいスピード系マイラーの牡馬が上位を占めた中で牝馬最上位と気を吐いているあたりも評価ができる。
○モリアーナ
阪神牝馬S③着とこちらも順当に駒を進めてきた馬。それ以上に評価しているのはAJCC⑤着で、本来苦手であろう長く良い足を使う舞台で上がり最速を見せながら牝馬最上位で掲示板を確保した。シンプルに能力が高く、それでいて前回から連続して上がり勝負になる得意舞台ならば高い着順が見込めるだろう。
★最終予想はX(旧Twitter)で公開予定です。
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