【七夕賞2024】福島芝2000mの特徴と馬場傾向(トラックバイアス)
七夕賞の好走傾向=先行有利
直線平均進路:6.9頭目÷大外平均:13.2頭目=馬群内直線位置:53%
4角平均位置:4.7番手÷出走平均数:16頭=馬群内道中位置:29%
好走馬上がり3F平均タイム=36.03秒
サマー2000シリーズ初戦にあたる七夕賞はハンデ戦の難解レース。馬場が傷みやすくて変化が多い福島芝コースで梅雨時に行われる舞台であるため、これがレースの大きな鍵になるような印象があるが、実はコース形態がかなり特徴的で、これがレース展開に影響をもたらしている側面もある。
馬場状態に関しては当日になってみないとわからない不確定要素が強いため、ここでは普遍的なコース形態によるレースの特徴を考えてみよう。
前半の展開が特殊すぎる
<芝2000m コース別ラップ比較>
福島 34.4-36.5/-2.1
東京 36.1-35.1/+1.0
中山 35.9-35.9/+0.0
京都 36.3-35.3/+1.0
阪神 35.8-35.7/+0.1
「直線が短く急坂のない小回りローカル競馬場4角コース」ぐらいの印象が広まってしまい、細部に着眼される機会が少ないのが福島芝2000m。上記の通り、実はかなり特徴的なコースであることがわかる。
前半3Fは主場4競馬場と比較すると福島だけが圧倒的なタイムをマークし、もちろんこれによって前傾ラップの度合いもかなり強い。テンのスピードの争いと、その後の消耗戦への対応が求められる独特なコースが福島芝2000mである。
福島 34.4-36.5/-2.1→1角まで500m,下り
東京 36.1-35.1/+1.0→1角まで130m,平坦/やや下り
中山 35.9-35.9/+0.0→1角まで405m,急坂の上り
京都 36.3-35.3/+1.0→1角まで325m,急坂の上り
阪神 35.8-35.7/+0.1→1角まで309m,平坦
上記の要因は1角までの「距離」「コース形態」が影響していると考える。福島は4角奥のポケットからスタートして1角までは500mもあり、しかもそれが下り坂である。コーナーを迎えるまで一度やや上りになる箇所があるものの、コーナーに向けての下り坂で再度加速してしまうという現象が起きやすい。これが前半3Fが極端に前傾ラップになっている要因だろう。
当週の馬場傾向
<トラックバイアス>
2019年 土曜:5.6/日曜:5.7
2020年 土曜:3.4/日曜:7.3
2021年 土曜:4.5/日曜:4.6
2022年 土曜:3.9/日曜:4.0
2023年 土曜:4.4日曜:6.7
※数値はその日の3着内馬がL1Fで内ラチから何頭分離れた場所を走ったかの平均値
七夕記念は近年開催2週目4日目に開催されているため、経過による馬場状態の条件はかなり等しい。それも合ってか数値の偏差はあまりみられず、内ラチから大体3.5~6.5頭目くらいに収まる印象。近5年だけで見ても19~21年は日曜稍重以下だったのにも関わらず平均は大きく差がないため、「道悪だからとことん外有利」ということにはなっていないと解釈したい。
また、先週の馬場は比較的先行馬が残るレースが多く「先行有利」で、ラジオNIKKEI賞は差して勝ったオフトレイル以下④着まで4角3番手以内の馬がそのまま残る形だった。
注目馬
◎アラタ
福島記念2年連続好走のコース実績は間違いなく適性の高さと言える。特に前傾ラップの中距離戦にはめっぽう強く、脚を溜めてもキレないだけにこのコースとそれに演出される展開が上手くはまるのだろう。近走は58kgを背負って以降成績が奮わないが、そもそもレース自体得意でない展開が多いため、見切るのは怖い。絶好の条件でもうひと花咲かせてくれることも期待できる。
◎ノッキングポイント
これまで小回りローカルでの実績がないが、これはクラシックから王道戦線を戦ってきたためであって、適性がないとは言い切れない。元々ワンターンの1600~1800mに実績があるあたりは追走スピードを必要とするこのコースの展開にはフィットしそうだ。2000mにおいてスピードの要求値が高いレースは少ないために距離適性だけで挑んでくる馬にとって苦しい舞台だけに、この馬のような多生ズレているようなタイプが逆にハマるのではないか。
◎フェーングロッテン
唯一の重賞勝ち鞍が福島芝1800mのラジオNIKKEI賞。コースの特徴らしい前傾ラップをしっかり走りきる骨太な競馬はコースの相性が窺える。近走目立った成績を残せていないものの、二桁着順だった3戦の鞍上コメントはどれも「実力を出し切っていない」とあり、その後小倉大賞典では⑤着まで押し上げているためにまだ見限れないだろう。