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「ヴィクトリアマイルの予想」テーマは【芯】と【信】。そして【逆襲】だ

割引あり

「成吉思汗だるま」が7月上旬に御徒町にオープンするということで、札幌まで行かなくて良くなったのか。

東京進出はめでたいが、“札幌”でこその「だるま」だと思っているから、なんだかなぁ。

その土地で食べるから美味しい。
という【旅の食事の楽しみ】は残しておきたい気持ちもある。

競馬の仕事をしていると、北海道に行く機会はよくある。
札幌競馬は7月から。

あっという間に、そんな時期を迎えそうだな。

さて、ヴィクトリアマイルの予想。

2024年5月12日(日)
東京11R ヴィクトリアマイル(GI)
芝1600m 発走時刻15:40
◎6 マスクトディーヴァ(社台ファーム)
〇10 ナミュール(ノーザンファーム)
▲13 モリアーナ(ノーザンファーム)
注3 スタニングローズ(ノーザンファーム)

※まずはざっくりと上位評価馬の印だけをお伝えする形にしたが、買い目の公開は最後とさせていただく。

ヴィクトリアマイルというレースそのものに対する見解を書いたので、是非とも読んでいただきたい。

ハッキリ言うと、非常に長い。
とんでもなく長い。

読み疲れるかもしれないが、

今後公開していく内容を理解してもらうためには、やはり【競馬の本質】を知った上で御高覧いただきたいからこそ、書き進めた。

競馬は深い。
競馬は、ギャンブルとして馬券を楽しむだけでは、本当の面白さがわかることはないと思う。

競馬とは何か。

なぜ、成功者たちが競馬にのめり込むのか。

経済界で成功している東証一部上場企業の会長のような人たちが、はまる意味も理解していただけるようになるのではないか。

馬券が当たった、外れた。
それで一喜一憂するのも楽しいかもしれないが、本当の面白さはもっと先にある。

競馬の本質とは何か。
そこを追求していくことで、今までとは違う価値観で競馬が楽しめるようになるはずだ。

その魅力を伝えていきたい。

今回は、とにかく競馬の話ばかりだが、最低限知っておいていただきたいことを詰め込んだ。

その結果が、約1万文字。

やり過ぎたとは思うが、それでも足りないくらい。

それではヴィクトリアマイルの予想・見解を進めていく。

ヴィクトリアマイルというレースの本質。
そして今年のヴィクトリアマイルがどのような位置づけで行われるのか。

まずは、ここに迫った上での予想と根拠を示したものでなければ、

今年のヴィクトリアマイルの予想は、あまり価値のないものになるとさえ思っている。

であるからこそ、長くはなったが、最後までお付き合いいただきたい。

ヴィクトリアマイルについては、「出走馬全頭診断」、そしてそこには「調教評価」も加えた形で事前公開を行った。

各馬の評価をすでに終えていることが前提である。

その上で、

今年のヴィクトリアマイルには【物語】がある。

女王決定戦とは言われているが、

リバティアイランドが不在。
スターズオンアースも不在。

5歳世代と4歳世代の「ダブル女王」が不在の中で行われるのが、今年のヴィクトリアマイルである。

リバティアイランドは脚部不安で春全休。
スターズオンアースも状態が整わないということ。

もちろん、それが『真実ではない』などと言うつもりはないが、この2頭が出走するとなった場合に、都合がよくないという人もいることは確かだろう。


ただし、この2頭が出走しないこと。
とある関係者たちにとっては、好都合といえるのではないか?とさえ思う。

ノーザンファームが誇る現役最強牝馬のリバティアイランド。
そして社台ファームが誇るスターズオンアースもまた双璧を成す現役最強牝馬の1頭だ。

競馬を知っている人には説明不要だが、最近競馬に興味を持ち始めた人もいることを前提に簡単に紹介しておきたい。

ノーザンファームは弟・吉田勝己さんが代表。
社台ファームは兄・吉田照哉さんが代表を務める。

社台ファームとノーザンファームの関係等も踏まえて、やはり最低限頭に入れておくべきことがいくつかある。

そもそも「ヴィクトリアマイル」は高配当決着になりやすい時期もあったが、この4年の勝ち馬はいずれも歴史に語り継がれる【名牝】ばかり。

この『ヴィクトリアマイル』というレースの本来あるべき姿は、

荒れるとか、高配当になるとか、そういう位置づけのGIではなく、

【本命戦】で良いのだ。

舞台は、直線の長さ525.9メートルを誇る日本屈指の東京競馬場。
スタンドの充実度でいえば、日本屈指どころか【世界一の競馬場】といっても良いのではないだろうか。

もちろんホテルを併設しているドバイの競馬場と比較すると、さすがにお金のかけ方が違うだけに、なんともいえないところはあるが、

間違いなく、[エンターテインメント]の舞台としての東京競馬場の施設は世界屈指である。

入場者数を考えても、この競馬場のキャパシティは間違いなく世界トップ。

そこで行われる[牝馬のマイル女王]を決める一戦。

紛れが起きやすい小回りではなく、緩やかなコーナーを回って、最後の直線での攻防は見る者を魅了する。

出遅れたとしても、多少の出遅れて程度ならば、巻き返しは可能。ワンターンのコースだけに、向こう正面もゆったりと走れる分、位置取りの修正はしやすいといえる。

そもそも、ヴィクトリアマイルというレースは何なのか。

牝馬は、無事に現役を終えて、牧場に返す。
母親となり、優秀な仔を産むことが運命でもある。

牡馬は活躍次第で種牡馬として、血を紡いでいく。
牝馬はそこまで大きなタイトルを獲らなくとも、母馬としての道が牧場で待っているのだ。

であるからこそ、「強い牝馬」というのはそこまで求められていなかったが、サプリメントの発達などもあって、今は牝馬が牡馬を倒せる時代になっている。

「牧場に無事に返す」ということが最優先であることは変わらないが、強い牝馬を造ることが、より質の高いサラブレッドの生産に繋がり、日本の競馬界全体のレベル向上に繋がるようになった。

【牝馬の強化】を図ったことで、日本馬が世界のトップまで強くなったことは事実である。

ノーザンファームの生産馬が圧倒的な活躍をみせ、独占状態のような成績を残しているが、これは【繁殖牝馬の頭数】が桁違いというところも影響している。

頭数が多くなることで抱えきれなくなり、そこで「競争」も生まれて、より質の高い繁殖牝馬だけが生き残っていくことになる。

そこで漏れた馬たちが、他の牧場に移るような構図となっているため、【ノーザンファームの繁殖牝馬のレベルが高くなっていく一方】である。

これを崩すことはなかなか難しい。

社台ファームの吉田照哉さんでさえ、「あちら(ノーザンファーム)は繁殖の数が多すぎる」と笑いながらお手上げといった表情をみせていたことが強く印象に残っている。

この笑顔の裏には、
「ノーザンファームは数で勝負。社台ファームは配合の質で勝負している」という強い意志があることを暗に感じたことも覚えている。

もともとは、吉田善哉氏が社台ファームを確立し、その三兄弟がそれぞれ牧場を持つような格好で、

社台ファーム(長男:吉田照哉氏)
ノーザンファーム(次男:吉田勝己氏)
追分ファーム(三男:吉田晴哉氏)

が出来上がった。

この三者が名を連ねる白老ファームもあるが、今回は深掘りはしない。

三兄弟が切磋琢磨しながら、いまの【社台王朝】【社台グループ】が発展し、日本競馬をリードするような時代に突入した。

1980年代まではいまのような勢力図ということはなく、社台グループの規模は小さかった。

「ノーザンテースト」
「サンデーサイレンス」

といった米国馬を種牡馬として導入し、試行錯誤したのちに、名馬と言われるような馬が誕生し、その馬たちが種牡馬、繁殖牝馬となって、血を重ね合い、世界に通用する馬が誕生するようになったのだ。

米国から優秀な種牡馬を積極的に輸入。
それだけの投資に対して、釣り合うような繁殖牝馬が多くはいなかった当時。

であるからこそ、日本のサラブレッドの生産業を活性化させるためには、

【牝馬のサラブレッドとしての競走能力も高める必要性がでてきた】という歴史がある。

その一環で、牝馬のレース番組体系を改善するべく、誕生した1つが、ヴィクトリアマイルという【古馬牝馬のマイル女王決定戦】なのだ。

「強い牡馬」と配合するのに相応しい牝馬がいなければ、いくら血を紡いでいっても強い馬は生まれない。

2005年。
競馬界だけでなく、日本全体を席巻した【歴史的名馬】がいた。

その馬こそ、“ディープインパクト”だ。

誰もがファンになるような勝ち方。

出遅れても勝つ。
本来は二周する長距離のレースでも、一周目でラストスパートと勘違いしそうなにったようなレースでも勝つ。

無敗の三冠馬として、誰もを魅了した。

そのディープインパクトの配合相手に相応しい繁殖馬が当時はまだ少なかったというのが歴史的な事実である。

ディープインパクトが誕生した頃に、「牝馬の強化」が大きな課題となっていた。

2006年の有馬記念を勝って引退したディープインパクトは2007年から種付けを開始。

ヴィクトリアマイルが誕生したのは、そのディープインパクトが現役ラストイヤーとなった2006年である。

勿論、ディープインパクトという存在が現れる前から、牝馬強化の議題がでていたことは言うまでもなく、ヴィクトリアマイルというGIが、ディープインパクトという圧倒的なサラブレッドが出現したから設立されたわけではないが、時代はちょうどその頃である。

ディープインパクトの初年度産駒。
2011年のクラシック世代が初めての世代にあたるが、この年の中心はまだディープインパクト産駒ではない。

牡馬はステイゴールド産駒のオルフェーヴルが三冠馬として君臨した世代であり、ディープインパクト産駒の牡馬はオルフェーヴルの前に屈し続けた。

牝馬こそ、ディープインパクト産駒のマルセリーナが桜花賞を勝ち、初年度産駒からクラシックホースが誕生したものの、この世代の牝馬路線には、幻の三冠牝馬と言われるレーヴディソールがいた。

アグネスタキオン産駒の芦毛の馬で、楽々と阪神JFとチューリップ賞を優勝。
桜花賞直前で骨折し、戦線離脱となったため、主役不在のまま迎えた桜花賞をマルセリーナが制したという年でもある。

ディープインパクトの花嫁集め

これが、この頃のテーマだったことを思い出す。

マルセリーナは社台ファームの生産馬。
母マルバイユはアイルランド生まれで、海外で11勝。
この馬を社台ファームが購入し、2005年から繁殖入り。

ダンスインザダーク
スペシャルウィーク
と配合し、2007年に種牡馬入りしたばかりのディープインパクトを配合。
2008年に誕生した馬がマルセリーナである。

2008年はアグネスタキオンを配合。
誕生したグランデッツァはスプリングSを勝って、皐月賞は1番人気に支持されたほど。

当時、吉田照哉さんは「アグネスタキオンの最高傑作かもしれない」という言葉を残している。

それもそのはず。
マルバイユは吉田照哉さんのお眼鏡にかなうほどの繁殖馬であり、社台ファームにとっての代表繁殖としての活躍が期待されていたほどだ。

ノーザンファームが量産体制の戦略を敷いて、抱える繁殖牝馬の数を増やしたのに対し、社台ファームは【配合の質】を高める戦略という違いもあった。

高く売れる馬を生産する方向に舵を切ったのがノーザンファーム。
配合にこだわったのが社台ファーム。

同じ社台グループとはいえ、方向性が違ったのだ。

マルバイユは、いずれかの種牡馬を配合相手に固めるようなことなく、様々な配合馬を残していくような戦略がとられている。

2005年 ダンスインザダーク
2006年 スペシャルウィーク
2007年 ディープインパクト
2008年 アグネスタキオン
2013年 スクリーンヒーロー
2014年 ネオユニヴァース
2017年 スクリーンヒーロー
2019年 イスラボニータ
2020年 イスラボニータ

そのくらい社台ファームにとっては、「可能性を広げていきたい」と考えている血なのだ。

ディープインパクトとの配合相手探しを一気に進めなくてはならない状況であったため、

社台ファームも、ノーザンファームも、国内だけで繁殖馬を固めることはできず、海外市場に積極的に進出し、海外から積極的に購入した時代でもある。

惜しむことなく、繁殖牝馬の購入に大金を投資するというリスクをこの時に負っている。

いまは考えられないかもしれないが、ノーザンファームは【不渡り】を出していることもある。

「お金が回らない状況」があったのだ。

それでも、積極果敢に投じたことで、いまやとてつもない規模のビジネスを創出するに至った。

いまはお金儲け優先のように映るかもしれないが、

ディープインパクトという歴史的名馬の血を多く残すために、質の高い繁殖牝馬を集めることに奔走していた時代があるのだ。

何億、何十億、何百億という大金をつぎ込んで、海外から寄せ集めた成果が、

いま日本で生産された馬たちが、世界トップクラスの水準で戦える状況でもある。

ディープインパクトの血を紡ぎ、世界トップの馬を造ること。

この信念があったからこそ、その派生でディープインパクトの血以外でも世界に通用する馬たちも増えている。

そこには【芯】がある。

【芯】をぶらすことなく、【信】じ続けたからこそ、ここまで発展したといえる。

目的のない者は、この【芯】がない。

【芯】のないものを【信】じ続けることなどはできない。

これは組織における[人]もそうだろう。

芯のない人の指示を、信じて従う人がどれだけいるだろうか。

信じないものは裏切る。信じるものはついていく。
信じられない者を裏切るのは、仕方がない。
それが人間の本性でもある。良い悪いの話ではない。

【芯】と【信】さえあれば、そこからは【逆襲】の道が拓ける。

最近周りで起きている出来事から、このあたりの話は少し脱線しそうになるので、元に戻す。

ヴィクトリアマイルの歴史が始まったのは、牝馬の重賞、レース体系を整えるために設立された18年前の2006年。そこが第1回である。

第1回ヴィクトリアマイルを制したのは、その2年前に桜花賞を制したダンスインザムードであった。

社台ファーム代表血統でもある。
母はダンシングキイ。

この母から生まれたダンス一族にはGI級の馬がズラリと並ぶ。

母ダンシングキイに、サンデーサイレンスを配合して誕生した3頭がGI馬となった。

・ダンスパートナー
⇒オークス、エリザベス女王杯

・ダンスインザダーク
⇒菊花賞

・ダンスインザムード
⇒桜花賞、ヴィクトリアマイル

この3頭のクラシックGIタイトル「オークス」「菊花賞」「桜花賞」はすべて“武豊騎手”の手綱で手にしたタイトルであることも補足しておきたい。

2006年 第1回ヴィクトリアマイル
1着ダンスインザムード
2着エアメサイア
3着ディアデラノビア
4着コスモマーベラス
5着アグネスラズベリ
6着デアリングハート

このヴィクトリアマイルで、上位に名を連ねた馬は、そのあと【繁殖馬】としても活躍している。

1着馬ダンスインザムードからは、フェアリーステークスの勝ち馬ダンスファンタジアが生まれ、秋華賞3着馬のカイザーバルも誕生している。

2着馬エアメサイアからはGIタイトルこそ手は届かなかったが、朝日杯FS、マイルCS、フェブラリーSという3つのGIで2着に好走した重賞馬エアスピネルが誕生。

3着馬ディアデラノビアは、ディアデラマドレ、ドレッドノータスという2頭の重賞勝ち馬を輩出している。他にも重賞2着実績のあるディアデルレイ、サンマルティンもいるだけに、重賞級の馬を次から次へと産み、繁殖馬として活躍した貢献度も大きい。

4着馬コスモマーベラスは、今年の京王杯SC(昨日)を制したウインマーベルの母にあたる。

6着デアリングハートは、2020年に無敗の三冠牝馬となったデアリングタクトの祖母だ。

このヴィクトリアマイルの歴史は、【日本競馬の進化を象徴する】と言っても過言ではない。

途中、社台グループの強い牝馬が、マイル路線よりも「長い距離での活躍」へと方向を向けた時代もあるため、牝馬のマイル路線が混沌とし波乱決着となるような年が多くなったこともあるが、

2020年 アーモンドアイ
2021年 グランアレグリア
2022年 ソダシ
2023年 ソングライン

この4年は、GIタイトルを複数回手にするような歴史的名牝たちによる【本命戦】のような決着が続いている。

競馬関係者、特に[生産関係者たち]によるヴィクトリアマイルというGIレースの位置づけを踏まえれば、

【強い牝馬作り】が根幹にあるだけに、強い牝馬が強いレースをして勝つという【本命戦】で良いのだ。

その上で、今年のヴィクトリアマイルの本命馬には、◎マスクトディーヴァを抜擢する。

父ルーラーシップ
母マスクオフ
母の父ディープインパクト
母の母ビハインドザマスク

これが、マスクトディーヴァを形成する血。

父ルーラーシップの父はキングカメハメハ、母はエアグルーヴ。

母マスクオフは、ディープインパクトの種牡馬2年目に配合されて誕生した馬で、

マスクオフの母にあたるビハインドザマスクはホワイトマズルの仔。

ホワイトマズルはイギリスで生まれた馬。現役の途中で吉田照哉さんが購入し、欧州で活躍した馬だ。

日本競馬のレジェンドと言われている武豊騎手が初めて凱旋門賞に挑戦した馬が、このホワイトマズルでもあり1994年の凱旋門賞で6着という結果。

1994年凱旋門賞6着
ホワイトマズル

2006年凱旋門賞3着入線後失格
ディープインパクト

この配合で誕生した馬が、◎マスクトディーヴァの母マスクオフなのだ。

「ディープインパクト」の血を広げるべく、質の高い繁殖牝馬がどんどん集められたこともあって、

【母父】としてディープインパクトの名が刻まれる馬がどんどん増えていくことになるのが、これからの日本競馬の生産馬ということになるが、

その模範ともいえる1頭が、この◎マスクトディーヴァでもある。

社台グループの礎を築いた時代に活躍したエアグルーヴの血も名を連ねる。

エアグルーヴの父はトニービン、母父はノーザンテースト。

このノーザンテーストも、サンデーサイレンスと並び、社台グループ発展には欠かせなかった馬である。

またトニービンの血も今の日本馬の活躍に対する貢献度も大きい。

余談にはなるが、先述のホワイトマズルの最初のオーナーでもあり、そしてこのトニービンも所有していたのは、

サッカー界の「中田英寿氏」がイタリア・セリエAに移籍した最初の所属チーム「ペルージャ」のオーナーであった【ルチアーノ・ガウチ氏】である。

競走馬トニービンが稼いだお金で、ACペルージャを購入しサッカーチームのオーナーとなったことは、イタリアでは有名な話だ。

話を戻すと、

ディープインパクトの血を後世へと繋げていく現代日本競馬だが、その象徴が、◎マスクトディーヴァということ。

父ルーラーシップ 母父ディープインパクト

この配合は、すごく相性が良い。

2017年菊花賞馬【キセキ】がいる。
2018年にアーモンドアイがジャパンカップで世界レコードを叩き出した時の2着馬でもある。

また今年のヴィクトリアマイルに出走するドゥアイズも、[父ルーラーシップ 母父ディープインパクト]という配合。

2023年小倉記念勝ち馬エヒト
2023年マーメイドステークス勝ち馬ビッグリボン(キセキの全妹)
2022年朝日杯FS勝ち馬ドルチェモア
2021年青葉賞勝ち馬ワンダフルタウン

他にもこれだけの重賞馬を輩出している。

昨年のローズステークス(阪神芝1800m)で強い勝ち方をしてみせたが、脚力はGI級の領域まで到達しているといっていい。

秋華賞は三冠牝馬リバティアイランドの2着。

秋華賞で2着とはいえ、内回りでこの馬のパフォーマンスを発揮できたとは言い難いGIレースでもあった。

ローズステークス、そして前走勝った阪神牝馬ステークスはいずれも【阪神外回り】で広く、直線の長い舞台。

とにかく【末脚】が武器な馬だけに、同じく長い直線で広い東京コースは、もっとも力を発揮できる舞台といえる。

2走前には同舞台で行われた東京新聞杯で6着に屈しているが、大幅に出遅れただけに、この負けは仕方ない。

致命的な出遅れでは、どうにもならなかったわけで、そこで0.4秒差の敗戦は、ほぼスタートの差ともいえる。

展開も向かなかっただけに、

・出遅れ
・展開向かず

という物理的に勝てないレースになっただけで、前走の阪神牝馬ステークスのように、五分のスタートがきれれば、いよいよ待望となる【戴冠の瞬間】が訪れていい。

全体的な成績では、圧倒的なノーザンファームとは差がつけられている社台ファームではあるものの、

[配合へのこだわり]という【芯】をぶらすことなく、それを【信】じ続けた成果が、ようやく結実しようとしている。

ノーザンファームしがらき
ノーザンファーム天栄

2010年から2020年にかけての10年間に、ノーザンファームは一気に施設の規模を拡大。

ノーザンファームに遅れをとったものの、近年の『社台ファーム』は積極的に改革が進んでおり、【逆襲】の環境が整いつつある。

社台ファームの坂路改修工事。
外厩、山元トレセンの坂路改修工事。
スタッフの意識改革。

そして、今年6月に社台ファームの外厩施設『鈴鹿トレーニングセンター』が開場を控えている。

なお5月17日(金)18日(土)には、この『鈴鹿トレセン』の内覧会が予定されており、

その直前に行われるのが、ヴィクトリアマイルなのだ。

これから2030年を迎えるにあたり、間違いなく【社台ファーム】がさらに躍進していくことを確信しているが、

鈴鹿トレセン開業直前のヴィクトリアマイルを、社台ファーム生産馬であるマスクトディーヴァが制することができれば、弾みをつけられる。

スタッフのモチベーションになることは当然のこと、ここで生まれるのは【社台ファームとしての誇り】。

牧場一丸となってのGIタイトル獲り。

それが2024年のヴィクトリアマイルに臨むマスクトディーヴァのミッションだ。

強調材料がある。

阪神牝馬ステークスを勝って中4週というローテーション。

この中間の追い切りで、マスクトディーヴァはさらに【進化】している。

1週前追い
5月1日(水)
栗東 C 重 [84.7 - 66.9 - 52.1 - 37.9 - 23.2 - 11.5]

最終追い切り
5月8日(水)
栗東 坂路 稍重 [52.9 - 38.8 - 24.9 - 12.1]

この2本は、それぞれ【マスクトディーヴァにとっての自己ベスト】の時計を記録したのだ。

しかも、コース追いは重馬場、坂路は稍重という時計を出しにくいコンディションでのことである。

たった中4週という前走からの間隔の中で、さらに中身の濃い調教をこなして、完成の域に近づいてきている経緯は、馬の頑張りも勿論だが、この馬に携わる【社台ファーム全体の意地】と受け止めることもできる。

鞍上には、J.モレイラ騎手を確保していることもまた【勝負度合い】そのものといえる。

マイルでの実績でいえば、昨秋にマイルCSを勝って、3月後半のドバイターフではハイレベルな世界基準の一戦で僅差の2着に好走したナミュールが抜けているが、

海外遠征帰りで、5月2日に栗東トレセンに帰厩。

レースに出走できるギリギリの10日間競馬での調整であり、動きは良いが、目に見えない疲れが残っている可能性は否定できない。

もちろん、その心配が杞憂に終わることに越したことはないが、

臨戦過程や“本気度の違い”という観点から、◎マスクトディーヴァを上にとることにした。

社台ファームによる逆襲の号砲。
このヴィクトリアマイルに臨むマスクトディーヴァの勝利を見守りたい。


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2024年5月12日(日)
東京11R ヴィクトリアマイル(GI)
芝1600m 発走時刻15:40

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