2024年ヴィクトリアマイルのレース回顧
『おぉー!!!そっちかっ!!!』
ヴィクトリアマイル当日。
東京競馬場で、社台ファームの方々とお会いし、
鈴鹿トレセン開場の件
社台レースホースの新規募集の件
このような時期ということもあって、“社台ファームの馬が”「勝つと良いですね!」なんていう会話を交わした。
先週のNHKマイルカップを社台レースホースのジャンタルマンタルが勝っているだけに、[黄色と黒の縦縞の勝負服]が、より眩しくみえていた。
J.モレイラ騎手騎乗のマスクトディーヴァを本命に馬券を買って、レースの発走を待つだけ。
パドックをみていて、
マスクトディーヴァは気合いも入って集中できていたし、良い雰囲気で歩いていたので、「これは大丈夫だな!」という気持ちでレースの発走を迎えていた。
もう一方の人気馬ナミュールは、パドックでの歩様のリズムが少し気になった。
海外帰りの疲れというよりは、まだ仕上がりきらなかったのかな。
後ろ脚の運び方が少し違和感があった。
勿論、怪我とか、出走を取り消すといったようなものではなく、わずかな違和感。
近くを歩いている時は「良い馬だな!」という印象をもたせてくれたが、遠目でみると、右後脚と左後脚のバランスが少し悪かったのかな?と。
それが違和感。
怪我とかではなく、「筋肉の状態」だと思う。
海外遠征帰り、検疫、外厩、5月2日にトレセンに帰厩。
ギリギリのスケジュールでもあっただけに、万全とまでは言えなかったのだと思う。
レースでは出遅れたけど、その出遅れだけが敗因だとは思えない。
手応えもなかったようだし。
あの感じでも、勝ち馬とは0.5秒差の[1:32.3]の時計で、東京のマイルを走って8着なら、頑張った方だと思う。
もともとの実力でいえば、8着は「がんばった」とは言えないが、当日にパドックでナミュールの様子をみていたからこそ、「8着は頑張った方」と、あえて言う。
あの位置からの競馬で、大敗もありえたと思うし、やはり地力がある馬だと思う。
状態さえ整えば、またチャンスは来るはず。
まぁ、本質的に「ハービンジャー産駒」が東京マイルの高速決着に向くとは思っていないので、この負けで悲観することもないし、評価をさげることなく、秋のレースを楽しみにしている。
さて、肝心の◎マスクトディーヴァ。
少しペースも速かったので、【中団】につけていたあたりは、「勝ちポジションだ!」と内心思いながら、レースの流れをみていた。
直線を向くまではロスもなく、「良し!」とみていたが、
「勝てるぞ!!」という期待から、
「あれ?出すとこないか?」と不安がどんどん大きくなる。
一瞬、あきそうだったが、すぐに外にいたドゥアイスと鮫島克駿騎手が蓋をしてきた。
今までならば、
・外国人騎手は強引に蓋をして進路を譲らない
・日本人の若手騎手は蓋ができずに外国人騎手に楽な競馬をさせる
といった差があったように思うが、
J.モレイラ騎手とマスクトディーヴァを相手に“27歳の鮫島克駿騎手”が蓋をするような騎乗をしたことについては、「やりよる!」という頼もしさを感じることはできた。
ただ蓋をされた相手が、本命にしていたマスクトディーヴァだったから、
「褒める気持ち」よりも、
「おい!!やめてくれ!!」という悔しさの方が、強かったことは言うまでもない。
でも、「克駿なら、仕方ない」という親心のような気持ちもあったことは正直に言っておきたい。
先週のNHKマイルカップを勝ったジャンタルマンタル。
川田将雅騎手の手綱での完勝だったが、この馬に関しては、克駿は非常に悔しい思いをしていることを知っている。
デビュー戦→デイリー杯2歳ステークス
この2戦は、鮫島克駿騎手の手綱で連勝していた馬。
そのあと、朝日杯FS(GI)を迎えるタイミングで、川田将雅騎手に乗り替わりとなった。
「GIを勝てる馬とのコンビを先輩のトップジョッキーにもっていかれた」という悔しさ。
これは「誰もが通る道」とはいえ、克駿はミスをしていたわけではなく2連勝させていただけに、相当悔しかったはずだ。
GIII重賞は6勝。
GII重賞は4勝。
すでに重賞実績もあり、【GIタイトル】を手にするのも時間の問題といえるくらい実力のある騎手だけに、チャンスは訪れるはず。
ジャンタルマンタルだけでなく、
2022年の秋に神戸新聞杯でコンビを組んで勝利したジャスティンパレスも、その後、C.ルメール騎手の手綱に替わり、天皇賞春でGI馬となった。
【GI級の馬】を任されるようになっているように、実力は誰もが認めるところ。
あとはチャンスをじっと待つだけ。
J.モレイラ騎手が騎乗していた1番人気のマスクトディーヴァに対して、
「抜け出させたら勝たれる」という勝負の明暗をわける局面で、“ブロックができる”という根性は、たいしたものだと思う。
少し余談にはなるが、“佐賀県出資の競馬関係者の話”をしておきたい。
川田将雅騎手も、鮫島克駿騎手も、ともに佐賀県出身。
父親が佐賀競馬の元騎手であり、いまは佐賀競馬で調教師をしているというのも共通点。
“佐賀県出身”という縁もあって、
若手時代の川田将雅騎手を一流のトップジョッキーにさせるために支援していた“松田博資元調教師”の厩舎に所属して、良い馬の背中をたくさん知っているのが、鮫島克駿騎手。
一流厩舎で鍛えられてきただけに、川田将雅騎手に負けないくらいのトップジョッキーになる可能性も秘めた男が“克駿”だ。
ベガ(武豊騎手)
アドマイヤベガ(武豊騎手)
アドマイヤムーン(武豊騎手/岩田康誠騎手)
ブエナビスタ(安藤勝己騎手/横山典弘騎手/C.スミヨン騎手/岩田康誠騎手)
レーヴディソール(福永祐一騎手)
マルセリーナ(安藤勝己騎手)
ジョワドヴィーヴル(福永祐一騎手)
ハープスター(川田将雅騎手)
その時代のスタージョッキーや地方競馬からJRAに移籍してきた実力派ジョッキー、若手のホープとともに、スターホースで数々のGIタイトルを掴んできた名伯楽も、センスを認めて期待をかけたのが、“鮫島克駿騎手”だけに、これからが本当に楽しみ。
話を戻そう。
その“克駿とドゥアイズ”に蓋をされて行き場がなくなり、勝負どころで追えずに絶対絶命となった◎マスクトディーヴァは、内に進路を切り替えて、なんとか逆襲を模索。
そこから巻き返して3着まで迫った◎マスクトディーヴァは、このメンバーに入れば、やはり“強い馬”であるということを確信できたレースではあった。
【負けて強し】
勝ち馬に、0.2秒差。
2着馬フィアスプライドとはクビ差。
あの不利がなければ、【勝っていた】と思う。
いや、ここは勝ち馬に敬意を表すべきだな。
少なくとも、勝ち馬とは接戦の際どい勝負に持ち込めていたと思う。
マスクトディーヴァがドゥアイズに蓋をされていた時。
C.ルメール騎手騎乗のフィアスプライドが先頭に立って抜け出しを図っていたが、
ドゥアイズとマスクトディーヴァの外からスムーズに加速できていたのが、
黄色の帽子のテンハッピーローズだった。
ゴールが迫ってくる中、
「ん?9番?なんだっけ?」
というくらい、今回は厳しいレースになると思っていた馬。
気性が難しく、折り合いに課題がある。
末脚が武器であることは把握していたが、1400mがベストだと決めつけていたところもある。
最終追い切りをみても、馬が行きたがるところで乗り役が我慢させるのに必死で、チグハグにみえた。
レースにいって集中できると思っていなかったので、今回は“無印”。
ただ、レース前に話をしていた社台ファームの方の表情が目に入ってきた時は、「笑顔」が印象的だった。
『そっちか!!』
さすがに声には出していないが、心の中ではそう叫んだ。
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第19回 ヴィクトリアマイル(GI)
優勝馬 テンハッピーローズ
馬主:天白泰司氏
生産:社台ファーム
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こちらも“社台ファーム”の生産馬。
今年のヴィクトリアマイル。
社台ファームの生産馬で出走していたのは2頭。
1着テンハッピーローズ
3着マスクトディーヴァ
テーマは【芯】と【信】。そして【逆襲】だ!
このように掲げていたが、
ヴィクトリアマイルの予想記事にお付き合いいただいた方には、
【社台ファームの意地】に注目してもらっていただけに、
『そっちか!』という言葉の意味は理解していただけると思う。
馬券は外れたのでもちろん悔しいし、
参考にして購入してくださった皆様には「悔しい思い」をさせてしまっただけに申し訳ない決着だったが、
GIIIタイトルはあるものの、GII重賞を勝ったことのなかった“津村明秀騎手”が初めてGI優勝を勝つ感動もあっただけに、良いレースだったと思う。
馬券のリベンジは、オークスでこそ!!
この記事をご覧になられている皆様には、
馬券が外れた悔しさもあるとはいえ、
津村明秀騎手の初GI制覇を一緒に祝っていただけたら幸い。
メディアでも報じられている通り、
川田将雅騎手、藤岡佑介騎手、津村明秀騎手は、競馬学校の同期。
手足の長い津村明秀騎手は、騎乗フォームも綺麗で、学校時代は「同年代で一番優秀」と言われていたと聞く。
騎乗技術は間違いなく高い。
カレンブーケドールでGIを勝てるのでは?と期待した時期もあったが、惜しいところで止まっていた。
川田将雅騎手の活躍は言うまでもなく、藤岡佑介騎手は今年のフェブラリーステークスで2度目のGIタイトルを手にしたばかり。
この両名に遅れたとはいえ、同期で“最も馬乗りが上手い”と言われていた“無冠の帝王”が、ついにGIタイトルを手にした。
2016年の新潟大賞典。
金子真人さんの所有馬でディープインパクト産駒のパッションダンスを勝たせた時に、「やっぱり上手いな!そろそろGIを勝ちそうだ!」と思ったことを覚えているが、あれから8年も経っていたのが意外。
騎乗馬の質があがっていけば、もっともっとGIを勝てるくらい上手い騎手だと思うし、今回のヴィクトリアマイルの優勝をきっかけにして、今年もう一度GI優勝のおかわりに期待したい。
あれだけ折り合うのが難しく、集中し続けられないテンハッピーローズという馬が、ヴィクトリアマイルのレースだけは、集中できていたのが本当にすごいと思う。
あの馬を上手く操っていた“津村明秀騎手”の騎乗は、本当にあっぱれでした!
テンハッピーローズの関係者の皆様!
ヴィクトリアマイルの優勝、本当におめでとうございました!!
皆様、今回も最後までお付き合いいただき、御高覧ありがとうございました。
オークスも一緒に楽しみましょう!
また書きます!
是非とも、
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