凱旋門賞展望(本命ヴァデニ)

世界各国から名だたる名馬が参戦するヨーロッパの最高峰と言っても良いレース凱旋門賞。日本馬も過去最多の4頭を揃えて必勝態勢。日本のホースマンの悲願は達成され、日本中が歓喜に包まれるのか?今からワクワクが止まりませんね!
まずは大まかな展望をしていきます。
この凱旋門賞、英チャンピオンSと並んで今年度のヨーロッパ競馬を締めくくる大レースとしての位置づけ。古馬の欧州での競馬の大レースは春まで待たなければならないので各国から中長距離が得意な名馬が目標に定めてくるレースです。(但し11月にアメリカで開催されるブリーダーズカップ、12月に開催される香港国際競走等欧州がお休みの期間は遠征をする馬もいますので、目標を先に置いている馬もいます)
そして欧州の古馬混合G1の中でも圧倒的に多頭数での出走となることが多いので紛れも多くよりエキサイティングです。
次に傾向ですが、3歳、4歳馬が好成績、しかも牝馬の成績が良いです。
やはり斤量の恩恵がいまだ大きく、3歳牡馬で56.5キロ(牝馬は55.0キロ)4歳牡馬で59.5キロ(牝馬は58.0キロ)になっております。勝ちタイムが2分30秒を切る速い馬場になると3歳馬の軽斤量がより有利に働くので、馬場状態にも注目でしょう。
ヨーロッパの競馬場はほとんどが自然を生かしたコースを作るため、起伏が激しかったり、水はけが悪かったり、しかしその分ダイナミックで迫力のあるレースが見れる魅力があります。ここロンシャン競馬場もその一つです。セーヌ川沿いにあり、自然を生かしたコース設計となっています。よく雨が降ったら一気に馬場が重くなる(時計がかかる)と言われますが、理由の一つは立地による水はけの悪さが関係しているのではないかと思います。当日は雨予報。良馬場は少し望めないかもしれませんので、昨年と同等の重い馬場になる想定で考えるのがベターだと思います。
次にメンバー構成ですが、距離適性を考慮してバーイードという目玉の存在が回避したため抜けた馬はいない印象。ただ、GⅠ5連勝中のアルピ二スタやフランスダービー馬ヴァデニや前走アイルランドチャンピオンSで強豪馬を撃破したルクセンブルクや昨年の覇者で鞍上にデットーリを配したトルカータータッソ等日本馬も含め多士済々のメンバーで非常に予想のし甲斐のあるメンバーとなった。また出走頭数20頭というのも、各陣営チャンスがあると見ているからこそだと思われます。
続いて日本馬について。
過去に2着に4度でいまだに1着に届かず。重い馬場に跳ね返されているという見解が多いが、過去連対した4度は重馬場か不良馬場で、前走でフォワ賞を使ってロンシャンの馬場を経験してきたローテ。一概に重馬場だから駄目というわけではなく、適性があれば可能性はあるということになる。また、ロンシャンの1400mのレコードは1分17.05秒と日本のレコードよりも早い(コーナー1つの下り坂が続きスピードに乗りやすい側面はある)。良馬場なら更に可能性が広がるかもしれない。
やはり現地で一度使って、馬場の経験をすることは想像以上に大事かと思う。血統面からはやはりクラシックディスタンスの距離なのでスタミナを兼ね備える必要がある。特に母系が重要で、オルフェーヴルは母系にメジロマックイーン、エルコンドルパサーは母父がサドラーズウェルズとスタミナ豊富な血統。ナカヤマフェスタも母系に凱旋門賞を連覇したリボーがいる。今年は母系にモティヴェータ―からモンジューのラインが入っているタイトルホルダーにチャンスがあるかも。
最後にタイム。
正直持ち時計は参考にならないので、勝ち切れる、上位に食い込める能力の一端を見せていることが条件か。出来れば大敗経験なし(6着以下)、GⅠ連対実績は最低限欲しいところです。

それでは予想に入っていきます。

まずは有力馬の見解
☆ヴァデニ~今年のフランスダービー馬。前走愛チャンピオンSでは位置取りが少し悪く内に潜り込んだが最後は1着(ルクセンブルク)、2着(オネスト)と同じ脚色になり3着。展開のあやという感じもあるし、フランスダービーの圧勝から評価は落とせない。重馬場適正もあるし、内枠スタートということもあり有力。

☆アルピ二スタ~GⅠ5連勝の5歳牝馬。5連勝の中身はドイツで3勝、フランスで1勝、イギリスで1勝。GⅠの格から考えると少し落ちる感じはするが、前走でチューズデイ(もし凱旋門賞に出て来ていたら有力候補とみられていた)に勝っているのはプラス材料。あまり多頭数でのレースを経験していないので揉まれてどうかの心配はあるのと一気に相手強化が鍵。

☆ルクセンブルク~昨年の2歳GⅠフューチュリティTの勝ち馬で今年のイギリス2000ギニー(1600m)3着の快速馬。アイルランドの名伯楽エイダン・オブライエンが送り出す今年の傑作の一頭。前走で距離延長を克服し、ヴァデニやオネストを一蹴し能力の高さを証明した。更に400mの距離延長をどう考えるか、あと右回りがどうかという不安が残る。

☆タイトルホルダー~日本総大将。菊花賞以後の充実ぶりは凄まじい。逃げて後続に脚を使わせて逃げ切るスタイルは、豊富なスタミナと根性があってこそ。重いフランスの馬場をこなしてくれるんじゃないかという期待を持たせる。

☆トルカータータッソ~昨年の優勝馬。今年も重馬場想定で昨年と同じ馬場条件となりそうで、合わないはずがない。去年と違うのは多頭数の外枠ということ。ここまでの外は正直マイナス。血統面では父アドラーフルークに注目。メンドシーノも同馬の産駒。2020年に2着に来たインスウープも同馬の産駒と産駒の数が取り立てて多いわけではない中、凱旋門賞との相性は抜群。昨年アドラーフルークは亡くなってしまったが、これから数年は同産駒の出走があれば要注意か。

それでは私の凱旋門賞の予想です。

◎ヴァデニ

○ウエストオーバー

▲オネスト

△トルカータータッソ

△タイトルホルダー

△ミシュリフ

△アルハキーム

△バブルギフト

本命はヴァデニ。能力、多頭数レースの経験を重視しました。何と言ってもフランスダービー。先行抜け出しの圧勝劇で同じく出走するオネストやアルハキームを寄せ付けませんでした。能力は頭一つ抜けていると思います。前走の敗戦で評価を落としていますが、右回りの方が走りがスムーズに見えますし、位置取りの差が出たレースでした。地元フランスの右回りに戻るのはプラス。多頭数の内枠と好材料が揃った今回は巻き返しがあると予想します。

対抗はウエストオーバー。イギリスダービーでは直線致命的な不利も諦めずに差を詰めて3着を確保。その次走の愛ダービーではその鬱憤を晴らす圧勝劇。ヴァデニ同様前走の敗戦で人気が急落していますが、能力の高さは証明済み。良馬場でこそという馬の可能性もありますが、”一生懸命走る馬は道悪をこなす”という自分なりの経験から問題なしと判断します。

単穴はオネスト。上昇度は一番だと思います。フランスダービーではヴァデニに完敗でしたが、一走ごとに力を付けている印象。前走は後方待機策から一転中団につけることができて、レースぶりに進境が見られました。ルクセンブルクのスピードに屈しましたが、距離が400m延びて中団でレースを運べれば順位は逆転するでしょう。前々走でロンシャンのGⅠを経験しているのも強みですし、立ち回りによってはヴァデニを逆転する可能性を秘めています。

連下に昨年の覇者トルカータータッソ。自分の形に徹した時は無類の強さを発揮するタイトルホルダー。ヴァデニ相手に好走しているアルハキーム。どの相手でも堅実に走るミシュリフ。道悪適正で無欲のバブルギフトまで押さえます。ルクセンブルクは距離不安があるので3着まで、アルピ二スタは一気の相手強化で無印とします。日本馬には頑張って欲しいが、現実的に馬券になる可能性を秘めているのはタイトルホルダーだけかと思います。 

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