
僕らは、本当のAIをまだ知らない
ようこそ、新卒1年目の図書館へ。
えー、今回はですね。
パロアルトインサイトCEO 石角友愛さんの「いまこそ知りたいAIビジネス」を新卒1年目の僕Watanabe Keiがサマっていこうと思います。
石角さんは高校を中退し、海外留学で高校を卒業。その後ハーバード大学からグーグル本社に入社し、シリコンバレーでAI会社を起業し活動しているキャリアの多様性を感じさせていただける方です。
というわけで
◉本が苦手な方でも、わかりやすいような概要
◉日々どう生かせるかわかるようなアクション例
◉Keiのあとがき
の3本で今回もお送りしますっ!
では行きましょう。
1.本が苦手な方でも、わかりやすいような概要
この書籍は、AIの先端を触れながらアメリカを拠点に仕事をしている石角さんが「日本のAIなんでこんな遅れてるの!?ポテンシャルしか感じないんだけど!てかみんな勘違いしすぎ。AIと協業すれば企業も個人ももっと素敵な生き方を見つけることができるのわかってないよ。よし、私が一役買うか」とAIについて、ビジネスや人材、キャリアの観点でわかりやすく教えてくれているものです。
ざっくりしたサマリーは以下のTopicsでございます。
◉「AIが〇〇する」は間違い。「AIで〇〇する」
◉AIは人間の仕事を生み出してくれる。
◉データは集めればいいってものじゃない。ラベルをつけろ。
◉AI導入の壁は”現場”にある
◉今後始まるAIへのルール「芸術の著作権はどこへ?」
◉これからの市場に必要な3つの人材要素は「特化・適応・合成」
今回は、非常にシンプルでわかりやすかった。
正直、これからAIは思い切り存在感を増しそうだと考えている人も多いはず。DX(デジタルトランスフォーメーション)を考えている企業や、すでにRPA(ロボットプロセスオートメーション)などで一部「自動化」というAIの活用はされている例は日本でも多いし、ビジネスパーソンとして、それがどう使えるかは非常に気になるところだろう。
本書はそんな「ビジネスでどのようにAIを使えばいいのか」を考えるのに参考になると思う。というか「AIに頼ればなんでもできるぜ!神!」と神格化しすぎるのは良くない。正しくAIを理解することは、これから全領域のビジネスで必要となるに違いない。
では、そんな前置きはさておき、これから現場はどうしたらいいの?というか「僕これからこうしよう」的な僕の見解をアクション例として紹介することにします。
2.日々どう生かせるかわかるようなアクション例
◉AIが〇〇する」は間違い。「AIで〇〇する」
日本は、AIがロボットのような形をしている偏見があるようだ。日本でこのような勘違いが生まれているには原因がある。それはAIロボットの存在だ。
「AIロボの〇〇ちゃん」など、ロボット×AIの事例が一般消費者の目に止まりやすいためにAI=ロボットと勘違いをしている人も少なくないらしい。しかしAIとは機械学習を始めとする手法や学問領域の総称で姿形は存在していない。
本書の事例でも挙げてくれているが、僕もこの棲みわけが完全にわかっていたわけではなく、以下の事例のように違和感を持つことで理解した。今後、自分がAIを活用して…とビジネスを考えるときには、
その活用方法が以下であり
・繰り返す
・処理する
・予測する
AIが「手法」である認識を持つことで様々な掛け合わせをおこなう発想を持てるようになっておきたい。あくまで、インターネットと一緒でAIはインフラなのだ。
「インターネット”が”メールを送る」×
「インターネット”で”メールを送る」○
「AI"が"分析する」×
「AI"で"分析する」○
◉AIは人間の仕事を生み出してくれる。
「AIは人間の仕事を奪うじゃないか」と言われているが、それも正しくはない。なぜなら、AIは指示を自分で考えたり、イレギュラーを取り除く力はないからだ。倉庫の仕分け業務をずっと担っていた社員は、AIロボットに取って代わり「仕事がなくなってしまう」のか?
答えは否であり、その経験を生かしてAIにより良い学習をさせるための倉庫での立ち回りを学習させる「AIコーチング」を行う職業に取って代わるだろう。
また、注文対応を全てAIにやらせようと思っても、蓄積したデータに同じような発注履歴がなければ対応ができない。その時には人間が入り、イレギュラーへの対応をしていく。しかし、直近ではその点について課題もある。
「教えるコーチの恣意性」
要するに人間の指示に生じる偏見に応じて、AIの行動が偏っていくというもの。
もしAIの指示者がスニーカー好きで、大手のシューズメーカーから「新作の中から人気なシューズをAIで分析してほしい」と頼まれたら、故意に好きなシューズを優位に抽出させ、製品化させるかもしれない。
現在は、そういった課題を防ぐためにアルゴリズムを開示する必要のある規制「GDPR」が採択された。しかし、それはまだEUのみである。
この課題の対処方法は、AIビジネスが発展する今後より一層浮き彫りになるようだ。
◉データは集めればいいってものじゃない。ラベルをつけろ。
ビジネス上でAIを導入するとき、自分たちの溜めてきたデータが使えないことも多くあるようだ。
AIを取り入れる時点で、その目的をAIデザイナー(経営者とエンジニア、データサイエンティストをまとめ戦略設計をする職業)との打ち合わせで明確にし、必要な情報と、整理するラベルは何かを明確にしたのちにデータの蓄積を行うことが望ましいとのこと。
ただ、既存のデータを活用する方法もある。
既存のデータの塊の一部をAIデザイナーと分析し、分析結果で何が言えるかを確かめることで自分たちのデータが目的に合っているかわかるらしい。
とはいえ「自社のデータを他社に公開するなんて!」と日本では声が上がりそうだ。優位性を保つ上でその判断は正しい場合はあるだろう。
しかし、海外ではそれが主流であり良い判断だとシフトしている。
理由はデータ公開をすることで、データサイエンティスト(AIの開発から戦略への落とし込みを行う人)の人材獲得に繋がるからだ。
海外では「キャグル」という名前の「企業の公開したデータを使ったアルゴリズム開発コンペ」が開催されることも多く、優秀な人材には億単位の賞金が渡される。
また、AI人材は”コンペを開いているかどうか”を就職に重視するようになっており、日系企業でも2018年にメルカリがコンペを開催し、インドから人材を32人リクルートしたなどの流れがある。
今後僕も、自分で事業を立ち上げる際には必ず必要になるAI人材へのアプローチは重視したい。
まぁ、題材に戻るとそんなAI人材を交えながら目的に即した「ラベリング」を整理していくことが必要。
もし人材確保が難しいのであれば、公開可能・不可能なデータの蓄積場所を別にするなど対応は考えていきたいものだ。
◉AI導入の壁は”現場”にある
AIをいざ導入して、運用を始めたとしても上手くいかないことも多いようだ。現場でのフィット。これが導入の始めの壁なようだ。
・いちいちデータを打ち込まなきゃいけないのは面倒だ。
・前のやり方が慣れてるし、早いから。
・データの入力とかわからない。
など、日系企業の例も挙がっている。
システム的に効率化するものが、現場の人たちのアンラーニングを促せるわけではないらしい。
経営上層で話をするだけではなく、現場での運用の仕方も込みで仕様を考えていきたいものだ。
◉今後始まるAIへのルール「芸術の著作権はどこへ?」
ちょっとブレイクです。笑
AIが作った画像の著作権ってどうなっているの?というお話。
もし、ポケモンの画像を何百枚と集め、AIが画像を生成し新しいポケモンの画像を作ったとしたら
・それは著作権の侵害になるのか?
・作った画像の権利はAIの開発者?それともAI自身?
これは現在絶賛議論中のようだ。
海外では「エドモンド・ベラミーの肖像」というAIが生成した絵画が4800万円で落札された事例もあり、人間が生み出すか、AIが生み出すかという違いが何なのかを考えた答えはどうなるのか。
こういったアートの世界にもAIが進出することは今後多いにあり、その境目がどうなるかは実物だ。
◉これからの市場に必要な3つの人材要素は「特化・適応・合成」
AIで仕事が自動化されていく社会で最後に残るニーズは、
AIから分析されたデータを、どう価値に変えて事業と結びつけていくか
という命題だ。
そこで必要とされる3つの人材は、トーマス・フリードマンの書籍「フラット化する世界」に登場するタイプと類似しているという。
・特化型「プロフェッショナル」
・適応者「グレート・アダプター」
・合成役「シンセサイザー」
代替の効かない、高度な技術を持つ者。
高い技術を持ちながら、自分を様々な環境に適応させる者。
異業種の人材をまとめて動かすコミュニケーター。
今後は、「技術」が中心にそれをどう自分のキャリアに入れ込み設計していくかが鍵になるだろう。
3.Keiのあとがき
いかがでしたでしょうか。
watanabe kei的には「AIと協業する人生設計を考え、より人間らしく創造する人生を過ごせ」で集約すると思います。
個人的には、シンセサイザーな役割に非常に興味があります。
今後のキャリア設計は、組織横断型のシンセサイザーになる道が面白そうだと感じ始めているので、この領域もっと深めていきたいなと思っています。
本書はAIの企業導入例や、日本のAI市場のポテンシャルなど内容の詰まっている良書なのでまだ「いまこそ知りたいAIビジネス」を読んだことない人も、気になれば読んでみてくださいね。
では閉館。
いいなと思ったら応援しよう!
