【詩】シュロ
シュロは 一見 地味な木だ 同族のヤシのような 南国のアイコンにもなれず ソテツのような どっしりした存在感もない シュロは ホウキや縄になる木というイメージかもしれない
でも シュロの葉とアマガエルは アジサイとカタツムリよりも相性が良いし 雨が降ると閉じ晴れれば開くシュロの葉は 表情豊かだ それに シュロが自生する森は どこか謎めいて見える
それから シュロは 枯れても倒れても 絵になる木だ 高所から手招きする 枯れたシュロの葉は妖しく 横たわる幹は 昔の立ち姿を呼び起こす こうしてみると シュロは 地味な木ではない