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夜物語13 ひろえ編
はじめに
当小説には性的な表現がございます。
未成年の方や苦手な方はご覧にならないようにしてください。
ご理解ご納得頂けた方は下記より本編開始です。
夜物語13 ひろえ編
オレの名前は萩原。あるIT企業の上役をやっている人間だ。まぁ、世間から見たら地位も名誉も金もあるだろうが、そんなことはどうでもいい。オレの趣味は女漁り。オレにとっては女が全てだ。20世紀からパソコンの世界に入ったのはオタクだからじゃねぇ。自分で金を稼ぐにはこの分野が絶対に伸びる。そう確信してたからだ。そして特殊な免許なんかいらねぇ、弁護士や医者のようにな。自力でなんぼでも稼げるようになる。それがオレがITに仕事の業界を選んだ理由だ。
結婚や家庭なんてクソ食らえ。オレは若い20代の女と遊ぶことだけに生き甲斐を覚えてる40代の男ってだけだ。はじめは泡風呂で玄人のサービスを受けて来たが、それだけでは物足りなくなったオレは金を求めている女をリサーチして出逢うようになった。
ヤリたい男と金が欲しい女。分かりやすい綺麗な関係だろ、金の切れ目が縁の切れ目。希望額さえ満たせれば女も忽ち去っていく。オレもまた次の女を探して旅立つってわけだ。ここで気をつけなければならないのはクリーンじゃなきゃいけねぇってことだ。金に関してのトラブルは男も女も問わず、厄介だからな。
オレは仕事や個人用のスマホと出会い用の格安スマホの2台を携えている。混同するとトラブルの元だからな、出会い用のスマホに関しては出会い系なんて登録は一切していない。基本はSNSだ。あとは、オレたちのようなごく一部の人間だけが愛用している会員クラブってのが主戦場だ。オレはさまざまなルートを残したいから一つに絞ったりはしていない。
今日は「ひろえ」って女からのアポイントメントだ。珍しく出会い系からの方だ。例の一部の人間だけが加入できるあのサイトだ。今回のひろえって女はまだオレのものになるかどうかはわからねぇ。だが、多くの変態どもが興味を示している様子から上玉なのは間違いない。オレもそうなると興味が湧くって話だ。
あるホテルの一室にオレは行った。オレよりも収入のある人間が使う高級ホテルの一室、こういう時に社会的地位の高さっていうのは生きる。明らかに生活レベルの違う人間が使おうとすると訝しがられるが、ある一定より上の人間であれば時間さえ守れば貸してくれるし下手にホテル側も干渉しない。
ひろえは既にその部屋に来ていた。周りには下心丸出しの男どもが数人いる。この界隈の不思議で『じゃあ、みんなで』とはならない。みんな独占欲が強いんだろう。無論、オレもそのうちの一人だが。他の男と共にというのは許し難いな。視覚的に不愉快だ。
ひろえは個人的にはだが、最上級の上玉ではない。だが、決して不細工ではない。好みの問題だろうな。フェルメールが好きなのかモネが好きなのかみたいなもんだ。ドンピシャじゃないってだけだ、オレにはな。化粧は濃いめで派手だがきっと土台も悪くないだろう。年齢はどうだろうか。メイクのおかげでいまいちよく分からんが、想定よりは上かもしれん。20代半ば後半・・・30代頭もあるかもしれん。女のメイクは年齢を隠す武器になるな。
ひろえも感じているだろう、周りの男どもはオレを含めて全員が目的は自身の身体だと。この会のメンバーに声をかけるということはよっぽどの事態になっている女なのだろうから、覚悟は決まっているとは思うが。顔の派手さの割には身体は純粋というか何というか。武器になりそうなポイントは服の上からでは見受けられない。胸が大きいわけでも尻が良いわけでもなさそうだ。とにかく外見重視という印象だ。
「お待たせいたしました、本日はこちらの『ひろえ』氏のための会合に集まっていただきありがとうございます。まずは、本日の開催理由につきましては『不貞行為に対する慰謝料請求を受けたひろえ氏が支払える財力を持たないため』であります。」
なるほどな。急な金が必要になったパターンか。
「つきましては、今回は慰謝料の金額200万円がひろえ氏購入への金額になります、これからは詳細なプロフィールについて発表いたします。」
「氏名、横山ひろえ。」
「年齢、30」
「スリーサイズ上より80-57-82」
「得意体位、対面座位」
「胸のカップ数はB65」
「経験人数は30余人。妊娠経験は無し。堕胎経験もございません。」
「今回は金額が高額につき、対象者より出されていたNG項目については当事務局より無効と判断致しました。本人より出ていた項目と致しましては『膣内射精』『肛門性交』でございます。」
「なお、今回に関しましては金額の譲渡を事務局が確認致しましたら通常行われます不同意リスト等の作成も一切ございません。普段であれば『1年間のうちに妊娠した場合は罰金』などの隷属条件がつくこともございますが、今回はございません。極端な話でありますが、明日、妊娠させても肛門裂傷をさせても生命的な危機に直面しても、皆様に影響があることは一切ございません。」
「最終生理日は5日前となり、現在排卵日近く高温期でございます。」
この条件で200は正直考えものだな。今回は縁がなかったと思ってオレの伝手の中から選んでやるかと思っていたらだ。そうは問屋が卸さない事態が起こった。全員が手を引いて速やかに帰ってしまった。わずかに悩んでいる隙にだ。これがオレと社長や個人事業主として高収入を得ている人間の差だ。彼らは価値がないと踏んだ瞬間に手を引いてしまう。
理由は年齢と経験人数だろう。得てしてこの界隈では人気の妊娠可能性の高い時期の女にも関わらずここまで敬遠されたのは30代で経験人数も多く、また不貞行為が理由となれば口が軽い可能性も含めて信用に足らないと判断されたのだ。オレも本音はキャンセルしたいが。逆にひろえに聞いてやろうと思った。
「おい、金が欲しいか?」
「・・・はい」
「だったら怖い金貸しに借りるっていう手はないのか?」
「実は・・・そこからのお金も必要で・・・。」
なんて凝った完全な地雷女だ。こうなってはオレも手に負えない。というわけで、普段とは違う裏ルートでの調達とすることにしよう。
オレは即座に昔行きつけていた風俗店の店長・・・今は当時の一番弟子に引き継いでいるが経営を掌握している男に連絡をする。連絡先の男の名前は近藤誠という。この男は文字通り誠実でオレの生写しかという価値観を持っている。オレが女を買うのに引け目を覚えるようなバックグラウンドを持つ女も一定数いる、そういう女の引受先でもあるんだ。若い頃のオレは週に5-6の勢いでこの店に通っていたからな、当時を知っているスタッフからは常連を超えた扱いを受けていた、それこそ女の面接も担ったことがある。だから、こういうツテができる。
「分かった、先に200を『貸してやる』」
「えっ!?」
「勘違いすんな、貸すんだから返してもらう。お前のバックグラウンドは不良すぎる。とても個人で楽しめるような条件じゃない。だから、ソープに売ってその稼ぎで返してもらう。良いんだよな?」
「はい、先程もお伝えした通り、今回の対象者にはエクストラはありませんので。」
「というわけだ、オレに返し終わったらお前の稼ぎになるぞ。歳を考えろ、これしかねぇぞ。」
オレはひろえを近藤さんのところに連れて行く事にした。
「がっはっは、萩原くん!久しぶりだな!夜の種馬ぶりは聞いとるよ、今回は手に負えんやつだそうだな。」
「近藤さん、お久しぶりです。今回はどうしようもない奴なのでお願いします。まずは不貞行為で200万の金が必要です、それをオレが貸す形にしてあります。この店の上がりとオレへの返済を抜いてからコイツに返してください。歳は30、経験人数は30人超えですが、ガキはまだ出来てないそうです。」
「ガッハッハ、そりゃーお前さんでも手に負えないというか担いにくいわな!それでオレの店ってわけか、今は不景気でな客足も遠のきつつあるからな、女の数を揃えて客にアピールせんとな!」
「さらにこいつ闇金へのアレもあるそうで。」
「がっはっはっは、生きとるのが奇跡的じゃのう!マンコ差し出すだけで助かるんじゃから良かったのう。」
「ほら、礼を言えよ。」
「あ、あぁ・・・。」
「お前さぁ、そういう奴だからこんな人生になってんだろ、オレが買わないっていうのは相当な立場だって自覚しないとやばいぞ。」
「自分でいうのも流石じゃがな、萩原くんに買ってもらえん歳下の女はもうどうしようもない、生きる価値もない、存在する理由はなんなんだ、もはやこの世で空気を吸うことで二酸化炭素を排出するただの害悪に他ならん。」
「なんでそこまで・・・。」
「メス犬以下の存在で、ガキも孕めんとなると存在する価値がない、ガキを産ませて世の中のために貢献するのかと思えば、そんなこともなく、地球環境を汚染するだけの存在に存在意義を与え、客のニーズをも満たすようにするのだから感謝して欲しいものだな。」
「ひろえっつったか?お前はこういうのに値してしまう人間だってことを分かった上で言ってんのか?」
「そんな・・・。」
「早速客をあてがってやろう。」
近藤さんの店は値段も結構張る店だ、少なからず、誰でも抱けますってレベルに店じゃない。ホームレスだとか仕事をしていない連中に捕まるようなことがないだけ幸せだと思って欲しいもんだ。
「この客が希望しておる。」
ひろえを希望したのは体重150キロ、身長は2メートルはあろうかという大男、普段はパーソナルジムをやってる人間だそうだが、大男にも程がある。
「無理・・・潰れる・・・無理・・・。」
「無理もクソもへったくれもあるか。」
「がっはっはっは、貴様に選択肢があると思っているその脳の中身を見て見たいものだ、連れて行け。」
今回はオレは見学と行こう、変な客対策でモニターがあるんだ。スタッフがひろえを引き摺りながら部屋に連れて行く、手慣れたものだ。
「久しぶりに萩原くんもうちの店で誰かあてがおうか?」
「後で堪能しましょうか。まずはこの女の行く末を・・・。」
「そうだな、オレも見てみたいわ、がっはっは!」
近藤さんの店は高い分、細かいルールのようなものは設定されていない。一般的な常識の範囲内で充分許される。女を殴ったりしたら海に浮かぶことになるだろうが、そうでもしなければ咎められる事もない。ましてやひろえのバックグラウンドを考えたらだ。
モニター越しに大男がひろえと対面を果たしている。モニターが大半覆われそうになっている、よほどの大男だ。あぁ、近藤さんの店は先に客にカメラの存在を周知して納得している客しかいない。というわけで、細々したプライバシーだのなんだのという面に関してはクリア済みだ。
ひろえは店だというのに全くおもてなしの姿勢がなっていない、30にもなって、これでは立場がわかっていないな。あっという間に素っ裸にされているが、正直、魅力は皆無だ。薄いし出るとこも出ていないし肋骨も浮いている、ヤク中かと思わせるような風体だ。だが、大柄の男はそれが良かったようでひろえに襲い掛かっている。
「あぁ、あいつにピルを渡すのを忘れていた。がっはっは!」
「いいんですか、今日高温期とか言ってましたけど。」
「知らん!金を稼げなきゃ寿命ってだけだ、がっはっはっは!」
オレたちがくだらない話をしている間に、ひろえはあっという間に大柄の男によって子種を注入されていた。もちろん、この店では全く問題にならない行為だ。
オレはつくづく貸すという選択肢をとって良かったと感じている、オレにだって女を選ぶ権利があるからな。オレが見境なく襲っていると思っている連中もいるようだが、バックグラウンドと外見の要素はゼロになるわけではない。見窄らしい女はお断りだ、オレだって金を払うからには相応の対価を要求するって話だ。そろそろオレの一人語りでもして情報共有をしたほうがいいか?変な噂の流布が進んでる気がしてならねぇ。
おっと、またひろえが出されちまったようだ。歴史的な大男とヤク中もどきの女、こういう場所がなきゃ絶対に交わらねぇだろうな。あれはなんて言うんだ、騎乗位なのか、ベアハグなのか。体位という言葉で表現できるのか・・・?
可哀相とは微塵も思わねぇが、オレがひろえの立場になるにはごめん願うな。誰しもを抱くと思ってた連中の予想を裏切るような結末になったかも知れねぇが、オレにとってはこれも手段としては当然持っている武器の一つってわけだ。金を返してもらう事でひろえとオレの関係は薄く長く続いて行くってわけだな。
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