米国IPO通信(10月26日週/振り返り編)
公認会計士のけい ( @Kei_IPOstock )です。主に米国IPOに関する情報を発信しています。
米国IPO通信では、米国新規IPO銘柄並びに2020年IPOの主力銘柄に焦点を当て、1週間の振り返りを行う「振り返り編」と、次週の戦略を考える「戦略編」を毎週発信しております。
本記事は「振り返り編」となっておりますが、別途「戦略編」も併せてお読みいただけるとより理解が深まるかと思いますのでそちらも是非ご覧ください。
また、本アカウントでは「1分で理解する新規IPO銘柄」シリーズとして、目論見書の重要な点についてサクッと理解できるようなコンテンツも併せて発信しておりますので、ご興味がある方は、是非本アカウント並びにTwitterのフォローもお願い致します。
記事は無料で公開させて頂いておりますが、IPO銘柄データベース等の更新等、かなりの時間と労力をかけて対応しております。もし、価値を感じて頂いた方は今後の継続して発信し続けるためにも、是非投げ銭サポート頂けますと幸いです。今後ともよろしくお願い致します。
1.新規IPO銘柄の振り返り
10月26日週では新たに8社が上場しました。当初は10社以上の上場が予定されておりましたが、地合いの悪さ等もあり、上場延期にした会社が複数社あったのも特徴的です。
中でも、Lufax HoldingのIPOは、フィンテック企業によるIPOとしては、米国IPO史上、過去最大規模のIPOとなりました。
また、MediaAlphaのIPOは米国株インフルエンサーのじっちゃまこと広瀬さんが「ホットディール!」と言ったこともあり、日本人的には結構注目を集めたディールになったかと思います。
さて、今週IPOした、計8社のうち、Root、MedliaAlpha、Lufax3社については、目論見書のサマリーを出しております。
お忙しい方でも、サクッと1分位で理解できる様に、とにかく重要な点を簡潔にまとめています。ご興味ある方はリンク先をご参照ください。
① Root Inc.
ビッグデータにより各人に安価で最適な自動車保険を提供するInsurTech会社
② MediaAlpha
保険会社や代理店の顧客獲得を支援するマーケティングテクノロジー会社
③ Lufax Holding
個人向け金融サービスプラットフォーム運営を行う中国のフィンテック企業
なお、今週のIPO銘柄についての、IPO後の値動きに関しては、以下のようになっています。
初日にMediaAlpha(MAX)が初値からジワジワ上げ、一気に$30を超えてきましたが、初日終値以降はあまり上昇していません。
また、他の銘柄についても、地合いの悪さも重なり、かなり厳しい展開となっています。
特に、RootやLufaxについては、それなりの注目度はあったものの、金曜終値ベースでは、公募価格を下回る展開となっており、異常事態となっています。
通常、IPO時の公開価格は、主幹事会社が機関投資家の感触や類似会社等のバリュエーション等も考慮しながら、発行体と議論しながら、理論価格を見極めます。そして、さらにそこから、IPOディスカウントと呼ばれるディスカウントが20%程度考慮されて決定されます(つまり、理論価格が$100とすれば、公開価格は$80位になる)。
したがって、公募価格を下回るという状況は、割安な水準をさらに下回っている状況となり、明らかに異常事態です。
同じようなことが、以前Rocket Company (RKT)でも起こり、IPO直後は公開価格を下回って一時期推移していましたが、Jim Cramerやじっちゃまが、「Rocket Comapnyの株価が明らかにおかしい!!」と言って、一気に高騰したことがありました。
今回の場合、地合いがかなり悪いこともあり、いきなり高騰するという可能性はあまり高くはないかもしれませんが、どこかのタイミングでさすがに調整は入るのではないかと思っています。
2.2020年IPO主力銘柄の振り返り
2020年に新規に上場した計19銘柄についてウォッチしています。
①全体の相場観
新型コロナウイルスの感染者増加、欧州の再ロックダウン、大統領選挙、長期金利上昇等の影響が重なり、IPO系のグロース銘柄は大きくダメージを受けました。
上記表の通り、週間上昇率はPLTRを除き、全て下落となるかなり精神的にもきつい一週間になったかと思います。
月間上昇率で見た場合でも、下落している銘柄の方が多く、10月は本当に厳しい月となりました。
②クワイエットピリオドを経過した会社の目標株価が新たに提示
IPO後、一定期間クワイエットピリオドと呼ばれる期間が設けられます。
今週は、Palantir Technologies、Asana、Yalaの3社がクワイエットピリオドを終え、新たに目標株価が発表されました。また、Big Commerceについても、新規で目標株価の更新がありました。
なお、PLTRについてのレーティング機関のコメントは以下の通りです。
PLTRのレーティングに関するコメントまとめ
・Jefferies→30%以上の成長と収益性の加速を達成可
・Goldman→顧客数が少ない、取引が活発でない等
・Credit Suisse→差別化は評価するが、2000年の成長率30%以下でマージンの拡大には限界か
また、その他の会社も含め、レーティングや目標株価、また現在の株価との乖離率は以下の通りです。
3.急上昇銘柄の検証
今週から、急上昇銘柄の検証という項目を設けてみました。本項目では、2020年にIPOした銘柄を母集団として、週間上昇率でランク付けを行い、急上昇している銘柄について分析します。
公開価格、初日終値、前々週終値、前週終値、今週終値の株価推移を追うことで上昇モードに転換した銘柄を早めに見つけ出すことが出来ないかという仮説の下、分析を行っています。
バイオテクノロジー企業が多いのですが(バイオテクノロジーは正直私自身あまり知見がないのでパスさせてください)、この中では、以下の会社がじわじわりと上げてきているように見えます。
✔ Li Auto (LI)
✔ Palantir Technologies (PLTR)
PLTRについては、私の方でも追っていましたが、LIはノーマークだったので、追加で調べてみても面白いかもしれません。
以上が10月26日週の振り返り記事となります。
最後までお読みいただきありがとうございました。
以上の振り返りを踏まえ、別記事において、翌週の戦略についても配信しておりますのので、宜しければそちらも見て頂けると嬉しいです。
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引き続き宜しくお願い致します。
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