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司法試験短答式試験



1 序


 こんにちは。月詠/keiです。前の記事では論文式試験を主眼に自分なりの攻略法を考察してみました。しかし、どうやら昔の自分は(生意気にも)短答の勉強法等という下書きを書いていましたので、ついでにこれも少し改造して投稿しようと思います。多少、文が繋がっていないところは加筆修正したのだと察してください。
 私も短答が大嫌い(予備短答全敗)だったのですが、勉強法を変えたところ、昨年と比較して20点弱(120点台→140点台)上昇したので、ある程度短答が苦手なタイプな方に刺さる勉強法なのではないかと思っています。短答の勉強法だけ見たいという方は、4.短答式試験の勉強法 だけ御覧ください。
 

2.今年の短答式試験について


⑴受験時の思考フロー


 民法は昨年より易化してるかな、といった印象でした。基本的には過去問で出題済みの肢の知識を知っていれば処理できるような問題ではあったと思います。前日に絶望せずに、ちゃんと債権総論・担保物権まで確認できていれば、65点以上は取れたのかなぁと少し悔しい思いもありますが、メンタル的には無理だった気もしますので、自分的には「やり切った」ということにしています。
 憲法は昨年同様の難度(あるいは昨年よりも多少難化傾向)かな、といった印象でした。
 人権の判例などは一周読んでいたので、「この判例はそんな事言ってないやろ」みたいな感覚で削っていきました。統治は時間がなくて見直しが間に合わなかったので、あまり得点源にはならなかったですね(典型的・頻出度の高い統治問題が今年はあまり顔を出さなかったので、そこは運に救われた気もします)。
 論理問題は、昨年から引き続き、「まぁここはみんな〇(あるいは×)にするだろうな」って感覚で解いていきました。そもそも論理問題は、論理と論理の間を自分の解釈で埋めがちで、そのノイズが選択を誤らせているように感じています。自分の意見ではなく、「一般の受験生(通常の一般人でもOK)ならこれは×にするかな?」と考えるようにすると、比較的憲法の短答は安定して35点前後を取れるようになりました。また、出来るだけ部分点を取れるような工夫としては、切れない肢が二つある場合は、3問のうち2問が正解しているように調整したりしてましたね。ちなみに、憲法設問11問のように「111」にして部分点すら貰えなかった問題もありました。
 刑法は、昨年より易化しているかな、といった印象でした。少し論理問題(パズル問題)が多い反面、通常の問題は有名な論点や短答知識として過去問で聞かれた内容が殆どだったと思いました。論理問題は得意だったので、相性が良かったのかなと思います。
 

3.リベンジの際に決意したこと


 私は、リベンジするに当たって、来年の試験では短答で140点以上を取ることを目標の一つにしていました。
 昨年は論文が箸にも棒にも掛からぬ成績で、正直言って短答で満点を取っても挽回できないほどの大差で落ちてしまいました。そうすると、昨年の合格発表日から今年の試験までの約8か月間で、この大差を埋めてさらに余裕をもって受かる点数を安定して叩き出せるようになる必要がありました。……はい、無理ですね。実際に専業で毎日勉強しても、この差を埋められた自身は全くありません。
 そこで、目をつけたのが短答です。短答は苦手といえど、短答通過者の平均と同じ点でしたし、論文との比重では若干軽くなりますが、腐っても加点されるのであれば高得点を取って論文の差を埋められる要因とするべきだと考えました。
 ちなみに、短答で140点を取ると、昨年では大体論文の10点分に相当するアドバンテージを取ることができます。昨年の点数分布を見る限り、論文の素点が370点、短答で126点を取れば合格最低ライン(総合770点)に乗ることになります。他方で、短答が140点以上あれば、論文の素点が360点であっても、合計得点が論文素点370点・短答126点と並ぶことになるはずです(ざっくりとした計算なので、若干の誤差はありますが、大体こんな感じです)。論文で10点の差を埋めてくれるのはとても魅力的で、特に合格ボーダー層にとっては勝負を決する要因にもなりかねないんですよね……。なお、短答126点は昨年の短答通過者の平均点です。
 そういうことで、私は短答芸人となったわけです。
 

4.短答式試験の勉強法

⑴注意


 前提として、誰にでもウケる勉強法ではないと思います。特に、短答は武蔵理論(ド根性で過去問を周回する方法)が強いし、私の勉強法も根性論といえば根性論なので……。
 ただ、過去問を7周解いた!とかよりは武蔵理論っぽさが薄れているので、武蔵理論で結果が思うように出ないという方は試してみてはいかがでしょうか。
 

⑵昨年までの勉強法


 まず、参考までに昨年までの勉強法を書いておくと、ズバリ武蔵理論(もどき)です。短答を解いて、間違えた箇所を択一六法で確認してマーカーを引く。二周目は間違えた箇所だけを解いて、再度間違えた箇所は該当する択一六法の箇所を確認する。この作業を憲法と民法で二周した段階で本番に臨みました(なお、刑法は勉強時間が足りずに、総論部分までしか解けなかったので、各論は一切勉強せずに挑みました)。
 結果は、憲法35点、民法50点、刑法41点で合計126点でした(たぶん)。短答合格者平均点も昨年は126点で、順位は1700位弱とかだった気がします。
 

⑶今年の勉強法


 今年は、昨年の武蔵理論(もどき)を改造して、より丁寧に勉強することを心がけるようにしました。すなわち、間違えたところのみをピックアップして確認するのではなく、一問一問(一肢一肢)を丁寧にチェックすることにしました。

 たとえば、今年(R6年)の民法の設問1を解いたとします。
 肢アは、「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者について保佐開始の審判の申立てがされたときは、家庭裁判所は、保佐開始の審判をすることができる。」という知識の正誤が問われています。
 正解は×(誤り)です。11条ただし書に「第7条に規定する原因がある者については、この限りでない。」と定められており、「第7条に規定する原因がある者」とは、「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者」を指します。「この限りでない」の「この」とは、11条本文の末尾の「保佐開始の審判をすることができる」ということを指します。これらを踏まえて、同条ただし書を読むと、「『精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者(=第7条に規定する原因がある者)』については、『保佐開始の審判をすることができ(=この限りでは)』ない」となります。したがって、肢アは、11条ただし書きに反するものとして、誤りという判断に至るわけです。
 以上のような知識を、私は各肢(全ての肢)について民法・刑法は判例六法に、憲法は逐条テキストにメモしていました。
 ただし、上記のような内容全てを書くには判例六法の余白が少なすぎるので、たとえば、上記の肢アの場合は、「第7条に規定する原因がある者については、この限りでない。」と太字部分をマーカーや赤ペンで印をつけて強調し、余白に「事理弁識能力を欠く常況にある者も保佐開始の審判をすることができる×」とメモしていました。これで、肢アの知識と条文が紐づけられて整理できるようになります。

 なお、判例の事案や判旨が分かりにくい場合には図を用いる等、一見して理解できるようにしていました。

 このような作業を、短答過去問パーフェクトを一周する間に続けました。自分が正解したかどうかは関係なく、知識を一元化することにしました(偶然正解した等で知識の漏れが生じるのを防ぐためです)。繰り返し同じ肢が出てくることもあるので、その際には、「〇条の話で、こんな感じでメモしたな」ということを解きながら確認し、その条文やメモを再度見返す程度のチェックもしました。
 過去問を解いていて気付いたのは、基本的には過去に出題された肢(知識)で正解にたどり着くことができるということです。今年の上記問題でいえば、肢アないし肢オ全てが過去問で出題されたことがある肢なので、いずれも過去問を丁寧にやっておけば正誤の判別が可能である問題だと思います(任意後見の問題も過去二度出題された知識なので正誤判定ができます)。

 なお、個人的には二周目に入りたかったのですが、この作業を論文と並行してやった結果、3科目を一周した時点で既に7月1日だったので、二周目は諦めました。あとはこのまとめたものを当日の試験直前に見返しただけです。時間があれば、二周目・三周目と知識の整理を続けていくべきと思います(150点、160点以上を目指す場合)。

*いつか機会があれば、一元化したものを参考としてアップします(今はやる気が出ないのでやりません)。
*昨年・今年の憲法は、過去問対策だけでは確実に切れる問題がほとんどなかったと感じています。憲法に関しては、過去問で、細部を聞かれた判例とそうではない判例を分けて、前者については逐条テキストに載っている判旨部分はできるだけ全て確認するようにしていました。一応そこまですれば、ギリギリ「そんなことは言ってないやろ」で切れる肢があったかなという感じです。再リベンジすることになった場合には、前者については、判例プラクティス等を用いて一元化しようかなと思っています。
*刑法の論理問題は一元化教材には(判例知識を除いて)殆どメモしていませんでした。何度も間違えた問題や、どうしても難しいと感じる論点についてのみ、学説や問題の所在を端的に書き込むようにしていました。
 

5.総括


 以上が、私の今年の司法試験受験雑感(短答式試験版)となります。
 再現答案は予備校に提出する予定だったのですが、お前の再現なんか不要と断られたので(お祈りメールがきました)、せっかく作ったので、術式開示……ではなく再現答案を開示していこうかなと思っています(8月頃の意思)。
 ↑……等と言っていますが、結果的に再現答案は買い取っていただけることになったので、開示する可能性は低いと思います(12月の意思)。

 まぁ論文式についても、短答式についても大体のことは書ききれたかなと思います。また何か書き残したことを思いついたら続きを綴ろうかと思います。

 Xにて質問箱を開設したので、書いてほしい事項や質問等があれば質問箱に投下してください。

 以上! 今回も読んでいただき、ありがとうございました!

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