金継ぎ展
「昨年同様、金継ぎの展示をしたいと思っています」と先生が作品募集の声を掛けられ、図々しくも出してみようと思った。
というのも、展示会は先生のホームグランドの福岡県はうきは市にて行われる。普段ご一緒しない生徒さんの作品なども一緒だと聞き、見てみたい参加してみたいとの欲が出て手を上げることにした。まだまだ1年もたたないのに先生は快くエントリーしてくださった、嬉しい。
「水とフルーツと白壁の街うきは市」は、歴史の趣の残るおしゃれな街で、私の心をくすぐる街だ。その一角に展示させてもらえるなんて想像しただけでも心躍る。片道1時間半。そこまでのドライブも峠を越えると茶畑の段々畑が広がり、違う星にやって来たかと思うほどに、空や周辺の緑がとても美しく楽しい。カーブの多い細い道を気をつけながら走る道中も面白い。
先生はいつもこの道を通って通われているのだと同じ道だとそれも嬉しい。
最近開通したといわれる長いトンネルは、うきは市をぐっと近くにしてくれる異次元へのトランスポーターのようだ。とドライブ日記のようになるのでこの辺りで。前談だけでもこれだけ広がるので、今回の展示会への出展が、私にとってどれほどの執心ぶりか察してもらえるだろうか?(笑)
地域は”筑後吉井のお雛様めぐり”が行われていて街の中にはあちらこちらにお雛様が飾られていた。何ともよい季節の開催に本当によかったなぁとつくづく思う。
いたるところの気になる街の看板を横目に路地を曲がり金継ぎ展へ
今回搬入する珈琲カップを持参すると、先生は特等席を空けて待っていてくださった。骨とう品や並みいる生徒さんたちの作品の中にちょこんと置かれた父の珈琲カップはなんとも立派に見えた。
展示されたカップは、社会人になって初めて父母を私が招待した家族旅行で、小鹿田焼の窯元を訪れて手にしたものだった。思い入れも深く欠けたところを金継ぎにして本当に良かった。当の珈琲カップも、30年ほどの後に金の施しをして、生まれた地の近くにて趣のあるその場所でこのように座っているとは想像しえなかっただろう。珈琲カップひとつにも長く歩む人生みたいなもの、歴史みたいなものがあるのだなぁと思った。
そう思うとやはり、金継ぎにはロマンがあり深いドラマがあるように思えてならない。
展示へ声をかけてくださってありがとうございました。
次回は一つの作品として、ちょっとめがけて頑張っていこうかな。
ありがとう
2024.3.16
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