「木いちごの心臓」セルフライナーノーツ(前編)

矢澤豆太郎さんの創作短編集「Home.++」に寄稿した、音楽ゲーム題材のゲームSF「木いちごの心臓」の自己解説。含まれた架空要素と実在要素を仕分けつつ、登場する様々の元ネタや意図などをまとめたものです。

前編は冒頭から三セクションぶん(第六章から第二章まで)。かなりの分量と密度がありますので流し読み推奨です。
注意! 物語のネタバレを含みます。

全体

・木いちごの心臓
架空の音楽ゲームのタイトル、ミヤコの幼くも逞しい心、BPL2021文化でミームとなったワード「心臓」あたりに引っ掛けつつ、キュートさと作中に漂う不穏を兼ね備えたもの。これ以上ないタイトルを付けられたと自画自賛。

・主要登場人物名
「故郷」「あるべき場所」的な単語に引っ掛けたもの。
ミヤコ:都(宮処)。吉野朔実「少年は荒野をめざす」の主人公、狩野都からの借用でもある。
アリカ:在り処。ゲームメーカーのアリカ。
ハルヤ:古屋(フルヤ)のもじり。
カイリ:解離、乖離、海里。
サト:里、郷。

以下は該当しない人々。
ヨータ:名付ける前にあちらから名乗ってきたので由来なし。
カリノ:ミヤコと同じく狩野都から借用。もちろんこの作品ではミヤコとは別人だけど、かなりインスピレーションをもらったので、かぶりを承知で付けてしまった。ところで「カ」と「リ」が入った人物が3人もいることには提出後に気付きました。紛らわしくてすみません。

・特に強い影響を受けた作品
赤野工作「ザ・ビデオ・ゲーム・ウィズ・ノーネーム」。ゲーム文化を小説に落とし込む上での精度。
吉野朔実「少年は荒野をめざす」。かすかに、しかし確かにそこにある不安や不穏を背景にたたえながら、それでもさまざまな人間の意思が積み重なって、少しずつ希望や未来をもたらしてゆく物語。
コナミアミューズメント「KONAMI Arcade Championship」および「BEMANI PRO LEAGUE」。音楽ゲームのeスポーツという新しい文化の魅力。

第六章

・六から始まって七で終わる
ナンバリングは時系列順。一じゃないものから始まる話が好きなので、もう3回くらいやってる。おそらく発想元は円城塔の諸作。例えば「Goldberg Invariant」(七→二→五→……)、「Boy’s Surface」((0,0)→(5,1)→(1,2)→……)など。

・冒頭でクライマックスを示しておいて過去に戻る
初期プロットではこの六章がまるまる存在しなかった(そもそも語り手はミヤコで、アリカは端役の一人だった)。前作「夜の名前」でも使った構成なので少し躊躇したものの、現代の小説は冒頭にインパクトがないと離脱率が上がっちゃう!という謎の危機感を発揮して採用、構成を成立させるためにアリカが語り手に昇格した。変えてよかった。

・国際展示場
ミリウェイズ・アリーナ。架空。モデルは幕張メッセと東京ビッグサイト。名称の元ネタはダグラス・アダムス「宇宙の果てのレストラン」に出てくるレストラン「ミリウェイズ」。

・BBTR
構成上、「ベリービーツ」というタイトルは第一章の最後で初出しにするので、この章では意図的に略称しか出てこない。

・司会
森一丁の影響が強すぎて抜け出せてない。ゆるして。

・一万六千人のエントリー
ゲーム全体の国内プレイヤー数が10万人くらい。うち半分は一見さんで、複数回プレイヤーは約5万人。うちBBTRにエントリーするのは1/3くらい、というざっくり見積もりによる数字。

・勝敗はゲームのルールで決まり、背景では決まらない
司会こんなこと言わんやろ感があるけど、10thKACを観たときの所感を書き残したかったので言わせた。さらに根源を遡れば、DDR女性部門におけるgahouさんの実況。

・それぞれの事情をぶつけ合って、スコアが高いほうの勝ち
完全なオリジナルではなく、前作「夜の名前」に頂いた感想の一節(の改変)。あまりに感銘を受けたので入れた。

・プロレスの入場シーン
興行としてのeスポーツでも重要となるであろう、プレイヤー同士の人間関係(いわゆる因縁)の面白さを煽る実況解説は、国内外のプロレス文化に範の一つがあると思っているので。

・ハルヤ
2024年当時26歳。2011年、中学1年生のときにアプリ版「ベリービーツ」を始め、アーケード移行以後の2017年頃からトッププレイヤーとしてその名を界隈に広く知られる。BBTR2018で準優勝、BBTR2019〜2023で優勝。現在の本業はコンサルタント(まだ駆け出し)。構想上のモデルはTATSUさん、DOLCE.さん、SEIRYUさんをはじめとするBEMANIトッププレイヤーの方々。スコアネームがフリーダム(H*C#と書いてハルヤと読ませる)なのはRKS-32(じゅんた)さんがモデル。

・ハルヤのキャッチフレーズ「時代の言語」
ネット上でのハルヤの愛称の一つが「言語さん」であることから。スコアネームにプログラミング言語「C#」が入っているためであり、この部分の元ネタは「ノスタルジア」のスーパープレイヤーであるEXP?さん(通称:関数さん)。

・十五歳の超新星
超新星は新しい星じゃないけど語感優先(現実でもよくある)。

・ミヤコのヘッドホン
カイリのお下がり。むかし会社の同僚に薦められて話の種に買ったが、そもそも音楽が趣味というわけでもないのでほぼ放置されていた。実はけっこう高級品。イメージはDENONのAH-D7200。でかい。ミヤコは中学3年生になった2024年でもかなり小柄(140cm台前半)なのでアンバランスだけど、小学校のころから使っているのでもう慣れている。

・ハルヤのイヤホン
むかしアマゾンのランキングで上位にいたやつを適当に買ったら気に入ったので、同じ型番を買い替えながら使っている。直接のイメージはSONYのMDR-EX90SLだけど、ハルヤが使ってるのはもう少し安い学生向けのロングセラー品番だと思う。

・アクティブデモ
アーケード版「ベリービーツ」にはデモ画面で実際にお試しプレーができるシステムがあり、本番の前にそれを利用して判定合わせをするのが競技シーンの定番になっている。架空のシステムだが、元ネタはコナミアミューズメントの特許出願(特開2021-133131)。

・解説のヨータさん
第四章で出てくるヨータと同一。

・ステージと配信のモニターから音声が二重に聴こえる
BPL2021ファイナルステージの現地取材時の体験から。

・サンリオ
実在。本当はサンエックスのほうがミヤコのイメージに合うんですけど、できるだけ国を特定したくなかったので、国際展開がより進んでいるサンリオに。

・高級住宅街で見かけた張り紙
高級住宅街はアキシマ地区の中でも裕福な人々が好んで住むエリア。求人は地域の共有掲示板に貼り付けられていたもの。バイト先を立て続けに失って困窮したアリカが、求人サイトよりも良い情報が転がっているかもしれないと直感で思い付き、普段足を踏み入れもしない地域を彷徨って見つけた。

第一章

・アリカ
語り手。2019年当時23歳。高校卒業と同時に実家と縁を切り、以降はフリーターとして職を転々としながら暮らしていた。

・家政人
2022年現在、現実世界での一般的な呼称は「家政士」「ハウスキーパー」「家事代行」あたり。架空感を出したくて職名を意図的にずらした。

・三行広告の流儀
東海林さだおのエッセイ集「東京ブチブチ日記」で知った。

・カイリ
2019年当時39歳。貿易会社(商社)の常務。大量の物資と金をうまく動かす仕組みを作る仕事があまりに楽しく、土日も定時も関係なくいつも仕事ばかりしている。商社としては小〜中規模だが、アキシマ地区が工業や輸出入のいくつかの分野で特区となっていることから、同地区を介した本土と海外のやりとりに特化した商社として唯一無二の存在感を示している。

・Googleニュース
Googleによるニュース記事のキュレーションサービス。実在。

・改正リフシッツ法
もちろん架空。どのような法律であるかの情報を名前から読み取れないものにしたかったので、名前は適当な固有名詞として「理論物理学教程」で知られる物理学者エフゲニー・リフシッツから。架空の法律がガジェットとなるSFという一面は、宮部みゆき「母の法律」の影響が強い。

・性別に関わらず「養父」と呼ばれる
古い法律の条文をそのまま引っ張り出したりするからそういうことになる。本文に記述はない(語り手のアリカがそのへんの経緯を理解していないため)が、ミヤコたちに改正リフシッツ法を適用する件については別に措置法が作られたので、改正リフシッツ法の条文自体には全く手が入れられていない。

・あちらの国の言語では「首都」「都会」「皇宮」などの概念を表す名詞
物語の舞台が我々の知る「日本」そのものではないこと、これが架空の世界であることを示す記述。感想で反応を頂けてかなり嬉しかった箇所の一つ。ここに限らず、Wikipediaや団体名などを含め、本文中で日本という単語は一切出てこない。人物名が全員カタカナなのもその一環。

・ホテルの客室係兼雑用
昼にも夜にもバイトのシフトを入れさせてくれるシティホテル。アリカにとっても時間を金に変えやすいバイト先として重宝していた。長期改装とそれに伴う人員削減で免職。

・食事宅配業者の調理担当
アリカが食事作りにハマったきっかけ。いつまでも給料が上がらないことが分かり辞めた。

・人気文芸家の雇われマネージャー補助
食事宅配業者のバイト仲間から紹介された。気難しい作家の原稿執筆中にそばに控えておき、執筆関係から単なる思いつきレベルまでの要望(コーヒー、資料の調査、タバコやおやつの調達、素直な感想のヒアリング、その他あらゆる雑用まで)に応えて、ご機嫌を取りつつ原稿を書かせる役目。いわゆるなんでも屋としての経験は身についたが、さすがに精神的に辛くて辞めた。

・デザイナーズマンションのコンシェルジュ見習い
バイトのわりに給料が良かったので応募したところ、前記のマネージャー補助業のなんでも屋経験を買って採用された。2年ほど勤め、そろそろ正式コンシェルジュに格上げかという時期、マンションのオーナーが変わってコンシェルジュサービス自体が廃止されたため終了。

・児童の受け入れマニュアル最新版
マニュアルの初版は、改正リフシッツ法の適用が決まった前後から担当部署が突貫で作った。さすがにカバーできていない部分が多く、その後の現場からのフィードバックを受けてどんどん改訂が入る。

・国からの補助も毎月振り込まれる
改正リフシッツ法の適用に関する特措法に基づくもの。いずれも裕福な家庭とはいえ、さすがに無報酬で子供を押し付けておしまいでは通らない。

・領収書はあとで処理する
カイリもさすがにアリカを即日無条件で信頼したわけではないので、数ヶ月間くらいは使途をチェックしてたかも。でもどちらかというと、アリカを雇うためだけのマイクロ法人を立ち上げて色々を経費として落としたら節約になるかな、みたいな方面のことを考えている。仕組みを考えるのが好きなので。

・こんなに幼かっただろうか
ミヤコはもともと発育不良の傾向あり。とはいえカイリ家での生活で栄養豊富な食事を摂るようになってからはかなり改善された。

・髪は整えられておらず、服のサイズも~
カイリはそのあたりに無頓着というか気付かないタイプなので。

・H&M
実在。スウェーデン発、70カ国以上に店舗を展開する国際的アパレルメーカー。アキシマ地区にもショップを出店しており、現実世界の地方都市でいう西松屋+ユニクロ的な役割を果たしている。

・(家を)もらった
寝る場所があればいいタイプのカイリが高級住宅街に住んでいる理由。完全に持て余しているので、もう貸家にしてしまって別に安価なマンションでも確保しようかと悩んでいた矢先に改正リフシッツ法の話が舞い込んだ。

・ミヤコのタブレット端末
架空の機種だが、モデルとしては小中学生向け通信教育「スマイルゼミ」の学習用タブレット、およびAmazonのタブレット「Fire」シリーズのキッズモデル。

・翻訳カメラのアプリ
タブレットに入っているのは架空のアプリだが、文章のリアルタイム翻訳機能を持つカメラアプリ自体は実在する。一例として「Googleレンズ」。

・壁に二つの言語の対応表を作って、指差しで会話ができるように
中学1年生のときクラスにペルーの子供(ポルトガル語しか分からない)が転校してきて、当時の担任の先生が真っ先にやったこと。3年生のころにはほぼ普通に日本語が話せるようになっていて驚異を覚えた。

・学習で貯めたポイントで簡単なゲームを遊べる
モデルは前出の通信教育「スマイルゼミ」のシステム「スターアプリ」。

・ストロベリー・ミュージック
架空のゲーム。出自は架空のWikipediaの通り。名称の元ネタはYamajetの楽曲「strawberry music」。

・茶色い犬のワルツ
曲名の元ネタはショパン「子犬のワルツ」+Cymbals「怒れる小さな茶色い犬」。

・緑の髪の女
楽曲のモデル及び曲名の元ネタはイングランド民謡「グリーンスリーブス」。「茶色い犬のワルツ」にアレンジされたくだりは、19世紀に「御使いうたいて」(What Child Is This?)にアレンジされてクリスマスキャロルとして定着したエピソードが直接のモデル。よくある話ではあると思う。

・いかがでしたか?
アフィリエイト目当てにいいかげんな情報源をもとに信憑性の低い記事を量産する個人ブログの定型文。アリカはひとまず書いてあったらそうなんだーと信じるタイプ(なので作家のマネージャー補助やってるときは調べものに苦労したと思う)。

・グラッセ
おいしい。好き。

・操作を全て暗記してプレイするモード
いわゆるステルスモード。自主的に紙などで画面を隠す縛りプレーは初代「beatmania」(1997)の頃からあったらしいが、近代音楽ゲームにゲームシステムとして実装されたのはおそらく「beatmania 5thMIX」(1999)のHIDDEN+SUDDENモードが初出か。

・「緑の髪の女」の歌詞
架空の創作。元ネタである「グリーンスリーブス」を少しだけ意識している。

・架空のレバーを引く
結末は決まっていてもプレイヤーに最後の引き金を引かせる演出。内部的にはもう結果が決まっているガチャをプレイヤーのタップで「引いた」ことにするソシャゲの演出と似る。

・オプション画面に仕込まれた隠し要素
開発者からのイースターエッグはコンフィグかクレジット画面に仕込むものと相場が決まっているので。

第二章

・架空のWikipedia
プロットを文章化している最中、架空のゲームタイトルの歴史とそれを支える架空の音ゲー史を書き連ねたらWikipediaっぽくなったので、本当にWikipediaの体裁に整えることにしたのが発端。

・BerryBeats
架空。出自は架空のWikipediaの通り。特徴や歴史は「Tone Sphere」「Tap Tap Revenge」「ピアノタイル2」「CROSS×BEATS」「SEVEN’s CODE」「Audiosurf」ほか多数から要素を抽出してモデルを構築した。

・レボリューショナリー・フロア
既存の架空。前作「夜の名前」(「Home.」収録)より。

・キーボニクス:ゼロ
既存の架空。矢澤さんの「天使の約束」(「Home.」収録)より。勝手に出した。

・タップ・タップ・リベンジ
実在。2008年に7月にリリースされたスマホ向け音楽ゲームの最初期作であり、音ゲー史上の重要なマイルストーンの一つ。元は2007年11月に「Tap Tap Revolution」の名前でテスト公開されていた。当初はiOSの開発ツールキット(SDK)すらAppleから公開されていない時代のいわゆる勝手アプリで、iPhoneに改造OSの導入(脱獄、jailbreak)をしないとインストール自体できなかった。2010年にディズニー社に買収されるが、2014年にサービス終了。

・ジェット・スワイプ
架空。名前の元ネタは「SWIPE BEAT+」(2017)。

・アプリ系音楽ゲームにフリック操作を初めて導入した
実際の音ゲー史がロクに研究されていないのをいいことにBerryBeatsが最初だったことにした。なので作中でも独自研究の疑惑が付けられている。

・ナショナル・アート(NA)社
架空。名称の元ネタとモデルは米国エレクトロニック・アーツ(EA)社。

・MIKEPON
架空の開発者。モデルはSta(「Tone Sphere」「AIのべりすと」)、やねうらお(「BM98」「やねうら王」)ほか。

・ソフトによる譜面自動生成機能
一度ちゃんと歴史を研究してまとめたいと思っています。

・ClioneOS
架空。モデルはiOSだが、仕様は元ネタよりもオープンで、複数社が採用している(ただし完全オープンソースではなく、契約に基づいて提供されるプロプライエタリ部分もあり)。

・Android
実在。LinuxベースのGoogle製モバイルOS。

・Xindhi
架空。インドや中東で普及しているオープンソースOS。動作が軽く、低性能な端末でもわりと快適に動作するのが特徴。モデルはFirefox OSとKaiOS。

・三大モバイルOS
架空の概念。現実はiOSとAndroidの二強が続いており、第三勢力と目されたBlackberry OS、Windowsモバイル、Firefox OS、Sailfish OSなどは(一時期のBlackberry OSを除き)いずれも大きなシェアを持つに至っていない。

・フィンランド・オーツ社「PhonyPhone」
架空の会社の架空の端末。後にモバイル部門をオーツ・エレクトロニクスとして分社化したため、第七章ではそちらの名前で出てくる。会社のモデルはフィンランドのNokia社、中国のHuawei社など。機種名の元ネタはcapsuleのアルバム「phony phonic」。

・米国Amazon社「Rio」
実在の会社の架空の端末。機種名はアマゾンらしく川(Rio)から。ちなみに現実のAmazonも2014年に唯一の自社スマートフォン「Fire Phone」をリリースしている(商業的に失敗し一機種のみで撤退)。

・PhonyPhone G
架空の端末。モデルはApple「iPhone 3G」。

・インドの電気街ネルー・プレイス
実在。

・無料通話アプリ「Chatcat」
架空。モデルは「WhatsApp」「Skype」。

・ファイル共有ソフト「PresIDent」
架空。モデルは特になし。SNS普及以前の架空のインドでは、いわゆる面白画像・面白動画を、「presIDent」を使って偶然近距離に居合わせただけの人間同士で交換する娯楽が広く普及した。

・しかし2014年頃から~後発の音楽ゲームが台頭
架空の音ゲー史だが、ある程度は実際とも重なる。現実ではいわゆるアイドル系音ゲーの普及はブシロード「ラブライブ! スクールアイドルフェスティバル」(2013)、サイゲームス/バンダイナムコ「アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ」(2015)あたりが嚆矢。

・ベリービーツのスマホ版→アーケードへの進出
このあたりの下りで念頭にあったのは(ベリービーツとは異なる狙いによるものの)カプコン「CROSS×BEATS」→「crossbeats REV.」。

・アプリ版は更新終了し買い切り版が残される
遊べるかたちで残されてよかった。念頭にあったのはコナミデジタルエンタテインメント「ダンキラ!!! - Boys, be DANCING! -」。

・アミューズメント大手であるナップチューン社
架空。イメージしていたのはカプコン、タイトーあたりの自社運営ゲーセンを持っている会社。名前の元ネタはナップスター(音声ファイル共有&音楽配信サービス)+チップチューン(音楽ジャンル)から。

・自前のタブレットを接続してコントローラにできる
自前のコントローラーを接続できるアーケード音ゲーとして、例えば一時期の「GUITARFREAKS」(2ndMIX LINK KIT マイギター対応)がある。筐体にプレイステーション用コントローラの端子が設けられており、家庭用ギターコントローラを持ち込んでプレイできた。

・国連の「人類の進歩と調和」目標
架空。元ネタは持続可能な開発目標(SDGs)、およびその前身であるミレニアム開発目標(MDGs)。名前の元ネタは1970年の日本万国博覧会(大阪万博)のキャッチフレーズ、およびそれを引用したcapsuleの楽曲。

・ODOC(One Devide for One Child)
架空。元ネタは00年代後半に米国のNPOが提案・推進したOLPC(One Laptop per Child)構想。googleはじめ名だたる企業が出資し期待がかけられたが、成功を収めたとは言いがたい結果に。

・下位譜面(NOVICE/MODERATE)
ベリービーツの譜面は曲ごとに最大4つ存在し、下からNOVICE、MODERATE、ULTRA、EXT。EXTはアプリ版には存在せず、アーケード版から一部楽曲のみに追加された。eスポーツに特化した特殊難易度だったはずだが、プレイヤーからは既にあって当たり前な扱いをされている(ノスタルジアのReal譜面みたいな感じ)。

・[誰によって?]
単なるWikipedia演出として入れたが、この一言により「ギミックを仕込んだ開発者」「隠し要素を発見したプレイヤー」「開発者の意図を推測したWikipediaの著者」「それにツッコミを入れた別の著者」という多数の人間の意図が浮かび上がった、という感想を頂いて、確かに!になりました。ありがとうございます。

・出典は列挙するだけでなく~
ちなみにこのセクションは、第三章でアリカが2020年に読んだ時点での記事の再現。2024年くらいになったらもうちょっと記述や出典が整備されてくれてるといいな。

・Camille Noûs
カミーユ・ヌース。既存の架空。2020年頃にフランスの研究者団体が思想的な目的で仕立て上げた架空の著者名義。

・History of Music Video Games
架空。こんな成書があったら英語でもいいので私が読みたい。ください。

・Mimmay Publishing
民明書房。既存の架空。宮下あきら「魁!!男塾」に登場し、日本の漫画界からネットミームまで広く定着した架空の出版社。

・ゲームレヴ・オンライン
架空。前作「夜の名前」に登場した「アルカディア」コンパチのアーケードゲーム雑誌「ゲームレヴ」の流れを汲むWEBメディア。当初は雑誌側と並行で運営されていたが、作中の時点では紙媒体の「ゲームレヴ」はすでに休刊となっている。

次の記事につづく。

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