ありがとう 神戸のアンドレス・イニエスタ
2023年7月1日土曜日、ノエビアスタジアム神戸……遂にアンドレス・イニエスタ選手がヴィッセル神戸におけるラストマッチを迎えることになりました。
世界最高級の名選手でありながら、ヴィッセル神戸を新たな冒険の目的地にして、5年間もの間、僕たち神戸にいろんな感動を与えてくれた彼に感謝を感じながら、その思い出の一部をここに残しておきたいと思います。
2023年7月1日 vsコンサドーレ札幌
この日は日中あいにくの雨でした。
我らがヴィッセル神戸のホームスタジアム、ノエビアスタジアム神戸は開閉式の屋根を備えた全天候型スタジアムです。したがって、イニエスタ選手の神戸でのラストマッチを観ようと詰めかけたたくさんの観客は雨に濡れることもなくゲームを楽しめるわけですが、試合前のスタジアム前は雨天の下で、傘を持った、そのたくさんの人々でごったがえして少々大変でしたね。
試合は、イニエスタ選手が久々のスタメンで出場しましたが、1-1のドローに終わりました。
今やヴィッセル神戸の戦術のキーパーソンというべき大迫選手をスタメンから外して臨みましたが、それがまんまと裏目に出てしまったのだと思います。
神戸は前半、イニエスタ選手が入った中盤のスペースでセカンドボールをことごとく札幌に回収され、終始押し込まれて先制を許します。
世界的名選手であり、最高水準の技術を持つイニエスタ選手ですが、大迫選手が一旦ボールを納めてそこからシンプルに縦に早く攻める今シーズンのヴィッセル神戸のスタイルにハマっていないのは明白で、かつ試合感の欠如はいかんともしがたかったように見えました。残念ながら、イニエスタ選手のところが穴になっていました。
おそらく、相手チームの札幌もイニエスタ選手にボールが渡らないよう対策していたのもあったかもしれません。中盤でイニエスタ選手に2人がかりでプレッシャーをかけるシーンが散見されました。イニエスタ選手のボールタッチはわずかで、ボールが入っても相手選手にパスもドリブルもコースを消されてしまっていました。
イニエスタ選手が下がった後半15分くらいから、後半頭から投入された大迫選手を中心に逆転勝利を目指した神戸でしたが、結局反撃は、CKを見事マテウス・トゥーレル選手がヘディングで叩き込んだ同点弾のみに終わりました。
今シーズンのヴィッセルはこれまで首位争いをしていただけに、イニエスタ選手のラストマッチとしても、シーズンの1試合としても、アプローチの仕方に難がある試合だったなあと、少し残念に思いました。
これからイニエスタ選手への感謝の気持ちを書き残そうとしている身としては、かなり残念でしかたないのですが、試合にずっと出していなかったイニエスタ選手をスタメン起用するのではなく、きっちり自分たちのスタイルでリードを得てから、イニエスタ選手に出番を与える試合を目指すべきだったのかなあと思いました。
なんか試合内容としては、考えさせられた試合でした。
感動のセレモニー
さて、そんな試合のあとでしたが、満員の観客がスタジアムに残ったなか、セレモニーが行われました。
セレモニーの様子はヴィッセル神戸の公式の映像が素晴らしく良いので、お借りしますね。
セレモニーを見ながら、世界トップクラスの名手であるイニエスタ選手が、海外サッカーもずっと大好きな僕の、長年サポーターとしても関わり続けている地元のクラブであるヴィッセル神戸に加入してくれて、5年間も様々な感動を与えてくれたのは、本当に素晴らしいことで、幸せなことだったなあと思いました。
最後は、チームスタイルの変革の流れや、イニエスタ選手自身のキャリアが終盤に向かっていることもあってでしょう、必ずしも最高の形ではなかったかもしれません。
それでも、
ちょっと海外サッカーも好きな、神戸のサッカーファンが、他の街のクラブのファン・サポーターが一生のうちにそこまで味わえないであろう興奮と感動を与えてくれたことは、非常に幸せなことで、墓場まで持って行きたいな、と思います。
だから、そんな想いで、このnoteを書いてみることにした次第です。
Bienvenido ANDRES INIESTA
2018年5月26日 ノエビアスタジアム神戸
駆け付けた約8,000人のファン、サポーターの前に、ヴィッセル神戸と契約したばかりのアンドレス・イニエスタ選手が遂に現れました。
少々Wikipediaの文章を借用させてもらいますが、アンドレス・イニエスタ選手は、リオネル・メッシ、シャビ・エルナンデスと並び、FCバルセロナの下部組織が産んだ最高傑作であり、2010年代は、FCバルセロナの一員としてラ・リーガ及びUEFAチャンピオンズリーグ優勝、スペイン代表としてはワールドカップ2010優勝に貢献し、世界最高のセントラルミッドフィールダーと言われた選手です。
世界的評価がトップクラスであり、毎年サッカー関係者が世界最高の選手を選出する、いわゆる「バロンドール投票」では度々上位選出されており、特に2010年には、リオネル・メッシに次いで2位に選出されています。
僕の周りには、あまり海外サッカーまで見ない神戸サポーターもたくさんいらっしゃいますが、10代後半から海外サッカーにも興味を持ち、当時既に海外サッカーが趣味(ミーハーですが(笑))とまで言っていた僕の興奮はいかばかりだったでしょう。
当時ヴィッセル神戸は既に、オーナーである三木谷浩史会長が情熱とその資金力をクラブにたくさん注ぎ込もうとしている途上にあり、前年の2017年にはドイツ代表のストライカー、ルーカス・ポドルスキ選手を迎え入れていました。
ルーカスも、欧州の数々のビッグクラブを渡り歩くとともにドイツ代表では10番を背負いワールドカップなどで活躍した世界的名選手であり、神戸でもその決定力を十分に発揮していましたが、それ以上に輝かしい実績をひっさげたイニエスタ選手が、その世界最高水準のテクニックでルーカスたちのゴールを演出する……
ウェルカムイベントを前にして、そんな光景を目に浮かべていた、僕の当時の興奮はいかばかりだったでしょう。
それからというもの
それからというもの、ヴィッセル神戸は国内外からの注目度が、それまでに考えつかないようなくらい高まったと思いますし、イニエスタ選手がご家族を神戸に連れてきて、スタジアムだけでなく、僕らの身近な地元神戸の街のあちこちでの生活をSNSで世界中に発信することで、神戸の街や人たちにも、いろんな明るい影響を与えてくれたのではないかな、と思います。
例えば、こんなエピソードがありました。
三宮に住む、僕のサッカー仲間である友人の話です。
まだ当時小学生だった、彼の息子さんがある日、友だちと三宮辺りを歩いてるとき、その息子さんが家の鍵を道に落としてしまいました。
そしたら、その後ろから外国人の男性が鍵を拾って、息子さんたちを呼び止めました。
呼び止められた子どもたちが振り返ると、そこに立っていたのは……
イニエスタだった!
とのことです。
その話を息子から聞いた友人は、世界的選手のイニエスタの良い人エピソードに興奮し、当時1,000に満たないフォロワー数だったと思いますが、自分のTwitterにこのエピソードをツイートしました。
すると……イニエスタ選手の心温まるエピソードが世界中に広まったのか、バズりにバスって、なんといいね!が13万くらい付きました(笑)
ほんと、小さな極東の島国の神戸という小さな街に、いろんな感動と興奮をもたらしてくれたと思うんです。
このほかにも、イニエスタ選手はたくさんの思い出を残してくれました。
5年間の軌跡をここで上手く編集できる技量は、僕にはありませんので、このnoteを書くために僕が自分のiPhoneの写真フォルダに溜まっていた写真の中から、イニエスタ選手の思い出を振り返りたいと思います。
エピローグ
写真でイニエスタ選手の神戸での軌跡を振り返りながら、2021年の終わりから2022年は、ほとんど写真がないことに気付きました。
新型コロナウイルス感染症の流行によって、スタジアムや街中の広告などでイニエスタ選手を見かける機会もなかったからでしょうが、キャリアの終盤に差し掛かったであろうイニエスタ選手は、なかなか波に乗れないチーム状況とともに負傷がちとなり、奇跡的な巻き返しで残留した2022年の後半戦のヴィッセルからは、ほとんど姿を消していたからだと思います。
前述のとおり、彼の不在の間にできあがったチームスタイルのもとでは、コンスタントに試合に出てコンディションや試合感を整えられていない彼に、巻き返しの場が与えられることはありませんでした。
しかも、世界的名選手であるイニエスタ選手には、当然のごとく契約によって、破格の年俸が約束されています。
したがって、クラブの財政に関しての影響力も破格であり、諸々の待遇も別格であります。
噂で聞くところですが、そのことを必ずしも納得できていないチームメイトもいたかもしれません。
破格の年俸に見合う活躍ができていなかった最近のイニエスタ選手に対して、ファン・サポーターの視線も、必ずしも好意的なままではなかったであろうと思います。
イニエスタ選手が神戸を旅立つ決断をした背景に、そのことが影響したかは分かりませんが、世界的な名選手ですから、プロスポーツの世界で生きる自分の立ち位置が理解できなかったことはないでしょう。
しかし同時に神戸での冒険をこれまで以上に頑張って続けたいという気持ちもあったのかも……いずれにせよ、神戸退団の記者会見や、ファイナルセレモニーで見せた涙は、そういった葛藤もあって、かなり悩んだ結果なのかもしれませんね。
そんな中で、シーズン中のハードスケジュールや東京開催で、神戸サポーターの中でも賛否両論ありましたが、シーズンを優勝で終えたばかりのFCバルセロナの来日がありました。
スペイン側のプロデュースで、なかなかヴィッセルにも神戸サポーターにも100%好意的なイベントではなかったかとも思いますが、これほどまでに世界的スター選手を5年間も地元で見続けられたこと、興奮と感動を与えてもらったことを、私はあらためて誇りに思います。
イニエスタ選手が、こんな記事を読んでくれることは絶対にないと思いますが、、、
5年間、神戸でたくさんの感動と興奮を
ありがとう!
新しい旅の成功と、今後のご家族の皆さんとともにお幸せに人生を送られることを、ずっと願っています。