【問題解決のパターン07】入れ子の構造でコンパクトにする
「使う時は必要だけど、使わない時は要らない」
そんなニーズに応えてくれるのが、発明原理07 入れ子です。
発明原理07 入れ子
新しい価値をつくるために「2つのものを組み合わせる」とサイズが大きくなることがあります。
そんな時は、入れ子の構造を使ってコンパクトにすることができます。
次の図は、「発明原理07 入れ子」のイメージ図です。
複数のものがあってかさばる(場所をとる)場合は、イメージ図のように入れ子の構造にすればコンパクトになります。
「発明原理07 入れ子」のサブ原理は次のようになります。
サブ原理A:入れ子の構造にする
サブ原理B:複数を入れる構造にする
サブ原理C:通り抜けられる構造にする
サブ原理D:多層構造にする
サブ原理A:入れ子の構造にする
「使う時は必要だけど、使わない時は要らない」ということがあります。
例えば、ボールペンのキャップです。
ボールペンのキャップには、次のような機能があります。
インクが服などに付くのを防ぐ
ペン先を保護する
そのためキャップが必要になりますが、キャップを使わない時(=書いている時)は邪魔になります。
書く時はキャップを(ペン先の)反対側にかぶせておくこともできますが、かぶせるためには両手を使う必要があるので少し面倒です。
それで、次の図のような「ペン先が収納されるボールペン」が誕生しました。このペンはノック操作で、ペン先が出入りします。
ペン先を本体(ボールペン)の内部に入れることで、キャップが不要になりました。
また、ペン先の出し入れが片手で操作できるので便利です。
サブ原理Aの適用例は以上です。
次はサブ原理Bを説明します。
サブ原理B:複数を入れる構造にする
サブ原理Bは次のようになります。
サブ原理B:複数を入れる構造にする
複数の乗用車を運ぶ場合、それぞれの乗用車が自走すると、台数分の運転手が必要になり手間(労力)がかかります。
次の図のように、複数の乗用車を大型トラックでまとめて運べば、運転手が少数ですみます。
大型トラックを、複数の乗用車を入れる構造にすれば、一度に複数(4台)の乗用車を運ぶことができます。
サブ原理Bの適用例は以上です。
次はサブ原理Cを説明します。
サブ原理C:通り抜けられる構造にする
サブ原理Cは次のようになります。
サブ原理C:通り抜けられる構造にする
長い物を測るためには、長いものさし(スケール)が必要です。しかし長いものさし(スケール)は、持ち運びには不便です。その長さが邪魔になってしまいます。
そんな時は、巻き尺が便利です。
次の図のように、巻き尺では、スケールがケースに収納されます。
ケースの穴の中をスケールが通り抜けられる構造になっています。
長い物の長さを測る時はスケールを引き出して使い、使用後はケースに収納します。
長いスケールがコンパクトになり、持ち運びが便利になります。
サブ原理Cの適用例は以上です。
最後にサブ原理Dを説明します。
サブ原理D:多層構造にする
サブ原理Dは次のようになります。
サブ原理D:多層構造にする
フライパンには、次のような機能が要求されます。
焦げ付きにくい
熱伝導率が高い
保温性が良い
これらの複数の機能を実現するために、さまざまな工夫が行われています。
その1つに、表面への多層コーティングがあります。
コーティングを多層にすることで、複数のメリットを提供することができます。
サブ原理Dの適用例は以上です。
入れ子の構造にする方法
入れ子の構造にする方法として、あるものの中に1つのものを入れたり、複数のものを入れる方法を考えました。
さらに、穴の中を通り抜けられる構造にすることや、多層構造にすることを考えました。
入れ子の構造にするのにも、さまざまな方法がありますね。
次回は「発明原理08 つり合い」を解説します。
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参考文献
ゲンリック・アルトシューラー 『超発明術TRIZ シリーズ1 入門編「原理と概念に見る全体像」』の「付録1 典型的手法の表」
Darrell Mann 『TRIZ 実践と効用 (1) 体系的技術革新』の「第10章 問題解決ツール-技術的矛盾/発明原理」
Darrell Mann, Simon Dewulf, Boris Zlotin, Alla Zusman 『TRIZ 実践と効用 (2) 新版矛盾マトリックス(Matrix2003)(技術一般用)』の「第6章 発明原理集(拡張版)」
Yuri Salamatov 『超発明術TRIZ シリーズ5 思想編「創造的問題解決の極意』の「付録 B.発明原理」
高木芳徳『トリーズ(TRIZ)の発明原理 あらゆる問題解決に使える[科学的]思考』の「第2部 40の発明原理」
青戸けい『アイデア発想に役立つ「発明原理コレクション」オールカラーのイラストで分かる!』の「第1章 発明原理とは」