生活に音を重ねるイヤホンを買った
ずっと使い続けたイヤホンが壊れた。特にこだわりのない私は携帯を買った時に付属していた有線イヤホンで、散歩中、移動中に音楽を流していた。新たにイヤホンを探すことにして、自分はどう音楽と付き合うかを考え直した。
最近読んだ本「映画を早送りで観る人たち ファスト映画・ネタバレ――コンテンツ消費の現在形 (光文社新書) - 稲田 豊史 (著)」で映像作品をコンテンツとして消費する人が増えていると書かれていて、少しドキッとした。
私にとって音楽は消費しているのだろうか。目的にあったイヤホンを探した。
結果として私は耳を塞がないイヤホン「ambie sound earcuffs AM-TW01」を買った。
ノイズキャンセル機能はついていない。大きな音にすれば音漏れもするイヤホンだ。
購入してから数ヶ月、心地よく音楽と付き合えている。
どうやら私は音楽を映画のBGMのように、今の自分の置かれている状況や思考をより一層楽しめる隠し味として音楽を使いたいのだ。
仕事へ向かう移動中に、私は女王蜂の「十二次元」を聞くことが多い。というのも、これから戦闘が始まるから自分を鼓舞したいのだ。覚悟を決めて鋭い眼光で肩に武器のパソコンを携えている自分をより強く盛り上げさせるために。
ある散歩中は、欅坂の「サイレントマジョリティー」を聞く。音楽のテンポで歩く。犬に吠えられても、まるで自分の周りに道がひらけて周囲がザワザワしている声の一部になる。音楽をまとうことで、周りに左右されることが減るのだ。
イヤホンを検討していく中でノイズキャンセルイヤホンにするかをすごく迷った。が、私の音楽の向き合い方だと音楽が主役になり過ぎてしまう。
人の咳払いや、怒鳴り声、車の走行音が聞こえなくなるのは場合としてとてもいい。なぜなら、音楽に集中できるし自分の世界に入りやすいから。
私は普段自分の世界によく入り浸り過ぎているから、外出している時くらいは外の世界を感じねば。人として生きるために。
車の走行音と相性の良い音楽を添えるためにノイズキャンセルは辞めたし、耳を塞ぐタイプもやめた。(交通安全上も、周囲の音を拾っておいた方が安心するし。)
日常を妨げず、日常を少し前向きにさせてもらうために音を重ねる。
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