役員の去就について
私は土地家屋調査士という資格を保有しており、土地の境界(筆界)に関する専門家という立場で日々業務している。主に不動産取引の前提となる土地という客体の物的状況を、測量と登記申請というハード&ソフト的な処理で国のデータベース(不動産登記情報)に登録を行うことができるオンリーワンの資格になる。
土地家屋調査士という肩書を名乗るには、各都道府県(全国49か所、北海道は複数あり)に本部を多く土地家屋調査士会(単位会)に登録し、さらに会を束ねる日本土地家屋調査士会連合会の名簿に記載されなくてはならない(土地家屋調査士法第8条)。これは同じく法務省所管国家資格である弁護士、司法書士と同じである。
私は独立開業して12年目ではあるが、実は開業してまもなく所属する単位会の役員にひょんなことから就いていた。当時の単位会会長から直々に抜擢され、いきなり広報部長という面白い役目を引き受けさせていただいた。それから6年、つまり土地家屋調査士という仕事の期間の半分以上を、役員として単位会の会務と並行しておこなってきたのだ。
昨日、その役員としての最後の理事会に出席し、この6年間の会務を振り返ることとなった。
性格が父親譲りの「遠慮なし」「誰とでも喋れる」「緊張という言葉は辞書にない」というので、就任当初からどんな会議であってもバンバン意見を言う、アイデアを提案するときはそれまでに執拗なくらいリサーチをする、さらに自分たちの会務・業務に当てはめられるかの研究をおこなうという、要は要求&実践の日々であった。
例えば、グループウェアの導入(オンラインによる決済)、会議室のネット環境高速化、プロジェクターの導入、ZOOMの導入であったり、公式Youtubeチャンネル開設、新聞広告、デジタルサイネージ、LINEスタンプなど多岐にわたる。
どれも土地家屋調査士になる前に私がおこなってきた副業から発展させてきたものであるが、私が土地家屋調査士の社会しか知らない人間であったらここまでの想像力は働かなかったんだろうと思う。
一緒に会務をこなしてきた面々からすると、「何を言ってるんだ?」という怪訝な反応も見られたが、それを面白がって、翌月にはさらに発展させてとんでもないもを提案するのが心地よかった。
そんな変な役員のアイデアをたくさん採用してくれた会長・副会長・担当部の面々、さらには所属する数百名の会員に受け入れてもらえて本当に感謝です。みんなの業務が少しは改善できていればいいと思います。
最近では副業を勧める働き方改革なるものが浸透してきたが、私自身は95年から常に複数のジャンルで自身の能力を試してきたように思う。お金を稼ぐことは手段であって目的ではない。例え収入に結びつかなくても、自分が興味のあることは、単なる趣味ではなくライフワークのつもりでぜひ取り組んで欲しい。数年後にきっと生きてくるスキルもあるはず。
身近なところではPTAや生徒会など、お世話係と呼ばれる役員さんはたくさんいらっしゃいます。また今後自身がその役目を担うときもあるでしょう。そんな時は任期満了をじっと過ごすのではなく、是非と何かを改善(カイゼン)するトライをして欲しいものです。
また、当たり前だと思われているすべての事象・ルールをもう一度自身で組み立て・検証し直してください。失敗してもいいのです。さらにトライして改善できればそれが人の役に立っているんです。
役員を辞書で調べると「ある役目を担当する人(使用例、大会役員の指示に従う)」とありますが、私の解釈は違います。「その会、またその会にかかわる人の役に立つように努力する人」と思っています。役員は決して偉い人でもなければ重要な人でもないのです。
最後に、私の単位会でのお役目は一応区切りがつきました。今後は別のステージで人の役に立てるように努力したいと思います。
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