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大人と行きつけのお店

行きつけの飲食店がある、って、大人の証。
特に、バーとか喫茶店(チェーン店を除く)とか…カウンターがあって、店主と「久しぶり」と声かけあって近況報告するようなお店。
初めて喫茶店に入ったのは、高校生のとき。すごく大人になった気がしたな。
もともと外食が大好きだったけれど、その機会は田舎の農家の子供にはめったにないことだった。ごくごくたまーに親と一緒にあっただけ…親子丼とかソースカツ丼とかお子様ランチとか。
高校時代の、1970年代の小浜市にあった珈琲館…コーヒーゼリーがおいしかったなあ…高校生のたまり場になっていたような。今はないはず。
こうして、食事そのものよりも、その場の雰囲気を味わうために行くお店ができるようになっていったのです。現在、頻繁に行っているのは2か所。
一軒は、バー。
バーに一人で入るなんてすごくアダルト、だけど、私が一人で入れるのはこのお店のみです。店主とはバーを開く前からの知り合いで、オープン時からよく立ち寄っている。現在は立ち飲みの2号店も近くにオープン。個人経営の飲食店って、店主のカラーが、常連客やバイト学生の人柄にも反映されるね。それが、店全体の空気を作っていく。
2号店のバイト学生が卒業&就職すると聞き、ほんのちょっとしたお菓子をことづけた。その後2号店に寄ったとき、別の店員を介して、丁寧なお礼状を受け取り感動。その子が幸せに、そしてお店もいつまでも穏やかに続いていきますように。
もう1軒は喫茶店。
夫婦で経営されていましたが、今はマスター亡き後、妻だった方が頑張って続けておられます。私は20年足らずの常連だけど、ずーっと昔、大学時代から40年来のお客の方もおられて。親の介護とか老後とか、この年齢ならではの悩みを店主にこぼす光景もあり。店主に、「皆が悩みを吐き出してきたとき、受け止めるの辛くない?」と聞いたことがある。店主曰く「このカウンターが結界になるのよ」。どんな深い辛い悩みを聞いても、自分の心がやられることはない、とのことでした。そうか、バーも喫茶店も、カウンターって、店主にとっても精神衛生上大切な役割を果たしているんだね。
私はいつもカウンター越しに、店主の心に触れて浄化されていくような心地。
カウンターがあるお店に一人で、ゆったりくつろげる自分。大人には、こういう時間が必要不可欠って、思います。

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