自分の知らない世界
「栽培」とかけまして、
「寝かせたパン生地」と解きます。
その心は、ぼうちょうします。
#傍聴
#膨張
ラジオで阿曽山大噴火さんの話を聴きました。
阿曽山大噴火さんといえば、裁判ウォッチャーです。
裁判所での被告人などの悲喜交々を面白く紹介する方です。
裁判にはいろんな人間ドラマが埋まっています。
阿曽山大噴火さんの話を聴いていると、本当に人間は十人十色、しかも今まで自分の周りにいたことないタイプの人ばかり出てきます。
自分も仕事の関係で一度だけ裁判を傍聴したことがあります。
裁判員や検察審査員の候補者は選挙人名簿の中から抽選されるので、選挙管理委員会としてその説明会に行きました。
そしてその時に裁判所内の見学と実際の裁判の傍聴もさせてもらえたのです。
ちょうど判決を言い渡される裁判でした。
薬物売買の裁判のようです。
傍聴席には被告人の関係者と思われる方々が既に座っています。
サングラスにヒゲのごっつい体の男性と、金髪に染めた女性などで、見るからにヤンチャそうです。
そしていよいよ判決。
30代と思われる男性の被告人は再犯だったようで、裁判官が実刑を告げ、最後に諭します。
「再犯ということで今回は実刑となります。
刑期を終えるまでにしっかり反省してください。」
すると被告人は、とても素直に元気よく、
「はい!」
すかさず傍聴席の関係者達から、
「頑張れよー!」
手枷された両手を顔のあたりまで上げ、「任せろ」と言わんばかりのポーズをとる被告人。
またこの男はあの人達のところに戻るんだな。
奥さんなのか彼女なのかわかりませんが、女性は涙ぐんでます。
初めて見たその瞬間は、現実なのか作られた世界なのか戸惑うような感覚に陥りました。
傍聴席を出て、まだ少し判決の余韻が残ったまま廊下を歩きます。
すると廊下にある長椅子に、黄色のスーツ、柄シャツ、金のネックレス、剃り込みの入った角刈り、角度のあるサングラスをかけた男性が座っています。
映画やドラマでしか見たことがない、まさに絵に描いたようなチンピラです。
それでもこれは間違いなく現実です。
自分の知らない世界はまだまだ、しかも割と身近にもあるんなんだな、と気付かされました。
あれ以来、傍聴はしていません。
阿曽山大噴火さんの話を聞いて、ふと思い出しました。
また傍聴したい、とも思いました。