音楽と夜を歩く
暑いのと寒いのだったら汗だくになっても暑い方が好き、というくらい、寒いのが苦手。にも関わらず、震えるほど寒い冬の夜にも、つい、数駅分の夜の道を歩いてしまうことがある。
これはもう、私の癖みたいなものなのだ。
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学生の頃から、音楽と夜の道を歩くのが好きだ。
人と並んでアレコレ話しながら歩くのもいいけれど、その好さを語るのは別の機会に取っておくとして、今回は音楽と歩く話をしたい。
東京の夜の道を歩くと、不思議なくらい無心になれる。
その日一日が楽しくても、つまらなくても、嬉しくても、悲しくても、とにかく歩き出して、前進あるのみという状況の中を黙々と歩いていると、自分の中の色々な感情と向き合うことになって、少しずつ整理されて、だんだん落ち着いてくる。
いつも、歩くのはだいたい30分。
音楽で言えば、5〜7曲程度聴けるくらいの距離を歩く。
一緒に歩く曲は、特に決まったプレイリストがあるわけでは無くて、その日その時の気分で選曲している。
半年前にApple Musicを始めてからは、選曲パターンが無限大に広がって、歩く楽しさも倍増した。(ありがとう、サブスク。)
今日は冬のひんやり冷たい夜に聴きたい7曲を、ここにそっと置いていこうと思います。
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1. "orion"/米津玄師
イントロから、冬の星空が見えるよう。
冬の晴れた夜に東京の街を歩いていると、自然とオリオン座を見つけられるのはなんでだろう。これも一つ、癖なのかもしれない。
淡々と、進め進めというようなビートが心地よい曲。
2. "Ink"/Coldplay
1曲目の"orion"で掴んだテンポ感を保ちながら、更に夜の歩みを進めていく。
大きな音より小さな音。アコースティックギターのリフが好きだ。(生きているうちに一度でいいから彼らのライブには行ってみたい)
自分の体内から湧き出る鼓動のようなビートを感じながら歩く。
3. "Snowman"/Sia
ピアノの旋律に揺られて。
ベースの音に心鎮めて。
Siaの歌声に身を委ねて。
深い愛の唄。
ロマンチックで、何処か切なくもあって。
街の灯りと冬の冷たさが、より一層曲の世界に引き込んでくれる。
この曲では少しテンポを落として、ゆっくり歩きたい。
4. "Book of Days"/Enya
鐘の音が鳴って、彼女の歌声が響くと、異国の街に迷い込んだような気分になる。Siaの"Snowman"とはまた少し異なるエキゾチックな雰囲気。
弦楽とパーカッションの音が、時計の音のように聞こえて、時間の流れや季節の移り変わりのことを想ったりする。
5. "ボイル"/サカナクション
夜の街には、なんと言ってもサカナクションの音楽が合う。
2番の歌詞が特に好きで、嘘みたいにするすると連なる言葉たちが心地よい。Vo.&Gt.の山口一郎さんの言葉の選び方・使い方・遊び方、どれも素晴らしくて、心の底から尊敬している。
6. "HERO"/Mr.Children
聴くと、クレイアニメのPVを思い出す曲。いつ頃の曲だっけ…と気になって調べたら、なんと17年前!2002年12月にリリースされた曲だそう。
そういえば、最近、「今年の冬の曲といえばコレ!」みたいな音楽ってあまり無いように思う。私がTVを観なくなったからなのか。音楽の受容のされ方が多様化したからなのか。季節感のある曲が作られなくなってきたのか。
たまには季節を感じる曲もいいよなぁと思うし、そういう音楽、無くなって欲しくはないなと思う。
7. "話がしたいよ"/BUMP OF CHICKEN
Vo.&Gt.藤原基央さんの歌と1本のギターと鍵盤の音から始まって、徐々にバンドの音が集まって重なって行く。2番のサビに入る頃には、いつも自然と少し上を向いて歩きたくなっている自分がいる。広く澄んだ空を思わせる音楽。
そして、この曲が終わる頃には、その日の自分の気持ちを整理して、そっと家のドアを開けて、1日を終えるのだ。
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冬に歩くときは、勿論、身体はぬくぬくコート、首元はマフラーなどでぐるぐる巻き、手にはあったか手袋。
皆さま風邪をひかないように防寒対策120%で、グッドナイトウォーキングを。
Kei
P.S. 安全な明るい道を歩きましょう。