慣らし保育、慣れ保育
4月、新入園の子どもたちは初めての保育園での生活が始まります。
いわゆる慣らし保育の始まりです。
ただ、慣らし保育という言い方は“慣らし”という言葉が入っているように、「子どもを園に慣らしていく」という大人目線での言葉なのではないか?
…ということから、最近では「慣れ保育」という言葉を使う園も出てきています。
子どもを園に慣れさせるのではなく、子どもが園に慣れていく。
その主体は大人ではなく子ども。
そのための期間として捉えて、慣らし保育ではなく「慣れ保育」という言葉を使うのはいいことだと思います。
だって、「慣らし」保育という言葉には保育する側の驕りのようなものを感じますし…。
さて、そんな慣れ保育ですが、初めての園、初めての保育士、初めての友だち、初めてづくしのなかで、子どもは園に入ると大泣きしたり、なかなか別れられかったり、「行きたくない!」と園に行くことを嫌がったりすることがあります。
そんな姿にお母さん、お父さんは後ろ髪をひかれる思いで仕事に行かれたり、お子さんが園で泣いてないかな?と不安になったり、この期間は保護者の方にとっても大変な時期でもあります。
でも、子どもたちは今は初めての環境に慣れていないだけ。
どの子もいずれは保育園に慣れて、安心して過ごせるようになっていきます。
それに、そこで泣けるというのは、今までの環境と違う場所で過ごすことが分かっているから、ということ。
そして、別れ際に大泣きするのはそれだけ、お母さんやお父さんとの愛着関係ができているからこそ。
この慣れ保育の期間に泣けるというのは大切なこと。
そして、慣れ保育の期間の子どものそうした姿も保育士にとっては当たり前のことなんです。
慣れ保育で子どもが大泣きした時には、「そうだね。お母さん(お父さん)が大好きなんだね。」「保育園に来るのは初めてだもんね。少しずつ一緒に楽しいことを見つけていこうね」と、その子の想いや泣きたい気持ちを受け止めながら、少しでも安心して過ごせるようにかかわっています。
自分の想いを受け止めてくれる人がそこにいて、自分の興味あるあそびを一緒に楽しんでもらうなかで、少しずつ子どもは保育士や周りの環境に慣れていくようになります。
だから、今はまだお子さんが「慣れていく途中なんだ」と思って、泣いていることを気にしすぎたり、悩んだりしないでくださいね。
子どもと、お母さんとお父さんも、新しい環境で揺れ動くこの時期。
それぞれの不安や戸惑いを受け止めて、その想いに寄り添える保育士でいたいと思っています。