夫が「くも膜下出血」 vol.2
最愛の夫は「くも膜下出血」で緊急手術に
夫が意識不明で救急搬送され、病院の待合室で一人待つ私。
4時前、ようやくドクター(救命医)から説明を受けることができました。
「ご主人は脳内で出血していて重篤な状況です。」
「これから脳の専門医による検査をしますので、お待ちください。」
私はその時初めて事の重みを知ることになりました。
しかし、重篤という言葉を聞いても信じられない。信じたくない。
これまでに経験もないし想像もしたことがなかった、身近な人が重篤な状態。
明け方4時。普通ならみんなまだ寝ている時間。
それでも、私は父にLINEで報告しました。
当然、既読にならない。
誰と話すこともない、眠ることもできない。
また一人、心細く待つだけ。
1時間以上経ち、看護師さんに呼ばれました。
今度は診察室でなく最初に通ってきた方へ向かい、夫のいる処置室に案内されました。
そこには、静かに寝ている夫がいました。
落ち着いて見えるのは、麻酔のせい。
夫の周りにはたくさんの管や機器が見えました。
夫は生きている。
夫が生きていることを確認して安堵した私。
しかし、安心して良いのかどうなのか。なんとも言えない空気感が漂っている。
部屋の奥、PCの前に脳外科のドクターが座っていた。
近くに行くように促されるまま着席しました。
そして、ドクターは話をし始めました。
病名は「くも膜下出血」ということ。
頭の中でこんなことが起きていること。
これからする手術のこと。
手術をするリスク、手術をしても後遺症のリスク。
一通り説明が終わると、「質問はありますか?」と。
看護師さんが「先生はこのあと手術の準備に入りますので質問があれば今のうちに」と付け加えてくれた。
何も質問が思い浮かばなかった。
脳については勉強していたからか、ドクターの説明は理解できた。
手術にリスクがあっても、今はただ「夫をお願いします」そうしか言えなかった。
ドクターが去ってしまった後しばらくの間、夫に触れることができました。
もともと大きな手は浮腫んでさらに大きく感じたけど、変わらず温かった。夫の手の下に私の手を重ね、温もりを感じることができた。
夫の意識はないけど、きっと伝わると信じて伝えました。
大好きだよ。
私のこと大事にしてくれてありがとう。
幸せにしてくれてありがとう。
頑張ってくれてありがとう。
手術も頑張って。いつもはいいけど、今日だけは頑張って。
一緒に帰ろう。
子どもたちも待っている。
涙が止まらなかった。
怖かった。これが最後になってしまうのか。
残してきた子どもたちは会えないのか。
悪く考えないように、そう思ってもなんの確証もなくて、現実を受け止めることが辛かった。
時間が来て、夫はベッドごとエレベーターで手術室に連れて行かれました。
私はその場に残され、さらに涙が溢れ出した。
待合室に戻り母に電話すると、出てくれました。
父に送ったLINEはまだ既読になっておらず、読んでと伝え、同時に母に夫の状況とドクターの説明を話しました。
ドクターが仰った「手術中に亡くなるかもしれない」
その言葉を私が母に伝えた時、受けいれる覚悟ができていない私は絶望で目の前が真っ暗になりました。
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