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メタバースの活用・・・モビリティ時代からの脱却、そして温室効果ガスの削減へ

メタバース さよならアトムの時代(集英社)
メタバースという言葉を聞かない日がない中で、メタバースについての知識を深めようと思って本屋で手にとった本。この書籍は、最近娘がしきりにiPad画面を覗き込んでやっているClusterというメタバースプラットフォームの創業者が書いた書籍である。
これまでのコンピュータの歴史や、人類の歴史などを振り返りながら、メタバースの可能性や、日本におけるメタバースにおける可能性について述べられていて、理系脳と文系脳が交差するような内容であった。
人類の歴史の振り返りの中で、以下のようなくだりがある。つまり産業革命以後においては、化石燃料を燃やして得られた熱エネルギーを、運動エネルギーに変えて、人や物質の移動に使ってきたということである。アトムとは原子であり、物質ということで使われている。

こうして俯瞰して見ると、結局のところモビリティの時代においては、エネルギーのほとんどがアトムを動かすために使われたことがわかる。モビリティの時代はアトムが主役だったのである。
一方、これからの時代、つまりバーチャリティの時代の主役はアトムからビットへと交代する。ビットとはつまりデータだ。

メタバースさよならアトムの時代より引用(P.163)

■モビリティの時代からバーチャリティの時代へ
産業革命以後の200年、化石燃料を燃やして人や物質の移動に使ってきた。その結果が、現在の気候変動を引き起こしているということであり、この時代をモビリティの時代とすれば、その対抗する言葉が「バーチャリティの時代」ということで本書では提唱されている。
改めて、化石燃料がモビリティに使われてきたということを文字化されると、産業革命前と比べて平均気温の上昇を1.5℃に抑えるという目的のためには、無駄な移動をやはりなくすことが結局は求められるということが述べられている。
もともとはITを生業としている現状からWeb3についての理解を深めようとして色々な書籍を手に取っていたが、メタバースが、モビリティの時代を終焉に向かわせる一つの手段、つまりは化石燃料の消費をへらす手段になるということか。

■住宅販売にメタバース
ちょうど8/1の日経新聞には、以下のような記事が載っていた。凸版印刷社がメタバースをやっていることを初めて知ったのだが、その凸版印刷が運用するメタパにて、マンションギャラリーを開くようである。
これまでのマンション販売においては、モデルルームを作って、そこで販売をしていたが、無駄に作っているなと思っていたが、それがバーチャルになるということ。組み立てる無駄なエネルギーも減るし、そのモデルルームに訪れるというモビリティも不要になるということであり、やっとビジネスの中にもメタバースが入ってきたということか。

住友不動産は9月から、仮想空間「メタバース」で新築分譲マンションの販売を始める。不動産大手では初の動き。ネット経由で物件情報を3次元映像として見せ、オンラインで契約に結びつける。地方や海外在住者など遠距離の需要も取り込む。メタバースを使ったビジネスがゲームや小売りから不動産など高額商品に広がってきた。
メタバースではネット空間のアバター(分身)や仮想の展示を通じて商品を売買できる。住友不動産は今回、凸版印刷が運営するメタバースのショッピングモール「メタパ」に、住宅販売拠点「メタマンションギャラリー」を開設する。
住友不動産が国内で手掛ける約80物件のうち、まずは20物件程度をメタバースでも販売する。アバター分身を使った購入の相談や、営業担当者による無料セミナーなども予定。注文住宅の販売も検討していく。
メタバースでは窓ガラスの形状などを詳しく把握でき、実際に部屋にいるかのように内見できる。実物では1物件で数タイプの部屋の紹介にとどまるが、メタバースでは全てのタイプの部屋を見られるようにする。

2022/8/1 日経新聞朝刊

今後、温室効果ガス削減ということが投資にも関係し、企業成長にも関係してくるという中で、メタバースの活用が加速度的に進むのではないか、ということを感じる。引き続き、メタバースに関する情報にもアンテナを立てていきたい。

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