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脱炭素に向けた企業の動き・・・薄膜太陽光電池・CCS・バイオ燃料

今週は日経新聞には脱炭素に向けた企業の動きが取り上げられていた。目先での温室効果ガス削減の努力も必要だが、このような技術革新も合わせて必要になることを考えると、嬉しいニュース。3つのニュースを取り上げたい。

■室内や壁に薄膜太陽電池
有機薄膜型太陽電池の量産計画が本格化しているという記事が出ていた。この技術によって、窓や自動車の屋根などでも太陽光発電を利用できる。まず大規模な量産が計画されているのは建物の壁面などに貼る用途とのこと。いずれにしても軽くていろいろな場所で発電ができるということは、空き地に太陽光発電を並べるという異様な光景を作らずに、いやそれ以上に設置できる場所に制約があるシリコン型とは違い、様々な場所が発電場所になるということにある。

ドイツのスタートアップ、ヘリアテックは22年後半にも量産を始める。生産量は年間約60万平方メートルで23~24年の増産を視野に入れる。最大で年約110万平方メートルの生産能力にする。シリコン型を置けない建物のコンクリート製の丸い屋根や金属、ガラスの表面に貼る需要を狙う。
変換効率はシリコン型の半分の約10%だが20年利用できる。21年に始めた試験販売ではシリコン型よりコストがかかっているが、量産で半減する可能性がある。まずはシリコン型の設置できない壁面向けから供給する。重さは1平方メートルあたり2キログラム以下で23年には同1キログラム以下にする。
ブラジルのスタートアップ、サンニューは自動車の屋根などに搭載する電池を累計1万平方メートル以上生産した実績がある。軽いため電気自動車(EV)への搭載などで今後広がる可能性もある。
有機薄膜型で先行するのはスウェーデンのスタートアップ、エピシャインABだ。小型電池を21年12月発売した。変換効率は13%で寿命は約10年。空気の成分を測る室内センサーやカード読み取り機、火災報知機などに使われているという。

2022/6/10 日経新聞朝刊

■JERAや東京ガス、豪でCO2地下貯留
そして脱炭素のキーでもあるのがCCS(Carbon dioxide Capture and Storage:排出されたCO2を集めて地中に貯留するという技術)についての動きも今週は取り上げられていた。資源開発などで出るCO2を埋めるには「CO2の回収」「輸送」「貯留」の3工程が必要であり、一連の技術をCCSと呼ぶ。日米欧などが掲げる「2050年に温暖化ガス排出量を実質ゼロ」との目標を達成するための有力な手段とされる。
記事には、「「50年ゼロ」目標の達成には年50億トン強のCO2を貯留する必要がある。現在のCO2の年間の貯留可能量は約1.5億トンあるが、回収が追いつかず、実際に貯留できているのは年4000万トン程度にとどまる。」ともあり、このような動きが出てきたことは嬉しい動きである。

東京電力ホールディングスと中部電力が折半出資するJERAと東京ガス、INPEXは、オーストラリアで豪サントスが計画する世界最大級の二酸化炭素(CO2)の回収・貯留事業に参画する。液化天然ガス(LNG)の生産過程で出るCO2を地中に埋めるほか、日本で出たCO2を海上輸送して処分することも検討する。投資額は最大1000億円規模の見通し。日豪が手を組み、アジア太平洋地域の脱炭素需要を取り込む。

2022/6/9 日経新聞

■ユーグレナのバイオ燃料、給油所で本格販売
そして最後は、ユーグレナのバイオ燃料が本格的に販売されたこと。バイオ燃料も燃えれば二酸化炭素が出るから同じでは、と思ってしまうところであるが、化石燃料は地中に埋まっている炭素を掘り出して燃やして二酸化炭素にしてしまうが、バイオ燃料は原料となる植物の成長過程において光合成を行うことで二酸化炭素を吸収しているため、燃焼時の二酸化炭素の排出量はプラスマイナスゼロとなる、これがカーボンニュートラルになる。
価格を見ると1リットル300円。高いと思うが、昨今のエネルギーの高騰についてはガソリン代が税金の投入で価格が抑えられていること、そしてこのガソリン代というのは本来、温室効果ガスを発生させるのだからコストをより負担する必要があるのにしていないのだから、本来はそのコストを上乗せすれば、ユーグレナのこのコストは決して高くないのではないか、と思う。
今の補助金を全否定するわけではないが、このような新たな風を吹き込むためにも前例に倣わないことも必要な時が来ているのではないか。

ユーグレナは、同社が製造するバイオディーゼル燃料をガソリンスタンドで販売開始すると発表した。10日から一般消費者向けに販売する。これまで実験的に期間限定で販売した実績はあったが、本格的に販売するのは今回が初めてとなる。販売動向を見極めながら他の給油所への展開などを検討し、バイオ燃料の普及につなげる。
石油商社の中川物産(名古屋市)グループの中日リース(同)が展開する「名港潮見給油所」(同)で販売する。価格は1リットル300円前後になる見込み。ユーグレナが横浜市の実証プラントで製造する燃料や、協力会社が製造するバイオ燃料を供給する。

2022/6/11 日経新聞朝刊


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