家計データからCO2を算出する
1.家計データからCO2排出量を算出し「見える化」
日経新聞のPro会員向け記事に、興味深い取り込みを見つけました。その記事はニュージーランドの環境系フィンテック企業コーゴが日々の支出から消費に伴う二酸化炭素(CO2)排出量を算出するカーボン・フットプリント(CFP)管理サービスを日本で始める、というものです。
このサービスでは、銀行やクレジットカードなどの金融データ(取引明細データ)を使い、さらに各取引明細データのカテゴリー(約500)の取引に独自の「排出係数」を割り当てて、取引明細の支出金額を掛けて算出するというもの。つまり、
ガソリン 1万円 ✕ (ガソリンの排出係数)
スーパー 5万円 ✕ (スーパーの排出係数)
・・・
のような算出です。この排出係数はサービスを提供する国ごとに異なるデータを設定しているようです。その算出方法とは以下のように書かれていますので、このカテゴリごとに決められる排出係数というものに、この企業のノウハウがあるようです。
2.二酸化炭素の見える化で「排出削減の行動変容」
このサービスの目指すところは、個人が自分の排出したCO2の量を知り、排出削減の行動変容につなげる、という点です。このサービスにおいては、
・前月の排出量との比較(視覚化)
・応援メッセージを表示(コミュニティ)
・環境負荷が低い商品・サービスを選択した場合に拍手アイコンを表示
(ゲーミフィケーション)
と健康サービスなどでも取り入れられるような行動変容モデルをうまく取り入れている点、とても画期的だと思いました。
この記事で驚いたのは、ロンドンでのその行動変容の実績です。
3.排出量を起点としたプロモーション施策
さらにこのサービスをビジネスに繋げ、持続可能な状況にしているという点に興味を持ちました。上述したような見える化と個人の行動変容のみでは、なかなかマネタイズが難しいと思うのですが、さらに企業を巻き込むことで、企業による、個人のCO2排出量を起点としたビジネスを展開し始めているという点です。
4.気候変動への興味の高さと購買行動の低さのGAPを埋める
日本の気候変動関心層は高水準であっても、実購入が低いというアンケート結果も出ているようです。企業の商品・サービス開発、マーケティング戦略に課題とも書いてある以下の記事を読んでると、このコーゴ社の取り組みは日本においてもうまくビジネスモデルと組み合わせたことができるのではないか、期待を感じます。
すでに日本ではクラウド会計などのデータアグリケーターのほか、ポイント制度を持つ企業やオーガニック製品に力を入れる大手スーパーなどと連携しサービスを展開する方針とのこと。このサービスによって、個人の意識が変わることを期待しています。