洋上風力発電の課題、そして未来に向けて
今日の日経新聞で、北海道でも洋上風力発電の施設整備が進むというニュースが掲載されていました。エネルギーの地産地消は、送電によるエネルギー損失を減らし、脱炭素への取り組みとして重要な一歩だと思いました。北海道は再生可能エネルギーに適した地域であり、これからのエネルギー政策にとっても注目すべき場所です。
1.北海道での洋上風力発電の公募
北海道では、石狩湾内において石狩市による公募案件があり、今回、政府による洋上風力発電の公募が初めてとなるようです。
2024年度中にも事業者が決定され、30万キロワット規模の発電が期待されています。これは、原子力発電所0.5基分に相当し、北海道の電力需要を支えるものとのこと。特に、ラピダスの最先端半導体工場やソフトバンクのデータセンターといった大規模プロジェクトが進んでおり、電力需要の増加が見込まれているとのこと。
本州からの送電を増やすには多額のコストがかかるため、地産地消型の再生エネルギー導入は急務となっている状況ということでの、この公募のようです。
2.洋上風力発電のメンテンナンスの課題
洋上風力発電は、地産地消型エネルギーとして期待されていて喜ばしいのですが・・・メンテナンスが非常に過酷な作業であることも見過ごせません。
以前にふとテレビで見た風力発電の保守作業では、ロープで高いブレードまで登り、そこで作業員が塗装の補修を行っている姿が印象的でした。陸上でも大変な作業が、洋上となればさらに厳しい環境が想像されます。
そんな疑問を持ちながらWebで調べていると、リコー経済社会研究所に以下のような記述があり、どうも風車は大型化が進んでいるようです。発電されるエネルギー量は風速の3乗、プロペラの面積の2乗に比例するということで、より風が強いところに、かつプロペラを大きい風車を設置するという方向になっているようです。このため、メンテナンスもより高度な技術と労力を必要とすることになります。
3.保守メンテナンスの体制
リコー経済社会研究所によると、日本には2622基の風力発電施設がありますが、メンテナンス体制が整っているとは言い難い状況です。特に、日本には「グローバル・ウインド・オーガニゼーション(GWO)」の訓練施設が5つしかなく、今後さらに多くの人材が必要です。2050年までに洋上風力発電だけで1億キロワットの発電が見込まれ、運用・保守には1万9000人、関連業務を含めると4万8500人の人材が必要とされています。
私はグローバル・ウインド・オーガニゼーション(GWO)の認証施設での訓練が必要というのを初めて知ったのですが、以下のようです。この施設が日本には5施設しかないのに、今後はさらにこの人材が必要なようです。もっとメンテナンスがしやすい仕組み・構造にするとかしないと、日本では持たない不安があります。
4.日本の未来と風力発電
現在、日本では道路や橋、トンネルといったインフラの老朽化が進んでおり、メンテナンス費用が大きな負担となることが予測されています。風力発電についても、メンテナンスの負担が大きいことから、より効率的で持続可能な技術の導入が必要だと感じます。日本企業が革新的な風力発電技術を開発し、メンテナンスを軽減しながら世界に展開することで、持続可能な未来への大きな貢献ができるのではないでしょうか。