竹が未来を築く—竹筋コンクリートとカーボン吸収技術で環境を守る
最近、妻がふと教えてくれた話があります。「ちっきんコンクリート」という言葉を聞いたとき、最初に思ったのは「窒素を使ったコンクリート?」ということでした。でも実際には、「竹」を使ったコンクリート技術で、ちょっと驚きながらも、竹は成長が早いとか強度も強いとかと聞いたことはあるので、なるほどと思ってすぐに調べてみました。
1.竹筋コンクリートとは?
「竹筋コンクリート」は、鋼鉄の代わりに竹を使ってコンクリートを補強する技術です。竹筋(ちっきん)コンクリート協議会(事務局=新和設計)は、新和設計と日本大学工学部を中心に、鉄筋の代わりに竹材を使用したコンクリートを開発しています。実証実験で、竹を使っても鉄筋コンクリートの60〜70%の強度を実現でき、日本産業規格(JIS)に適合する強度データも得られています。
竹は成長が非常に速く、1〜2年で使用可能なサイズに育ちます。再生可能で、成長中に多量のCO2を吸収するため、カーボンフットプリント(製造や使用時に排出されるCO2の量)を大幅に削減できる、理想的な素材です。
一方、鉄筋コンクリートは、製造から建設に至るまで大量のCO2を排出します。1トンのコンクリートの製造で約410kgのCO2が排出され、さらに鉄筋自体の生産では1トンあたり約1.8トンのCO2が発生します。大規模な建築プロジェクトでは数十万トンものCO2が排出されるため、竹筋コンクリートの導入はCO2削減において重要なステップといえると思います。
2.カーボン吸収コンクリートの導入でさらなる効果
これまで3年ほどカーボンニュートラル関連技術にアンテナを立てていましたが、この竹筋コンクリートに加え、「カーボン吸収コンクリート」を使うことで、さらにCO2削減が進むのではないでしょうか。
この技術は、コンクリートが硬化する過程で空気中のCO2を吸収し、建物自体がカーボンネガティブ(CO2を排出せず、むしろ吸収する状態)になるという仕組みです。従来のコンクリートは、1トンあたり約410kgのCO2を排出しますが、カーボン吸収コンクリートではその一部を吸収し、CO2排出量を最大30%削減できるとされています。
この技術はすでに一部の都市開発やインフラプロジェクトで実験的に導入されていますが、普及のためには技術的な革新やコストの削減が必要です。それでも、もしこれが広範に採用されれば、地球温暖化対策として大きな効果を発揮するでしょう。
3.竹の活用でヒートアイランド現象も解消できる?
最近常に気になる、都市部のアルファルトでの塗り固めと、それによるヒートアイランド現象。
ふと思ったのは、さらに竹を都市の緑化や建材として活用することは、ヒートアイランド現象の緩和にもつながるかもしれないと言う点です。都市部では、アスファルトやコンクリートが日中の熱を吸収し、夜間に放出することで、周囲よりも温度が高くなるヒートアイランド現象が問題となっています。
竹は成長が速く、密集して植えることで高密度の木陰を作り出し、都市の温度を下げる効果が期待されます。また、竹は蒸散作用によって冷却効果をもたらし、アスファルトやコンクリートに比べて地表温度の上昇を防ぐことができます。
竹筋コンクリートや竹の植栽を増やすことにより、都市部での緑化が進むだけでなく、竹関連の新しい産業が生まれる可能性があります。経済的なメリットと環境保全の両立ができる形で、未来の都市開発を進めていけるのではないでしょうか。
4.未来への選択
私たちがこれまで当たり前だと感じていた都市の風景や建築のあり方が、環境にどのような影響を与えているか、これまで見てこなかったことを見て、事実を知り、見直すことが必要だと感じます。
竹筋コンクリートやカーボン吸収コンクリートのような革新技術が、持続可能な未来の都市作りに貢献できることは明らかです。しかし、コストということばかりを言っていると話が先に進みません。現状の技術が安いのは、CO2を排出することでのペナルティがないからであり、今後はそこにペナルティがつくのであればコストの高い技術になるはずであり、このようなCO2排出ガスを減らす仕組みは先行投資として前向きに取り入れるべきと思います。技術の進歩だけでなく、私たち一人ひとりが未来を意識して、そのような選択を行うことが、より良い地球環境を次世代に引き継ぐための第一歩となると思います。
共に一歩を踏み出し、自然と調和した未来を築いていきましょう。