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生徒が教えてくれたこと
どんなときと聞かれたら
とても迷ってしまうけど
きっと間違っては
いないと思う。
“ことば”じゃなくて
“こころ”で話す
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こんな経験ないかしら?
ときに“ことば”は
必要ない。
上手に話そうとすればするほど、相手はスルーしてしまう。
“届け!”
それだけ願うとき
“ことば”は初めて
羽を広げて飛んでいく
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合唱コンクールの練習中
黙って聴いていたときに
知らぬ間に涙が出てた。
なぜかは自分でも
わからない。
「良くなったね!」
「感動したよ」
「よく練習してきたね」
“ことば”で伝える術は
わかっていたけれど
自然に溢れた“こころ”を伝える術は見当たらなかったんだ。
子どもたちの声は
まるで
“そよ風に揺れる鈴蘭”
のように
優しくわたしのこころに
沁みわたっていったんだ
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メロディ奏で♪
子どもたちは歌い終わったあとも泣いてるわたしを
ただ黙って見つめていたわ。
一緒に泣いている子も
いたと思う。
会話はしていないけれど
“わたしは子どもたちの合唱から”
“子どもたちはわたしの
涙から”
お互いに
“こころ”と“こころ”
が、響き合った
そんな感覚だったように
思うのよ。
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結局そのあと
わたしは何も言えなかったけれど
その日の授業終わりの
あいさつは、「笑顔満開」
とても大きな声だった。
あのとき何が伝わったのか
届いたのか
わからないけれど
コンクール後の作文には
「金賞は取れなかったけど、先生(わたし)が涙を流してくれたから、わたしたちの合唱は“金賞”でした!」
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と、書いてあった。