いつかの“約束”
「先生……◯◯が◯んだ…」
ある日、突然かかって来た電話。
「……なんで?」
「(本人の)車の修理中に
ジャッキが外れたらしい」
うそでしょ?!
なんで?
彼の笑顔が走馬灯のように頭を駆け巡った。
彼が入学してきたときは
140~150cmくらいの
小さい男の子でね。
笑顔がとにかく可愛いくて
誰にでも優しい子だったわ
中3になって身長はぐ~っと伸びたけど、笑顔は何も変わらなかった。
街の夏祭りをきっかけに
文化祭でも“よさこい”を
やろう!
ってことになって、
顧問(部活ではないけどね)
は、わたし。
彼は、もう一名の子と2人で踊り子男子(多分)22名の代表になったんだ。
手本はビデオ一本のみ。
学校の放送室で何度も何度もビデオを見て、繰り返し繰り返し踊って覚えたの
フォーメーションも
穴が空くほどビデオを見て紙に書いて、覚えたのよ。
今思うと“至難の技”ね。
ビデオ一本から全て自分たちのものにして、
堂々と文化祭で発表したわ
そりゃもう大歓声よ👏👏
まさかのアンコールまで!
子どもたちの息を切らしながら、汗だくでアンコールに応えている姿を見てたら
たくさんの苦労が
たくさんの涙に変わったわ
目がぼやけて見えなくなるほど涙が溢れたの。
今でもはっきり覚えてる。
終わったあとに
彼とハイタッチして
思わず抱き合ってしまったこともね(セクハラじゃないわよ🤭)。
わたしの頭の中での彼は
そのときの笑顔のままなのに……
「先生、オレ先生になるワ。それまで先生辞めないでよ!一緒に働こう✨」
そう笑顔で卒業していったのはあなたなのに…
どうして?
どうして?!
あと2年だったのよ。
教育実習も無事に終わったって、連絡くれたでしょ。
あんなに元気だったのに。
葬儀では悲しすぎて
涙が出なかった。
きっとそれまでに
涙は尽き果てたんだ…
おーーい!
そっちで元気にやっているかーー?
先生になった感想は
どう?いいもんでしょ😊
わたしは“いつかの約束”
忘れたりしないから
安心してね
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