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国会会議録を閲覧しよう(1) 人間で生きていく上に大事なこと

 地方公共団体が、水道事業者等としての位置付けを維持しつつ、厚生労働大臣等の許可を受けて、水道施設に関する公共施設等運営権(PFIの一類型)を民間事業者に設定できる仕組みを導入するための水道法の一部を改正する法律案についての第193回国会(参議院予算委員会)における麻生太郎財務大臣(当時)の答弁が秀逸だったので、ここに紹介します(👉️【参考】会議録参照)。
 質問者は、水道事業の運営権を民間事業者に設定することができる仕組みを導入しようとする水道法の改正案に反対の立場(水道は国民の命の源であり、これを税金でしっかりとやっていく、この最低限の憲法第二十五条とつながった部分は国が責任を取るべきとの主張)から、「人間が生きる上で一番必要なものは何か。私は空気だと思います。麻生大臣、人間が生きる上で二番目に大切なもの、何だと思われますか。」と質しました。
 これに対し、麻生太郎財務大臣は、「…私はこの種の訳の分からぬ質問が来たときには答えることは一つ」と、ことわった上で、
人間で生きていく上に大事なことは、朝希望を持って目覚め、昼は懸命に働き、夜は感謝と共に眠る、この気持ちだと思っています」と答弁。⇒場内から「おぉー」という感嘆の声が・・・。
 その質問を「この種の訳の分からぬ質問」と断じられ、「(空気に次いで)二番目に大切なものは水道」という答弁を引き出そうとする質問者の思惑が外れたことは、前掲の名言以上に印象に残りました。

【参考】第193回国会 参議院 予算委員会 平成29年3月15日 会議録(抜粋)   [出所:国会会議録検索システム]

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【捕捉説明】
法改正の趣旨:人口減少に伴う水の需要の減少、水道施設の老朽化、深刻化する人材不足等の水道の直面する課題に対応し、水道の基盤の強化を図るため、所要の措置を講じるもの。(厚生労働省HP「水道法の一部を改正する法律(平成30年法律第92号)の概要」による。)
【雑感】
⏩️平成元における統計の日の標語「水と空気と統計と -めだたなくても人と社会を生かしています-」を想起しました。
👉️統計図書館コラムNo.1018 統計の日の標語「水と空気と統計と 」の共通項(PDF:364KB)
⏩️質問者側は、質問内容を事前通告したようですが、そもそも、一番と二番の順位の根拠がないものに、一番を個人の考えで決め付けた上で、二番を聞こうとすることに無理があったのかもしれません、国権の最高機関である国会の議員のセンセー様は、話力のプロばかりだと認識していましたが、認識が誤っていたのかもしれません。一方で、神対応的な名答弁を目の当たりにできたことは、筆者に幸せをもたらしました。⏩️ただ、名答弁だけが世間に知られることになってしまい、何の法案ついての質疑なのかが目立たなくなってしまった感が否めません。まるで、水や空気や統計のように・・・。


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