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東京ディズニーランドを誘致した堀貞一郎さんから学ぶマーケットリサーチ、ビジョン
ディズニーランドを日本に誘致した堀貞一郎さんについて紹介したいと思います。様々な困難を乗り越えてディズニーランドを日本に誘致して、今なお成長し続ける東京ディズニーランドから学ぶことをお話したいと思います。
ディズニーランド本社を動かし、スポンサーになってくださる方の心を動かし、ディズニーランドで働きたいという人が集まり、お客様が集まるようになったのは、堀さんのビジョンが素晴らしかったからではないかと私は思います。
田坂広志さんがご著書「知性を磨く」でビジョンについて書かれています。
「ビジョン」とは「これから何が起こるのか」についての「客観的思考」である。それは、「Vision」という語義通り、「見通し」や「先見性」「洞察力」という意味の言葉である。すなわち「ビジョン」とは、未来に対する「客観的思考」であり「主観的願望」や「意志的目標」ではない。(中略)
企業や市場や社会の「問題」を解決したいと思い、そうした「問題」を生み出す企業や市場や社会の「仕組み」を変革したいと思うならば、まず、何よりも企業や市場や社会が、「これからどのような方向に変化しようとしとぇいるのか」を洞察する必要があるからである。
昭和40年代に広大な荒地を含めた浦安地先の海が埋め立てられました。国はここに住宅地と首都圏に住む人々のストレス解消のためのレジャー施設の建設を条件としてオリエンタルランド社に埋め立てを命じました。
この埋め立て地に何を誘致するのか、堀さんに白羽の矢が立ったのです。
堀さんは、基本的マーケティングプランに取りかかります。徹底した調査研究を行います。調査の内容は、これからの時代における世界の中のアジアの位置づけ、アジアの中の日本、日本の中の首都圏、そして、首都圏に住んでいる人々の願望など徹底したマーケティングリサーチを行いました。また、レジャー施設に関する調査、上位計画である諸官庁のレジャー施設計画や国の法規制に関する研究、さらに日本経済の長期展望にいたるまで研究の輪を広げていきます。学識経験者、レジャーに関する専門家のヒアリングを行い、さらに、肝心の経営に携わる会社の役員の哲学と企業の体力、資金調達力についても徹底した調査を行っています。
すべてにアイデアは最終的には10のテーマに収容し、総合レジャー施設の基本テーマ及び構想は、「すばらしい人間とその世界」と決定。
「すばらしい人間とその世界」計画にあわせて、遊園地部分をいかに展開させるかですが、堀さんは、世界の有名な遊園地がどのように運営されているのかをつぶさに視察されました。ディズニーランド、ディズニーワールドをはじめ、アメリカのコニー・アイランド、オーストリアのプラタ、デンマークのチボリ、スウェーデンのスカンセン等欧米の主だったアミューズメント・パーク、ありとあらゆるタイプの巨大遊園地を見学して情報を収集されています。結果、ディズニーランドを誘致しようと考えられました。
上記の内容は、マーケティングリポートにまとめられます。
ビジョンの一部を紹介します。
①「労働力問題」の変革
今後の生活の力点、充実を感じる時という視点で統計をとっています
②世界に類例のない「ファミリー構成時代」がやってくる
③環境問題の取り組みと女性の社会進出
④急速に進む余暇生活と趣味・趣向の高級化
など堀さんが当時、日本がこうなっていくのではないかということがそのとおりになっているコトもありますし、さらに進化しているコトもあります。
会社が発展していくためには、マーケットリサーチをして、ビジョンを言語化していくことが必要である。ビジョンが明確になれば、ビジョンを具現化するための戦略をたてることができる。また、ビジョンに賛同した人が集まってくるのである。
ディズニーランド本社を動かし、スポンサーになってくださる方の心を動かし、ディズニーランドで働きたいという人が集まり、お客様が集まるようになったのは、このビジョンをきいた方が感動し、行動したからである。
※参考:詳しくは、堀貞一郎さん著「”感動”が人を動かす」
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