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タンボ平を歩いてきた

朝8時、バスが室堂ターミナルに着く。アルペンルートを登って来た時も窓から見えていたが、天気がいい。とはいえ、バスから出た途端に寒いのでさっさとターミナル内にひっこみ、防寒着を着る。駅の中はすでに人がたくさんいた。どこから来たのかはよくわからない。

ターミナル内の売店が既にオープンしていたので、忘れてしまった手ぬぐいを入手する。立山山脈と月が描かれた紺色の渋い手ぬぐいにした。

再び外に出る。「立山」と掘られたデカい石碑の周辺のあちこちでたくさんの人が写真を撮ったり、登山の準備をしている。背景では、青空の下に立山連峰が連なっていた。若干茶色くなっているような気もするが、まぁまだまだ紅葉の盛りと言える。どれが何山だろうなぁと山を見つつランチパックを頬張り、湧水でボトルに水を補給し、出発する。

室堂から一の越に登り、タンボ平を下り、黒部平からはケーブルカーとバスを乗り継ぎ、信濃大町駅へ向かう、という計画だ。タンボ平は立山連峰の東斜面に位置し、黒部平と大観峰をつなぐロープウェイから見下ろす場所にあたる。マイナールートの方が混まないだろうということと、コースガイドの写真に惹かれて、このルートを選んだ。

一の越までは登山者がぞろぞろと列を連ねて歩いていた。老夫婦からファミリー、ほぼ観光客な軽装の若いカップルに、孤高のソロ男性まで、様々だ。高度を上げ、振り返って下を見ればミクリガ池や雷鳥沢のテント場がある室堂、それを囲む大日岳などの山々がまるで箱庭のように見えた。天気は抜群によく、遠くには富山の街も見える。空と雲でよくわからないが、街の向こうの青は日本海かもしれない、

一の越で小休憩をして、東一の越へ向かう。ほとんどの人が、このまま稜線を雄山の方へ向かうので、向かう先には先行者の影もない。この先はほとんど下り一辺倒だ。右側斜面の紅葉がきれいだ。進行方向には槍ヶ岳などの北アルプス南部の山が見えていた。

トラバース気味に1時間ほど下ると、東一の越につく。先行パーティが二組休憩していた。にぎやかに山話に花を咲かせている。北を見れば、これから歩くタンボ平とゴールの黒部平駅、さらに黒部ダムまで一望できた。

タンボ平を下っていく。紅葉は、なんというか期待したほどではなかった。茶色い。葉を見た感じは色づく前にチリチリに茶色になっただけかもしれない。今年の紅葉はイマイチだという話はほかのエリアで耳にしたので、ここもそうかもしれない。まぁ、色はさておき地形としてはなかなか楽しいだろう、となんとか自分を納得させつつ、2時間ひたすら下る。特別危険な場所はないが、歩く人が少ないせいか、ここら全部浮石です、というような場所もあった。

薄暗い藪の中を歩いていると、やっぱり立山の稜線でも歩いていた方がよかったんじゃ?なんて頭によぎる。あっちは人が多いから、それはそれで面倒に思うかもしれない。

頭上高くに引かれているロープウェイのケーブルの下をくぐり、しばらく歩くとゴールの黒部平駅に到着した。13時前。予定より30分も早い。

ここからはもう観光地だ。駅の中には観光客がひしめき合っていた。

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