入笠山ですずらんを見たり苔を見たり
2020年からたいして遠出もせずに腐りきっていたので、今年はもう少しどこぞへ行こうと思ったのだが、体力も失われていた。そこで、いきなり八ヶ岳だの谷川岳だのは止めて、アクセスも短めでゆるいところへ、ということで入笠山に行くことにした。ちょうどすずらんの時期だ。のんびりしたいので、山小屋にも泊まろう。
7時53分立川発のあずさは混んでいた。登山者らしき人が多い。みんな八ヶ岳にでも行くのだろうか、と思ったら、まさかの9割が富士見駅、つまりは入笠山の最寄り駅で降りていった。どうやら6月の入笠山は思った以上に人気らしい。登録者100万人のYouTuberのことも知らないように、この世には知らないことばかりだ。
入笠山へは富士見パノラマリゾートというスキー場のゴンドラに乗っていく。ここのスキー場は、グリーンシーズンはハイキングの他に、パラグライダーやマウンテンバイクを強化しているらしい。自転車が載せられるようになっているリフトが稼働していた。
駅からスキー場までのシャトルバスも混雑していたが、ゴンドラチケット売り場も混雑していた。そうは言っても人の流れは悪くなく、さくさくとゴンドラに乗り、あっという間に標高1780mである。
山頂駅を降りるとすぐにカフェと植物公園がある。一番手前にはドイツすずらんが20万本植えられているらしいが、終盤で茶色くしおれた花がさみしく残るばかりだった。そんな道を八ヶ岳を見つつ進むと、一番奥には展望台と恋人の聖地の鐘がある。恋人の聖地って需要あるのか?
ニッコウキスゲやレンゲツツジが咲く道を戻り、カフェでルバーブソフトクリームを舐めたあと、入笠湿原へ向けて出発。
日本すずらんの群生地はやや登りの斜面にあった。日本すずらんは控えめな花のようで、びっしりぎっしり満ち満ちに咲いているということはなかったが、なかなか頑張って咲いていた。なにより香りがすごい。甘く品がある香りがあたり一面に漂っていた。
湿原をあとにして、今日の宿のヒュッテ入笠に向かう。入笠山は、全く日帰りでサクっと登れる山なのだが、今回はのんびりしたかったのと、この山小屋に泊まってみたかったので、1泊なのだ。
12時過ぎと昼時だったので、ランチにビーフシチューをいただく。ビーフシチューが名物らしいということは知っていたが、その人気は凄まじいらしく、翌日は開店10分で品切れになっていた。宿泊客には別でキープがあるらしいので、ありがたくいただく。でかい塊の牛肉が入っているのだが、スプーンでつつくとホロホロとほどける。うまい。
荷物を整理して身軽になったところで、山頂へ向かう。老若男女、いろいろな人を抜きつつ、レンゲツツジのゲートの壁を抜けて山頂へ。山頂はかなり広いスペースがあり、展望もいい。八ヶ岳にアルプスと360度見える。たぶんその昔、周り中の木を切ったんだろう。知らんけど。おじさんグループの記念写真のシャッターを押してやり、下山。
宿に戻り、ダラダラと過ごす。BRUTUSの山特集と山と溪谷の最新号がある。BRUTUSの山特集は誰が読むんだろう? 遭難注意ハウツー含み記事もあったのはさすがかなぁ。BRUTUSがのびのび山特集ができるのは、山と溪谷がどっしり地味なことをやってきたからなんだろうな。どっちがいいとかいう話ではない。山と溪谷は穂高特集。まぁ硬派よね。
シャワーを浴びてさっぱりした後、夕飯。夕飯はバイキング式。塩釜焼きの豚肉。蜂蜜をつけて食べてねと言われて、ホンマに〜と思いつつ食べたら美味かった。夜はオーナーのナイトツアーがあった。牧場があるおかげで花への実害がそんなにないからか、鹿への危機感はあんまりないような話だった。ええんか。毎年200頭駆除しているけどあまり効果はないらしい。星はまだ空が明るくてそんなに見えなかった。
翌日は牧場の方へ周り、テイ沢を歩いた。苔がみずみずしくて爽やか。苔ラブ。なにより人がいないのは最高。行先を決めるときに、今の時期なら北八ヶ岳の苔もいいかなぁと思っていたのだが、こちらの苔も素敵だった。テイ沢は1時間ほどずっと沢沿いを歩く。増水時はちょっと危ないかなくらいの沢沿い。大阿原湿原へ出て、山小屋に立ち寄り、下山。
下山後に駅前でランチを食べたけど、300円OFFクーポン使い忘れてちょっとしょんぼり。
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