ラクダか犬か【犬の話】
3日前から犬が下痢をしている。
もとより覇気がない犬なので、調子がどれだけ悪いのかはよくわからない。数週間前にコタツを出してからは中にひきこもりきりだったので、なおさらだ。
ともわれ、もう3日目だからと、午後に病院でみてもらうことにした。
犬は病院は好きではないが、暴れはしない。診察台に載せられると、わずかばかりの抵抗ののち、諦観して大人しくなる。検便をするからと、尻の穴に綿棒を入れられ、よくとれなかったからと、続けてガラスのスポイトのようなものを入れられたが、大人しくしていた。
しばらく待合室で結果を待ったあと、再び呼ばれて診察室に戻る。特にマズイものがお腹にいる訳では無いが、腸内菌のバランスが悪いだとかなんだとかだった。脱水しているだろうから点滴を打ちましょう、と先生は点滴をブスリと犬の背中に打った。
「コブみたいに出っ張るけど、しばらくしたらなくなるので、押さないでくださいね」
見守っていると、先生は黄色い液体が入った点滴パックをぎゅうと握った。終わるころには、犬の背中には確かにコブのようなでっぱりができていた。すごいことをする。
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