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憧れのランドセル

保育園に転園した時にはもう年長組だったので、
あっという間に卒園が近づいてきた。

私たちが暮らしていた母子寮では、小学校入学を控えた子供にランドセルをプレゼントしており、
ある日寮母さんがチラシを片手にその事を説明しにきた。
ランドセルは高いから、良かったね、助かったね。
と言う母の言葉は半分しか聞こえず、チラシの色とりどりのランドセルたちに目を奪われた。
憧れのランドセル。
少し前に、高いからうちは買えないかも、まあ鞄なら何でも大丈夫なのよなんて言われていたところだったから、とても嬉しかった。

聞かれてもいないのに、自分はどの色が欲しいか夢中で考えた。
女の子っぽい赤やピンクは似合わないから論外。黒もいいけど、紺色がかっこいい。

母が色んな色があるね〜と話しかけてきたので、ここぞと紺色がいい!と言ったけど、寮母さんが少し申し訳なさそうに「赤か黒しか選べないの」と言った。

それならば、と私は黒を選んだ。
寮母さんは本当に黒でいいの?と何度も確認していた。母はいいじゃないカッコいいじゃない!さすがセンスある!
と大賛成し、私は黒いランドセルを手に入れた。

第一希望の紺色が選べなかったのは残念だったけど、次点の黒はまあそこそこに気に入っていたと思う。

小学校にあがるのが楽しみで仕方なかった。

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