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266 日本の消費者物価

日本の物価をここまで押し上げているのは食料だ。輸入食品の価格高が反映している。需給からきているものではない。利上げ⇒円高⇒輸入食品の円建て価格抑制 というシナリオは考えられるが、力は弱い。むしろ、輸出企業への悪影響(輸出企業の業績悪化⇒輸出企業の賃金抑制)の方が大きい。
日銀の目指すは、大まかに言って、賃金3%上昇、その他コスト抑制・生産性向上で、物価上昇率2%なので、賃上げを抑制することになるのは、現段階ではまずい。日銀が金融引き締めへの転換するのは、まだまだ先である。


生鮮食品を除く消費者物価上昇率は、輸入物価上昇率が1年程度先行するとすれば、11月頃から急速に低下することになる。まだまだ気をもみそうだ。

そもそも、エネルギー価格や輸入食品価格の上昇を反映する財の価格は上昇しているが、(個別品目はチェックしていないが)教育費、教養娯楽費、美容費、マッサージ料金、クリーニング代などサービス価格は全く上昇していない

消費者(需要者)の立場からは電気料金(非耐久)であれ、その他財であれ、サービスであれ、値上げは全て痛い。しかし、財やサービスを提供する側からは、原油の価格上昇などは自分の懐に全く入ってこない。授業料とかヘアカット代が値上げされれば、幾分は収入が増える。その意味で、家計の収入が増えるにはサービス価格動向が重要。

参考  財・サービス分類一覧(xlsファイル)

これでは、日銀としても、需要を抑制することになる利上げをそうおいそれとはできないだろう。

今は97年から続くデフレ(特に赤線に注目)から、いよいよ脱却できるかの、極めて重要な時だ。ここでエネルギー価格が上がっているからと言って、拙速に金融引き締めに転じてはせっかくのチャンスをつぶしてしまう。
勿論、増税もデフレ脱却の敵だ。本当は、増税をしない・多少の減税をするなどして需要を刺激すれば、経済拡大・物価上昇で税収が増えるというシナリオも描けるが、政府にはそういう考え・勇気はないだろう。

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Kecofin
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