見出し画像

384 オルカンとS&P500

新NISAが始まって、投資対象としてオルカンかS&P500かと、話題になっているようだ。
市場の結論は、オルカンに軍配が上がっているようだ。

オルカンとは『MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス (ACWI) (円)』をベンチマークとするインデックス投信だ。先進国23カ国と新興国24カ国の47カ国の市場で構成される。
参考  MSCI ACWI Index

で、話題になっているのは、このオルカンは47市場で構成されるが、
(1)うち、米国が 62.57%、日本が 5.4% 、英国が3.55% などと、大部分が米国で占められること、
(2)残りの、約37%は他市場だが、その他市場も米国株市場の影響を強く受け、米国市場に従属的なこと(ミラー相場とさえ言われる時もある)。
    (1)(2)から、オルカンと言っても実態は米国株式市場に
   支配されている、分散にならないのではないか?
(3)2001年から2006年にかけて、多極化(新興国の工業化・台頭)の時代があり、その時は新興国が有望と見られたが、2008年のリーマンショックは米国より、むしろ新興国へのダメージが大きく、多極化は終わった。そして、その後は、Googleやマイクロソフトという米国のメガキャップテク企業が世界を席巻、米国市場優位の時代が続いている。
(4)仮に、他国経済が好調となれば、米国の多国籍企業がその市場に進出するであろうから、我々が他国への投資をしなくても、米国企業がしてくれる。

というわけで、こうした状況が変わらなければ、米国よりオルカンがいいということにはならないのではないか? という議論がある一方、
いやいや、当分はそうでも長期で考えれば、米国がこけたり、他国が抜け出してくるかもしれない、分散しておくのが無難だ。仮に、米国がこけたり、他国が抜け出してこなくても、オルカンには米国が60%以上も入っているので、オルカンでも米国経済成長の恩恵は受けられる。

結局、米国優位(世界市場に対して支配的)を評価してS&P500に投資するか、米国にパフォーマンスは負け続けるかもしれないという犠牲を払っても、ひょっとして米国がこけたり、他国が抜け出してくる可能性もあると考えて、オルカンで分散するかということだ。

投資の世界でカントリーの分散の概念が出てきたのはそう古くはない。1980年くらいからだろう。それ以降で、米国がこけたのは1回しかない。2001年9月11日におきたアメリカ同時多発テロ事件だ。そして、(説明は省略するが)それ以降多極化が起きた。しかし、それもリーマンショックで終わった。

私なら、米国が転ぶ可能性はあってもS&P500を選ぶ。米国がこけたり、他国が抜け出してくる可能性はあるが、同様に、他国がこける可能性もあるからだ。現に中国がこけている。47市場もあれば、全く知らない市場も脆弱な市場も入っている。どうしてそんな市場にも投資しなければならないのか?と思う。

TOPIXのような場合は、トヨタでいいとはならないだろう。その他に頭抜けて成長する銘柄があるからだ。しかし、カントリーの場合は、頭抜けて成長するということは考えにくい。2003年からの中国の成長は著しく、規模もあったが、もう一度それを期待するのは難しい。でも、絶対にないとはいいきれないのでオルカンを選択することを完全に否定することはできない。可能性は高くはないが、ひょっとして日本がリカバリーストックになるかもしれない。なお、極小さい規模の市場で驚異的に上昇するところがあるかもしれないが、規模が小さいので大勢には影響がない。

以下、S&P500円ベースとオルカン(MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス (ACWI) (円))の実績を評価する。

S&P500とオルカンでは、これまではS&P500の方がパフォーマンスがいい

連動性を見れば、殆ど一致する。米国株が悪い時に、オルカンがいいということはない。

2001年から2006年にかけての多極化(新興国の工業化・台頭)の時代は、S&P500がオルカンより劣後した。そういう時が、もう一度来るか?可能性がないとはいえないので、オルカンよりS&P500の方が絶対にいいといは言えない。

ベータ値はほぼ1だ。連動性を見れば、殆ど一致するということだ


なお、オルカンとS&P500の比較については、私は見たことがないが、多くのレポートがあるような気がする。興味があれば、探せば、いいレポートがあるかもしれない。

最後に、いずれnotreの方にも書こうと思うが、S&P500投信の買いを無条件に勧めているのではない。
長期投資で気をつけることは、何十年に一度起きる株価停滞期に購入を集中しないこと。

Xユーザーの神谷経済金融リサーチさん: 「長期投資で気をつけることは、 何十年に一度起きる株価停滞期に購入を集中しないこと。

Xユーザーの神谷経済金融リサーチさん: 「いつ買っても、20年後にはそれなりのリターンになっていますが、特定の時に買うと20年後でもリターンはマイナスです。 あと、米国株は、過去こんなに強かった市場はそうはありません。どの市場でも同じことが言えるかどうかはわかりません。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?