209 日本のGDP 良きにつけ悪しきにつけインフレ
今年1-3月期のGDPが発表になった。
いい点も悪い点もあるが、よかったと言いたい。
(1)名目GDP(金額ベースの経済規模)が伸びた。但し、実質GDP(量ベースの経済規模、量を表すが単位は円を使うので紛らわしい)は停滞している。要は、消費量は増えていないが、インフレで消費金額が増えたということである。
今回の発表で最も良かった点は、1997年から停滞が続いていた(失われた25年)日本の名目GDPが、ついに離陸を始める兆しが見えたことである。まだどうなるかはわからない。特に、米国・中国経済に懸念があり、その影響を受けるかもしれない。しかし、期待は高まった。
今現在の日本経済の目標は名目GDP3%成長である。そうすれば、適度な税収もあり、所得も増え、世界の中での日本の存在感(プレゼンス)も保たれる。しかし、まず重要なことは日本の名目GDPの持続的成長である。
(2)今回の名目GDP拡大の背景
それは、インフレで消費金額が拡大したことである。光熱費などは否応なく増えた。もう一つ重要なことは富裕層の拡大で高額商品の消費が伸びたことである。なぜ富裕層が拡大したのか?それは別途。
しかし、日本経済全体がそれほど拡大したわけではないので、2極化が起きているということだ。23区内の新築マンションはのきなみ1億円を超える。多くの人には無縁だろう。総中産・中流階級だったのは今昔物語。
この消費拡大を継続するには、勿論、所得の増加が必要である。
(3)名目GDP以上に実態は拡大している。
GDPは国内で生み出されたものの総和である。消費の全てが国内で供給されるわけではない。日本は原油等エネルギーの大部分は輸入している。従って、GDPはその分、消費より小さくなる。(輸出超過の場合は大きくなる)
国内需要は、凄まじく拡大している。そして、消費税は消費に対してかかるので、消費税はGDP以上に伸び率が高くなる。
(4)実質GDPには何も変わりがない(悪い点)
以上では、日本の経済は大きく拡大しているように思うが、それは専らインフレによってもたらされているだけで、実質(量の概念)では何も変化はない。消費量は全く伸びていない。消費金額は増えても、豊かになったわけではない。家計の消費量はコロナ前の水準には遠いし、20年近く前から増加していない。これをどうしていくかという大きな課題は残ったままだ。
(5)所得は増えたけど減った
表面的な所得は増えた(共働きが増えているので、雇用者報酬全体は各個人の所得より大きく伸びている)が、物価で調整した実質報酬は低下している。つまり、購買力は低下している。今後、インフレを超える賃上げが達成されるかが重要な問題。
以上まとまりのない記事になったが、それだけ今の日本経済は複雑だということだ。
長くなるので、これ以上は省略するが、キーはデフレ脱却、経常黒字、分配だ。全2者は満たされつつある。分配が課題として残っている。
名目GDP GDP 国内需要
今年1-3月期のGDPが発表になった。いい点も悪い点もある。よかったのは名目GDP(金額の概念)が失われた25年から離陸を始めた感があること。悪い点は、名目は伸びても実質(量の概念)は何も変わっていないこと。