雑感 日本の予算 経済対策
アベノミクスが失敗して以来、失敗した理由、今後の対策について考えてきた。
失敗の理由は、アベノミクス(金融緩和と成長戦略のミックス)という経済政策を採る一方、アベノミクスにない増税(消費増税など)・社会保険料の絶え間ない引上げを行うという、つまり、景気に対してアクセルを踏むと同時にブレーキも踏んだことだと考えている。
(注)アベノミクスには財政緊縮はない
失敗が明らかになったが、是正のしようがないのが現状だ。今アベノミクスと同じことはできない。これ以上の金融緩和は不可能だからだ。物理的に利下げはできない。そういう意味で、アベノミクスは最後のチャンスだった。消費増税で最後のチャンスをつぶしてしまった。
かと言って、消費税や社会保険料の引き下げは財政が持たないだろう。新たな問題(エネルギー価格高騰、輸入食品価格高騰)が発生して、経常収支もギリギリの状態である。
「全く打つ手がないなぁ」と思っていたら、岸田氏が『分配』と『手帳』を掲げて総裁選に出てきた。なるほど、分配という手があったのかと感心した。しかし、その後どうなったかは言うまでもない。あれは何だったのか?手帳さえも怪しい。
28日、総合経済対策が閣議決定された。私の感想。
■木内登英氏は「低所得者対策や『人への投資』など重要で緊急の項目に絞るべきで、規模ありきの対策は通貨安やインフレをむしろ助長させる」と話す。
■立民 泉代表「額だけが先走って中身がないような予算では、国民の生活は前に進まない」。
■大和総研 小林若葉氏「物価高の影響が大きい低所得層などを、ピンポイントに支援する方が費用対効果が良かった。」
記者会見で、岸田総理は「(対策により)消費者物価を1.2%引き下げる」と言っている。勘違いしていないか?消費者物価を下げるのではなく、エネルギーや輸入食品の価格上昇により困窮する低所得層を支えることが必要なのだ。
岸田総理は「賃上げ実施企業に対する補助金や公共調達の優遇を行う。」と言っている。供給側への策ばかり考えている。賃上げができる企業は支援なくても賃上げする。必要なのは、賃上げの恩恵を受けられないような人への支援だ。
岸田総理は「ロボットなど次世代分野への支援によって雇用増をもたらす次世代大型投資を誘導する。」と言っている。これはこれでいいことだと思う。しかし、どの策を見ても、企業側、産業側への対策が殆どだ。旅行支援もそうだ。
もうやることははっきりしている。低所得層への直接的支援だ。やりかたはいろいろある。例えば、全員に一律毎月5万円を支給するとかだ。財源は所得税の引上げ、金融所得課税の引上げだ。マイナンバーカードと銀行口座の紐づけが完了した時点で、金融資産課税の引上げもなされるだろう。要は、分配政策だ。
こういうことをせず、インボイス制度の導入ばかりやっている。インボイス制度自体は大賛成だが、もう少し工夫が必要だろう。今のままでは弱者いじめでしかない。
全員に5万円では分配にならないと思うかもしれないが、所得税や金融所得課税で高所得者の税額は上昇する。
低所得者はもらうだけで増税はない。高所得者はもらうが、それ以上にとられる。中間層は、もらいと取られで、ネットでは変わらないということになる。
全員に支給のいいところはシンプルなことだ。わかりやすいし、公務員の作業の増え方も小さくて済む。
低所得層は一般に消費性向が高い。支給すればその大部分は消費に回る。そして経済は拡大する。
結論は、いろんな複雑な経済対策でなく、低所得層への支援のみでいい。あとは、市場に任せればいい。勿論、規制緩和や必要な制度はある。
経済対策では、まず国民への直接的な支援を考えるべきだ。
米国の消費者物価はトレンドから明らかに乖離した。物価抑制策は必要だ。日本にそんなものは必要ない。
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