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225 米 雇用統計と株高(3/3)

FRBの金融政策の目的は物価の安定雇用の最大化だ。C19まではディスインフレ状態だったので、専ら雇用の最大化が目的だった。
雇用統計の雇用者数はまさにFRBの目標の対象であるため注目された。しかし、今は違う。異常な物価高にあって、物価の沈静化のみが目標で、今のFRBの最終的な目標は、CPIとPCEデフレーターの上昇率を抑えることだ。
物価上昇の背景の一つはエネルギー価格の上昇だったが、今は落ち着いている。今問題になっているのは、賃金上昇⇒サービス価格の上昇 。そのため、FRBは利上げ⇒需要抑制⇒需給面からの価格押し下げ を狙っている。また、需要抑制の過程で、賃金上昇圧力を抑制し、賃金コストが物価を押し上げるのを妨げようとしている。
なので、今注目されるのは雇用統計の中で賃金上昇率である。勿論、そのために雇用の需要を抑制することが必要だろう。しかし、それは賃金上昇を抑制するために必要なのであって、賃金上昇率が抑制されればそれでいい。

賃金上昇率は、物価が安定していた時期の水準まで抑制することが目標だ。それは、年率2.3%程度だ。今はまだ高すぎる。

確かに、賃金の前年同期比上昇率は低下してきている、しかし、前月比や3か月前比が4%以上もある今の状態では、賃金の前年同期比上昇率の低下もそこまでだ。これでは、消費者物価を2%まで抑制することはできない。

222 2023年6月1日 米国は今日も分かりにくい相場でも書いたが、今は市場は何がどうあれ、株価を上昇させたがっている。というより、弱気筋を締めあげている。改めて示すが、投機筋の株式のポジションは大変なことになっている。
雇用統計がどうであれ、都合よく解釈して株価を上げたいのだ。その意味で、雇用統計が発表される前から株価が上昇することは決まっていた

非農業部門雇用者数の増加が堅調だったこと、賃金の前月比上昇率が依然高いことから、FRBは金融引き締めを緩めることは期待できない*と、債券市場では金利が上昇し、ドル高になった。しかし、賃金の前年同期比上昇率が低下トレンドにあること、雇用が堅調⇒景気堅調⇒企業業績堅調 との判断から、株式市場はそれを好感した。株式市場の解釈は微妙だが、それが相場だ。わかりづらい相場だ。

*FRBは6月は金利据え置きを示唆しているので、7月利上げの可能性が高まった。否、7月に0.5%の利上げさえあるかもしれない(ないだろうが、そう思えるくらい雇用が強い。)

ここまで、くると、何故雇用市場がこれほどまでに強いか疑問である。


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