サラマンドラへの手紙 17th January
親愛なる サラマンドラ・ブリトリエール
あなたが満月に見送られ旅立ったその夜
私は
あなたの召使い夫婦に連れられ
ココナッツの儀式を受けるため
ヒーラーを訪ねました。
彼らは私たちに
いつも贈り物を与えてくれる存在です。
私には身を清める必要があったのでしょうか。
彼はココナッツの儀式を私に施したその後
私に
「あなたの第7チャクラを開いても良いかね」
と訊ねました。
私はコクンと頷いて良い…と返事をしたのです。
彼は私の頭頂にその器用そうな美しい手を翳し
呪文を静かに唱えました。
その夜
あなたを見送った月は
この島で
まるで欠けることを忘れてしまったかのように
煌やいていました。
その夜の
私の眠りは
深く
遠い記憶の中の
あの人が
眠りに就いた私を見守っている姿を
私は夢に見たのです。
「私の夢に来てほしい」
と眠る私が目を閉じたまま呟くと
彼は私の唇に耳を近づけてから後
その指で呪文を呟く唇を眠らせました。
私は、あなたが与えたこの家で
一夜の眠りをいばら姫のように
通り過ぎた……
糸車の針が創った指先の傷が癒えるまで
深い眠りを味わいました。
そして、翌朝 南国の鳥のさえずりに
私は目覚めました。
息を吹き替えした私の魂は
渇いた喉を感じて
召使いの夫婦が作ってくれた
新鮮な
ココナッツミルクとアーモンドミルクの
冷たいスープをゴクゴクと飲み干しました。
彼らは私たちに潤いをもたらす存在なのです。
今、この島に降り注ぐ雨が
大地や植物たちを豊かに潤し
花々を咲かせ 果物を実らせるように
私の心も慈雨で満たされ
芳香を放っています。
ですから、私は
一編の呪文であり
また、呟きでもある詩を手紙に記しているのです。
ああ、サラマンドラ
あなたに届くかしら…
私の内なる領域に
数々の物語が描かれた書物たちがあります。
それらは、私自身の意思により
改めて読まれることで
再び活き活きとするのです。
新たなる生命を宿して
立ち昇って来るのです。
さあ、このたびは
どの書物をこの手に致しましょう。
物語は新たなる再創造へと導かれ
その色彩を新たに放ち
その音色を再び奏でることに
喜びを顕に息衝くのです。
あなたにもこのイマジネーションは
伝わるでしょうか。
サラマンドラ・ブリトリエール
また
この島でのことをお手紙に綴ります。
Eriy,T
サラマンドラ・ブリトリエール
朝行く月の逃飛行
https://note.com/kebunbidadari/n/nf808d5069a13
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