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【親子上場TOB妄想録】弘電社(1948)

新年1発目の妄想銘柄は、弘電社(1948)です。
電気設備工事を中心とした総合設備工事会社で、三菱電機が約51%保有する親子上場銘柄として保有中です。
※PBR0.78倍、配当利回り3.69%、時価総額160億円(2024年12月30日時点)

元々出来高が少なく地味な銘柄でしたが、10月以降の株価上昇が著しく、誰かが買い集めている気がしたため今回取り上げました。

1年株価チャート
(yahooファイナンスより)

1. 業績・財務

弘電社の業績は、近年の建設市場の回復や再開発・リニューアル案件の旺盛な受注獲得により好調です。事業の特性上第4Qへの利益の偏りが大きいにも関わらず、2025年度に至っては中間で相当な利益を叩きだしています。

四半期営業利益の推移
(IRbankより)

また、以下表のとおり次期繰越工事高・当期受注工事高ともに「近年最高レベルの水準」であり、原価低減や価格転嫁も進めているとのことで、今後の業績の堅調さも伺えます。

(第2四半期決算短信より)
(第2四半期決算説明資料より)

財務についても、2024年3月時点で自己資本比率62.8%でほぼ無借金と極めて良好な状態にあります。今年の親子上場TOBでは好財務の子会社が買われるケースがほとんどだったので、これだけでも買いたくなります。

(IRbank:財務状況より)

2. 株主還元

2011年から累進配当を続けており、今期は株主還元を強化する方針の元、増配と中間期末の年2回配当を発表しました。これは中間でも利益を稼げるようになったことが大きいと思われるため、今後継続できるのかは要注目です。直近数年の配当性向が高めに映りますが、2025年3月期に関しては42%(想定)と許容範囲な気がします。

(IRbank:配当推移より)

また、中計においても今後の株主還元強化に言及されており、具体的には自社株買いが挙げられています。

(中期経営計画(2027年度目標)より)

3. 親会社への貸付金

資産に比べて現金が少ない(約14.5億)と思い調べてみたところ、なんと親会社三菱電機への短期貸付金(約75億)の影響でした。過去の数値を見ると弘電社は現金を15億前後残し、残りを全て短期貸付金に回していると思われます。

当期純利益がやっと10億を越してきた弘電社にとって75億円って凄い額ですよね。三菱電機の規模を考えるとさほど影響はない気もしますが、相当な孝行息子ぶりです。ただ直近の受取利息÷短期貸付金で算出した利率が約0.175%なのはさすがに勘弁してほしいです。

親への上納金については、アイチコーポレーションや日鉄ソリューションズ等で見て怒り心頭の投資家の方々も多いかと思います。そういう意味では弘電社に対しても、個人投資家の方が声を上げて波乱が起きる可能性もありそうです。

(2024年5月9日付「支配株主等に関する事項について」より)

4. 株主構成

以下は2024年9月30日時点の大株主10名です。
親会社・従業員持ち株会・政策保有4社以外で気になるのは2024年3月から大株主になった梅本守さんと光通信です。冒頭に触れた10月からの株価上昇はこの2名の買増しかも?と思ったりもしています。

梅本守さんは2024年3月→2024年9月の間にも買増しをしています。ちなみに他の保有銘柄(大株主に登場)を調べると理研コランダムの大株主に2024年3月に登場していました。理研コランダムは2024年10月にTOB発表されているので、弘電社も同じ運命を辿って欲しいですね。

2024年は光通信が買い進めている銘柄のTOBも目立ったので、弘電社への参入も嬉しいです。いずれにしても2025年3月末時点での大株主の状況の発表が非常に楽しみです。

(第146期半期報告書より)

5. 不動産含み益

弘電社は賃貸等不動産を保有していませんが、銀座に本社があります。
2024年3月時点の有価証券報告書によると簿価は6億6,900万円です。

(第145期有価証券報告書より)

立地はみゆき通り沿いに位置しますが、どちらかといえば東銀座に近く、銀座の中心街と比べて繁華性は1枚落ちる印象です。本社利用のため時価評価は開示されていませんが、「前面路線価÷0.8」で公示価格相当を算出すると@4,000万円/坪程度。土地は111坪なので単純計算で約44億程度の価格にはなるかと思われ、含み益はかなり大きいです。
※上記はあくまで相続税路線価ベースの簡易試算です

(グーグルマップより)

6. 終わりに

私のベストシナリオは三菱電機によるTOBです。三菱電機は近年積極的にM&Aを進めており、昨年は兄弟分?の北弘電社に株式交換を実施しています(こちらは救済的な意味合いが強いですが、、、)。
東証の親子上場に対する当たりが強くなっており、多額の貸付金等がある弘電社は問題になる前に引き取りたいと思います。

仮にTOBが実らずとも業績・財務から見て購入単価の1,300円前後を下回るリスクは低く、高配当株として継続保有する予定です。現時点でもPBR0.78倍と割安に見えますが、直近の株価上昇を見ると積極的に追加購入をしたいとは思えません。

唯一心配しているのは最近の建築費急上昇による大規模再開発の中断や工期延長による業績への悪影響です。この点は来期の受注状況を見ながら柔軟に対応していく必要があると思っています。

2025年3月末の株主構成にも注目ですね。今はまだ運用資産が1,000万円にも満たない弱小投資家ですが、10年後ぐらいには小型株の大株主にひっそりと載ってみたいと思いをはせております。

                                以上


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Kebimon
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