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【From Zero World Tour】LINKIN PARK at さいたまスーパーアリーナ 2/11
経緯
LINKIN PARKを見てきました〜
昨年の衝撃の再始動後、日本公演の発表が期待されましたが、最初のアジア公演の地として選ばれたのはソウル。
日本公演はないが韓国公演はあるという状況はちょい前のMETALLICAを想起させますが、リンキンは近いうちに来てくれるでしょ、という謎の安心感があり、特に不安も感じず静観していました。
そしたらまさかの2025年2月に単独来日が決定。サマソニのヘッドライナーもあり得るのではないか、との噂も流れていただけに意外でした。発表された時期も割と遅かったですし。
さて、自分にとってのLINKIN PARKとは、やはり時代を象徴する大御所というイメージ。
あれは自分がメタルやロックを聴き始めた頃。Slipknotを聴いて衝撃を受けたのち、似たようなバンドはないかと思い漁ったニューメタルバンドのうちの一つだったような記憶があります。
その後どんどんヘヴィーなメタルを追求する時期に入ったため、Kornなどこの時期に触れたバンドを本格的に聞くようになるまではもう少し時間がかかるのですが、リンキンは例外で割とすぐにハマりました。
特にやはり初期2枚(『Hybrid Theory』『Meteora』)の完成度には衝撃を受けましたね。近未来的な無機質ながらも煌めいたサウンドがてんこ盛りで、そのおかげでリスナーのツボにハマるポップセンスがありつつ、でも確かにヘヴィーミュージックのテイストがガツンと響くこの2枚。未だにこれだけよくできたアルバムはなかなかないと思っています。
それだけに2017年、Chester Bennington(vo)死去のニュースはショックでした。朝起きて寝転がりながらTwitterを見た時の衝撃を今でも覚えています。その時は悪い夢かと思い二度寝しましたが、起きても現実は変わりませんでした。
それ以降、リンキンについてはもう二度と見ることは叶わないアクトだと思って諦めていました。確かに活動休止直後は続けていく意向だというニュースも見ましたが、それから音沙汰はありませんでしたし…。
しかし、去年なんとまさかの再始動。
確かにこの再始動について2024年初頭くらいからちょこちょこリークはありました。ですが、こういう噂話は海外のアーティストにはつきものですし、ましてやLINKIN PARKというビッグアクトともなれば少しの話題でも世間が盛り上がるというもの。そのため、正直どうなんだろうとは思っていました。
そしたら結局本当に活動再開、しかも女性ボーカルを迎えるということで、二重に驚いたのが記憶に新しいです。
YouTubeで行われたライブ配信ももちろんチェックしました。そしてここでお披露目された新加入のEmily Armstrong(vo)が想像以上にフィットしていてさらに驚き。シャウトの粒の粗さやパワフルな歌唱がリンキンの音楽性としっかりマッチしているんですよね。あのチェスターの後任ということで、ファンの間での評価は分かれているようですが、個人的にはあまりにもハマっていてグッときました。
そんなリンキンが早速日本にも来てくれるということで、こりゃ見逃せないと参戦を決意したというわけです。
当日は同行者とさいたま新都心駅に17時に集合。
集合時間の少し前に着ければ、と思い早めに家を出たのにもかかわらず、乗り換えに戸惑い結局ジャストの到着となってしまいました。JRの直通運転の弊害がこんなところにも…。
同行者との合流後、改札を抜けてさいたまスーパーアリーナへ向かうと、会場の前はすでにかなりの混雑。
このライブ前の人混み、個人的には結構好きなんですよね。自分と同じ目的と熱意を持った人間がこんなにいるのか、と思うと一気に気分が高まります。
会場前の広場のみならず、物販列にもかなりの人が。この日は冷たい風が吹き荒んでおり、体感気温がめちゃくちゃ低かったので、かなり辛かったと思います…。
自分と同行者はそんな環境に耐えられる気力はなく、早々に入場。
今回の席はスタンド席の上部(確か400Level)。ステージを向かって右側に望むような位置の席でした。
発券した時はステージから遠いかなと思い心配していましたが、いざ入場してみるとそこまで遠くはなく。
むしろステージ全貌を俯瞰することができるという観点では結構良い位置だったのではないかと思います。
(スクリーンがもう少し大きければステージとの体感的な距離はもっと近かったでしょう)
さて、個人的にはこの会場を訪れるのは2回目。この前はここでLUNA SEAを見ました。
その時もデカい会場だなあと感じましたが、今から考えれば最後列の席だったとはいえアリーナモード。
今回入場して改めてあの時の席なんて全然近いじゃん、と認識を新たにしました。
まあ、そんなLUNA SEAを今度はあの東京ドームで見られるのが楽しみなんですけどね。
ライブ
開演予定時刻の18時を過ぎた頃、突如として流れ出したのは海外版のポケモンの主題歌。
おそらくせっかくの日本公演だし、というバンド側の配慮なんだとは思いますが、何せ海外版の主題歌なのでオーディエンスはあまり状況を飲み込めていないようでした(SNSでもあの曲なんだったの?というポストが散見されました)。
その後暗転し、深く響く電子音と共にビームのごときスポットライトがステージを照らす演出からスタート。
程なくしてメンバーも入場し始まったのは「Somewhere I Belong」!!!!!!
そしてそこに続いたのは「Crawling」と、いきなり初期の乙なミドルテンポ楽曲が連続で披露され、思わず唸らされてしまいました。
体ごと預けたくなるようなメロディーがそそる「New Divide」に続けて披露されたのは「The Emptiness Machine」。
この曲、やはり飛び抜けた爆発力がありますね。再始動後一発目に打ち出してきたのにも納得です。
最初のサビまではMike Shinoda(vo, gt, etc.)が1人で歌っていて、途中からバンドサウンドとEmilyが入ってきてギアが上がる構成はシンプルですが、だからこそ素直に興奮できます。もう往年の名曲と同じノリでガンガン歌ってしまいました(歌詞はあやふやですが…)。
その後はしばらく中期のナンバーが続きました。そのため、ストレートなバンドサウンドは控えめで、その代わりメロウな歌と電子音が中心の時間。
でもメロディーラインは終始一貫してLINKIN PARKのものなので、結構趣向は異なるにもかかわらず、不思議と聴き入っている自分がいました。
昔の自分は3rdアルバム(『Minutes to Midnight』)くらいまでの楽曲にしか良さを感じられませんでしたが、今ならそれ以降の作品も自然に楽しめるような、そんな気がしました。とりあえず『Living Things』買わないとな。
そんな思いに浸っていたところ、突如として始まったのは新譜からの一曲、『Two Faced』。
直前までリンキンはポップアクトとしても優れているんだなあ…と感じていたところにこの衝撃。
即座に"ニューメタル"を聴きに来ていたことを思い出し、身体中の血液が沸騰するかのような興奮を覚えました。心なしか録音よりもヘヴィネスが際立っているような気がしましたね。
アリーナではモッシュが勃発。自分のみならず、会場全体がより活気付いたようでした。
この流れでここからはヘヴィーな曲が続いた…わけではなく、一部のメンバーのソロコーナーや『Meteora』のアウトテイクである「Lost」など挟みつつ、様々なLINKIN PARKの側面を巧みに展開していきました。
後述しますが、電子音楽的な一面を全面に押し出している瞬間もあり、その側面にあまり着目していなかった身としては新鮮に感じられました。
本編終盤には、「Numb」→「In the End」→「Faint」の強烈な流れが。
バラード2曲は離して演奏するのではと思っていたため、これは意外でしたね。この辺はファンにとってはもうアンセム。シンガロングの圧がドッと高まるのを肌で感じました。
アンコールは「Pepercut」から。
これだけでも刺激的でパンチ力のあるナンバーなのに、続くのが「A Place for My Head」→「Heavy Is the Crown」→「Bleed It Out」というさらに勢いのあるセットリスト。往年の名曲やライブ映えするシンプルな快作の中に混ざっても違和感のない「Heavy Is the Crown」の完成度、そう考えると驚きですね…。
「Bleed It Out」でライブは終了。電子音楽とヘヴィーミュージック(に加えてヒップホップ)の融合という音楽性の緻密さを体感した一方で、キャッチーな名曲にひたすら殴られる快感も味わえた大満足のセットリストでした。
さて、このライブを通して感じたのは、普通のロックバンドのライブとは違うな、というシンプルな感想。
サイバーかつエレクトロニックな要素を大々的に取り入れることにより、どこか垢抜けた、彼ら独特の世界観がステージ上に表現されていました。
例えば、照明や映像などの演出がビビッドである点。
レーザービームのような照明を刺すように照らしていたり、映像も基本的にはメンバーを映しているだけなのに、エフェクトを加えることでデジタルな印象を与えていたり、とクールに尖った演出が目立っていました。特に、映像はシンプルなのに一味違うんですよね。あの規模のロックバンドであれば、マスコットキャラが出てきたりリリックビデオ風に歌詞のテロップが出てきたりと派手な演出があるものですが、その点LINKIN PARKは淡白。しかし、様々なエフェクトをかけていることにより、単調には思わせない絶妙な匙加減になっているんですよね。このポジティブな意味での色気のなさが彼らが纏うモダンな空気感に繋がっているように感じました。
また、曲間がシームレスに繋がっていく展開も興味深いポイント。
連続しない曲と曲の間では必ず電子音を駆使したSEが流れ、そのまま違和感なく次の曲へ、場合によっては冒頭のフレーズを組み込みながらなだれ込むように展開していました。
この無駄のない流れはまるでDJプレイのようで、そのようなロック以外の文化が取り入れられているからこそ、新鮮でモダンな印象を与えるショーとなっていたのではないかと思います。
ロックと電子音楽等の融合として、サウンド面でもその特徴は現れていました。
まあLINKIN PARKの一番重要な特徴といえばそれなので、もちろん音源で聴いた時から意識はしていましたが、いざ現地で聴くとより理解が深まりましたね。
とりわけ、Joe Hann(Turntables, Samples, etc.)とMikeのDJやサンプラー、キーボードによる変化自在かつ冷ややかな電子音の存在感は想像していた以上のもの。ソロコーナーや中期の曲ではバンドサウンドよりも全面に出て、その場を取り仕切るような風格がありました。
また、印象に残っているのが、Colin Brittain(dr)のソロコーナー(確か)で途中からJoeとMikeが加わった瞬間。パワフルなドラムに毒々しい電子音が絡まる様は鋭く刺激的で、これだけでもう十分ヘヴィーじゃん、と思わず背筋がぞくぞくするのを感じました。
そして、このLINKIN PARKのキャラクターを象徴する音色にバンドサウンドが加わってくると途端にロック由来の野太いパワーが宿ります。
Mike、Alex Feder(gt)(サポート)のギターとDave “Phoenix” Farrell(ba)のベースは曲によっては印象は薄め。それは当初単純に音が小さいのだろうか、と思ったほど。
しかし、「Two Faced」や「A Place for My Head」などヘヴィネスを押し出す曲では一気に前に出てきます。このメリハリのおかげで、こういう曲の爆発力が凄まじいことになるんですよね。
前述した中期の曲ではバンドサウンドがガンガン出て尖っているよりは、メロウな歌と電子音でポップかつある種幻想的な空気感の演出を選択。一方で衝動やパワーが際立つ曲ではバンドサウンドのギアを一気に上げるという対比は綺麗にハマっていて、オーディエンスのボルテージもそれに合わせて上下動を繰り返していたように思えます。
まあ何が言いたいかというとしっとりした後にヘヴィーなギターリフでぶち上がる、という流れを何度繰り返したことか…!!!という話です。
最後に、Emilyは生で聴いても上手かったです…。
前述した通り、確かにライブストリーミングや音源を聴いた感じだとフィットしている印象でしたが、同時に生で聴いてみないと分からない部分もあるとも感じていました。
しかし、生で聴いた後でも印象は変わらず。しっかり実力派のボーカリストでした。
音源でビシビシ感じるパワーはさいたまスーパーアリーナという大規模の会場でも申し分なく伝わってきましたし、ピッチも違和感のない安定したもの。シャウトもあの粒の粗さを維持しつつ随所で用いていて、質感のブレのなさには驚かされました。
また、疲れこそ見せつつも、最後までバテずにやり切ったスタミナも素晴らしいですね。もちろんあのLINKIN PARKのメンバーが納得して選んだ人物なので当たり前ですが、ツアーという不安定な環境の最中に、こんなに喉に負担のかかる曲をいくつも連続して歌うというシチュエーションで、よくこんなに質の高いパフォーマンスができるな、と改めて感心しました…。しかもそんな実力を持つボーカリストなのに、これまであまり知られてなかった(少なくとも自分は知らなかった)なんて、じゃあこのレベルのボーカリストは世の中に何人いるんだろうと考えると気が遠くなりますね。世界って広いんだなあ。
総括
以上、LINKIN PARKの感想でした。
復活、本当にめでたいですね。
活動休止期間中、海外フェスのラインナップなど見ていると彼らの不在の影響を感じることが多々あっただけに、このカムバックは大きいですね。
現時点ではこのツアー、【From Zero World Tour】が彼らの公開されているスケジュールとなりますが、それ以降の快進撃にも期待です。音楽的な方向性もどうなっていくのか気になるところです。
そしてもちろん再来日にも期待したいところ。数年以内にサマソニのヘッドライナーとかで来てくれないかな…。
そして次は2/23のLUNA SEA!!!!!!