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【INVINCIBLE SHIELD TOUR JAPAN 2024】Judas Priest at EX Theater ROPPONGI

経緯

Judas Priestを見に行ってきました〜
2019年のDOWNLOAD JAPAN以来の日本公演となる今回のツアー。IRON MAIDENを逃したことを後悔したのもあり、せめてこっちは行きたいなと。
当初はぴあアリーナ公演に行こうと思っていたのですが、なんとまさかの追加公演発表。
2000人規模の会場でJudas Priestが見られる機会なんて貴重ですし、金曜だったので休みを取れば連休になるしということでこっちに行くことにしました。

当日はまず原宿へ。
駅を降りて向かったのはラフォーレ原宿。
この時、期間限定でここの正面入り口右側の壁にhide with spread beaverのアー写が掲示されていたため、これを見に行くのが目的でした。
そして何故hide with spread beaverのアー写がこんな原宿のど真ん中に飾られることになったかというと、それはこのラフォーレ原宿にLEMONED SHOPが入居しているから。
hideが立ち上げたブランドであるLEMONEDの専門店、LEMONED SHOP。ついでにしっかり訪問しました。
店内にはhideゆかりの品々に加えて、彼らしい毒々しさとポップセンスを兼ね備えたグッズが沢山。自分はここで小物入れを買いました。何かギターのピックを持ち運ぶのにちょうどいい入れ物を探していたところだったのでちょうど良かったです。
しかもちょうどこの日はhideの誕生日で、こんなメモリアルな日に訪問できて良かったなと暖かい気分になりつつお店を出ました。
続いて原宿から千代田線に乗り、乃木坂駅で下車。
初めて使う駅だったため、見知らぬ景色に戸惑いながらも、なんとかGoogleマップに頼って六本木方面へ向かいました。
道中それらしき人と遭遇せず、不安を胸に宿しながら進みましたが、大通りに出てEX Theaterの前まで来るとそこには黒装束の集団が。メタルのライブでは見慣れた光景に安堵し、そのまま物販へ向かいました。
物販はスムーズに進み、自分はタオルを購入。本当はTシャツが欲しいところでしたが、お財布事情が厳しく断念。代わりに、せっかくの機会なので普段はあまり買わないタオルを手に取ることにしました。ちなみに帰ってこのタオルを改めてじっくり確認したのですが、シンプルなデザインやサイズ感にかなり満足。飾り方さえ確立できれば良いインテリアになりそうですし、タオルって結構乙なアイテムかもしれませんね…。
早々とグッズも買えたため、開場までの時間はコンビニで買ったスープを飲みつつ、2階部分のテラスで待機していました。
開場は18時。
2階のテラスからどんどん下へ降りていき、ロッカーとバーカウンターを経由してフロアへ。ビール片手にホールへ入場した際には、既にかなり人が入っている様子でした。
まあそもそも前方はゴールドスタンディング(VIP席的なもの)限定エリアだったため、一般チケットでは後方で見る以外の選択肢はないんですけどね。
そんなこんなで後方中央の位置に陣取ることに。後方とは言えど、キャパシティは2000もない会場なのでステージもしっかり見られる距離。Judas Priestを見ると考えると近すぎるくらいです。
さて、このEX Theater Roppongiを訪れるのは2回目。前回は2018年にSabatonとAmon Amarthを見た時でした。
ここはやはり天井が高くて解放感があるのが嬉しいですよね。そのせいでステージとの距離は近いのにスケール感は大きく、どデカいライブを前方で見ているような雰囲気に浸ることができます。
また、新しいライブハウスだけあって全体的に綺麗なのも良いところ。前述したサイズ感も相まってライブハウスというよりはホールのような雰囲気を感じます。
キャパに対して通路や出入り口は若干狭めではあると思いますが、まあ都心一等地なのでそれは仕方ないかなと。むしろこれだけの人数を縦のスペースをよく使って格納している事実にこそ驚くべきですね。

ライブ

開演は19時。
まだ客電もついている中、突如Black Sabbathの「War Pigs」が爆音で流れ始めました。
Black Sabbathもデカい音で聴くと重厚感が違うなあと思っているうちに暗転し、もう一曲SEが。こちらはなんの曲だか分からなかったのですが、後でセトリサイトを見ると「Invincible Shield Tour Anthem」と記載されていたので、単純に新しいSEなんだと思います。
そして本編は新譜から「Panic Attack」でスタート!!!!
…ですがイントロが始まっても幕は降りたまま。どうしたんだろうと思っていると、Rob Halford(vo)の歌が入るタイミングでバッと幕が開き、そこにはドラムセットを囲うようにメンバーが。この鮮やかな演出、さすがビッグなバンドは違いますね。
その後「You've Got Another Thing Coming」など続き、4曲目には「Breaking The Law」。
これでフロアは一気に沸騰。もちろんサビではブレイキンザロウ!ブレイキンザロウ!の大合唱でした。Robの煽りを受けてギターリフの大合唱も発生し、HEAVY METALらしい雄々しさをしっかり体感。この曲、シンプルなフレーズにしてはこういうHEAVY METALのツボも押さえていて改めて良くできた曲だなあと実感しました。いや、どっちかと言うとこれが全てのHEAVY METALの基礎みたいなものだから当然と言えば当然か…。
中盤はミドルテンポの曲が多め。しかも「Crown of Horns」以外は80年代の楽曲というセレクト。「Love Bites」とかもやってましたね。
「Sinner」、「Turbo Lover」という比較的こちらに声を出させる2曲でフロアをまた暖めた後、MC。
Robが50年以上メタルをプレイし続けているという話を出して、その流れでデビューアルバムである『Rocka Rolla』から一枚ずつアルバムタイトルの読み上げを開始。ラストの『Invincible Shield』を読み上げた後にはそのままタイトルトラックである「Invincible Shield」がスタート!!!!
打ち立ててきた歴史から最新作へと繋げるこの演出、過去の実績はもちろん、最新作でも実力を示していないと出来ない芸当ですよね…。ここもさすがはMETAL GOD。
そしてその「Invincible Shield」ですが、録音版に勝るとも劣らないクオリティー。ここまでの曲が80年代の曲が多かっただけに、一気にモダンなリフの圧力が襲いかかってきて、思わず衝撃が走りました。
それは自分だけではなかったようで、気づけばフロアにはメロイックサインが林立。
さらにはステージ上部に設置されていたバンドのシンボルがゆっくりと降下し、ビカビカと光るダイナミックな演出まで。フロアはこのスケール感にも沸いていました。
ライブの中間、MCを挟んだタイミングでキーとなる曲を演奏するというのはよくある構成かなと思いますが、それを最新の曲で堂々とやってのけ、しかもしっかり盛り上がるのがJudas Priestの姿勢とその成果を示していたと思います。この”現役感”を体感すると、HEAVY METALまだまだやれんじゃねーかという感想を抱けること間違いなしです。
「Victim of Changes」等挟みつつ、本編ラストは「Painkiller」!!!!!
Scott Travis(dr)のMCからあのドラムイントロが始まり、思わず雄叫びを上げました。録音版とは違うより太いドラムの音色のおかげで、目の前でこの曲が演奏されている光景に現実味を感じて興奮しましたね。
そしてこの日演奏された他の曲と比べてやたら手数が多いこともよく分かりました。それでもScottは難なくこなしていたのですが…。
もちろんイントロ後もこの曲で大盛り上がり。スウィープの嵐のギターソロやRobのハイトーン(辛そうだったとはいえ)もしっかり堪能しました。
そしてアンコールは「The Hellion」から。
正直ここがこの日で一番の盛り上がりだったのではないでしょうか。フロア全体であの雄々しいリフの大合唱が響いていて、期待と喜びに満ちているのが手に取るように分かりました。
その期待に応えるように続いたのはもちろん「Electric Eye」。
個人的にはここがこの日のハイライト。もう全てがHEAVY METALでした。
イントロの鋭いリフも、Aメロの刻みも、サビ前のメロディーが迫り上がってくる感覚も、サビの大合唱(そこまでエピックな歌メロではないのに)も、ギターソロも全てがHEAVY METAL。
ステージのバックに流されていた、人工衛星やらメカ目玉やらのダサい()アニメーションだってHEAVY METAL。あのあからさまなイメージを全力で投げかけてくるのが潔いんです。
そのあまりにも純度の高いHEAVY METALを浴びたせいか、サビを歌いながら思わず涙がこぼれそうになりました。やっぱり求めていたものがしっかり出されるとシンプルにめちゃくちゃ嬉しいですね。
これなんだよ、これなんだよ…!と心の中で何度も頷きながらステージを見ていました。
続くのは「Hell Bent For Leather」。ここではRobがしっかりハーレーダビッドソンに乗って登場。前も見た気がするけどやっぱりこれも感慨深い。レザーにデカいバイクとHEAVY METAL。本人たちからすれば自分達が作り上げたスタイルだから当然かもしれませんが、メタル後追い勢からしたらこれが本物か!という驚きと敬意を感じられる瞬間です。やっぱりHEAVY METALはこうじゃなくちゃ。とにかくド級のスケールと”カッコいい”を詰め込んでいてなくては。
ラストは「Living After Midnight」。
AC/DCのような明るさもあるメロディーはハリウッド映画のエンディングのようで、締めには最適でした。サビのフレーズを歌うのも楽しいですし。
一方、途中からRobが客席に向けて手を振り始め、それを見るともう終わってしまうんだなという寂しさも感じました。
予定通りこの曲で終了。SEでQueenの「We Are The Champions」が流れて客電が点きました。

さて、まず今回感じたことですが、Scottのドラムが上手すぎる…!
一音一音にパワーがありますし、何より安定感が段違い。今回のセットリスト内の楽曲自体は何十年の前のものだらけなのに、古臭い匂いが全くしなかったのは彼のドラミングありきのものでしょう。モダンなメタルにも近い引き締まった演奏でした。
「Painkiller」などのタム回しの多い複雑なフレーズも難なく叩きこなしているのも見事でした。いくらアルバムでも本人が叩いているフレーズとはいえ、60代であのプレイが可能だとは…。
もちろん他のメンバーも負けない存在感。
まずIan Hill(ba)のサウンドが割と前面に出ていたのは意外でした。でも確かにJudas Priest自体ハードロックらしさもあるメタルとしてはプロトタイプのサウンドなので、ギターの低音が(現代のメタルと比べると)弱く、その分ベースの存在感が増しているという特徴があるんですよね。
そんな彼のサウンドが時折ヌッと顔を出してくると、確かに低音でバンドを支えているのがよく分かりました。
また、「Electric Eye」のいつぞやのライブ映像で見たベースのヘッドを上げ下げするムーブも見れて満足です。これ、本当にやるんだ…!
Richie Faulkner(gt)とAndy Sneap(gt)はサウンドがHEAVY METALとして最高のもの。
特にリードフレーズでは、空間系のエフェクトを駆使して艶と少しばかりの残響感をサウンドに加味することで、より芯の太いリード/ソロフレーズが場を支配する形に。HEAVY METALたるもの、リードギターが火を吹いてこそなので、個人的にはこの仕上がりには大満足。
また、Glenn TiptonやK.K.Downingのライブにおけるサウンドは知らないのですが、現職の2人のサウンドは気持ちモダンに感じました。やはり若いメンバーなだけあって使用機材も新しめのものだったりするんでしょうか…?
演奏面では、割と自由に弾いていた印象。キーを下げていることもありますが、それに加えてギターソロなどにも結構アレンジが入っていたように感じます。自分としては、最近ギターで練習している「Painkiller」(全く弾けるようにならない)のギターソロ部分を確認しようと思ったら原曲のそれとは割と違っていて断念。まあ折角新しいメンバーでやっているのですから、彼らのオリジナリティーが入っていなきゃ勿体無いですもんね。むしろそれを自由にやってもらおうというIan、Scott、Robのスタンスを感じました。実際かなり弾き倒していて魅力的でしたし。
そしてRobも本当に73歳なのだろうか。長旅の疲れを全く感じさせない見事なパフォーマンスでした。
確かにキーは下げているとはいえ、声自体はしっかり出ていましたし、ハイトーンもかなり安定。見るからに厳しそうだったのは「Painkiller」くらいのものです。
また、盛り上げるためフロアにマイクを向けることはあれど、基本的には自ら歌い切るスタイルだったことは特筆すべきでしょう。それで「Living After Midnight」までちゃんとパワフルな声で歌い切っていました。
正直ここまでパワフルだとは予想していなかったので驚きましたね。そんじょそこらの若手ミュージシャンよりよっぽど安定したパフォーマンスでした。しかも地球の反対側くらいまでの移動と乾燥するホテル暮らしを経ている訳ですから、普段はよりクオリティーが高いのか、もしくは加齢や環境の変化に負けないコンディション維持の努力に全力を注いでいるのか…。とにかくこれが個人的に最高のサプライズでした。このレベルのJudas Priestを見ることができた事実を誇っていきたい次第です。

また、音響はかなり良く、全パートバランス良く聴こえました。
低音は響きすぎず、高音はキンキンしないという、イコライジング的な観点から見てもかなり巧みだったと思います。おかげで演奏とメロディーに全力で集中することができたのはありがたい限りです。
前にSabatonを見た時の記憶がないのですが、やはりEx Theaterの構造や設備がプラスに働いていたりするんですかね…。周りでぴあアリーナ公演より音が良かったという話を耳にしたため、そういった点で違いが生まれたのかなと思いました。とりあえず自分は今回で音が良い会場という印象を抱きました。次に行く時もそうであってくれ…。

そして、最後に今回改めて気付いたのは、Judas Priestは思ったよりハードロックっぽい音像であるということ。
特に80年代の曲ですね。AC/DCやAerosmithに近い音色やグルーヴを感じた瞬間が多く、やはりそのへんと共通している要素は多いんだなと。もちろんJudas Priestがそれらのバンドと同時期に登場し、そして段々と硬質化していったという歴史は知っていました。しかし、改めて生でサウンドを浴びてみると、ハードロックをコアとしていることがスッと理解できたんですよね。
同時に、スラッシーな刻みリフや明らかに硬いギターサウンドは今日のメタルとも共通するもので、その衝撃と攻撃力は現在でも全然戦えるもの。
この過渡期的なサウンドを目の当たりにすると、このバンドがHEAVY METALを作り上げたという事実を直感的に理解することができ、その実績と偉大さにただただ圧倒されるばかりでした。
例えていうなら歴史的建造物を訪れるようなものでしょうか。自分の知らない時代からこの世界に存在していて、歴史に多大なる影響を与えた存在を知覚した時、知識と五感がなかなかリンクしないあの感覚。そんな感覚を覚えた一夜でした。

総括

以上、Judas Priestのライブレポでした。
やっぱりHEAVY METAL、最高ですね。
重厚&キレッキレのギター、パワフルなドラム、低音でアンサンブルを支えるベース、これまたパワフルなボーカル、それに粗野な歓声…。全てが心地よいひと時でした。
来年以降もこの感動を味わうために幾多のライブに足を運ぶことになるでしょう。
そして、この公演が自分の2024年ラストライブ。
1月のKalmahからJudas Priestまで、今年行ったライブは総計17本でした。いや、どれもいい思い出ばかりのライブでした…。ベストアクト/ライブなんかも余裕があれば考えてみたいと思います。
そして次のライブは1/19のL’Arc〜en〜Ciel!!!!!!
まさか2年連続で見られるなんて…。前回聴けてない曲を山ほど聴けたらいいな。

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