【TOUR24 WHO IS THIS HELL FOR?】DIR EN GREY at Zepp Haneda 11/13
経緯
DIR EN GREYのライブに行ってきました〜
2枚のシングルのリリースや海外ツアーなど2024年も精力的に活動するDIR EN GREY。
5月には『GAUZE』期の楽曲を惜しみなくプレイするツアー【TOUR24 PSYCHONNECT】を開催。自分は相模原での公演に行きましたが、生では一生聴けないんだろうなと思っていた曲が次々と演奏され感無量でした。
その後、今回のツアー【TOUR24 WHO IS THIS HELL FOR?】の開催が決定。
ツアー告知画像のカラーリングは『The Devil In Me』を想起させるものだったため、そんなディル、つまりディープで濃厚なDIR EN GREYが見られるのではないかと思い、即座に参加を決意しました。
(まあどんなツアーであれ行きますが…)
なお、個人的には1年間で2回このバンドを見るのは初めて。前までは田舎の大学に通っていたため、帰省もしくはDIR EN GREYがツアーで近隣の県に来る際しかライブに参加する機会がなく、年に1回彼らを見られれば良い方といった具合でした。お金もありませんでしたし。
それが今や特に苦労もせず1年に2回もDIR EN GREYが拝めるとは。首都圏で働く選択をした過去の自分に感謝です。
今回のツアーですが、首都圏で参加する場合、(a knot限定公演を抜きにすると)選択肢は横浜か羽田の2択。正直自分の家からはどちらも遠いため、まだ訪れたことのない羽田に行くことにしました。
そしてツアーはCLUB CITTA’でのa knot(ファンクラブ)限定公演からスタート。終演後、セトリがSNS上に流れると、その選曲にどこもかしこも大盛り上がり。自分もあまりの充実度に興奮しつつ当日まで過ごしました。
そして迎えた当日。
午後休を取得し、まず家から羽田へ。
途中川崎駅付近をふらついたりしつつ、天空橋駅に着いたのは16時半ごろ。
地下のホームから地上に上がると、綺麗に整えられたテラスのような場所に行き着き、あまり構造もよくわからないままとりあえずZepp Hanedaへ向かうことにしました。
結局テラスをひたすら進んで現地に到着。まずは物販の列に並びました。
売り切れていないか心配していたのですが、無事にTシャツを購入。意外とあっさり買えたので、在庫多いのかなと思っていましたが、どうやら17時ごろには色々と売り切れが続出していたよう。まず物販に向かって正解でした。
その後はしばらく周辺をふらふら。
なんでも辺り一帯は羽田イノベーションシティという複合施設となっているようで、Zepp Hanedaもその一区画なんだとか。
そのため、会場のすぐそばにはオフィスやお店もちらほら。感覚としてはショッピングモールというよりはオフィス街の一角、というような感じです。
羽田空港が近いせいか航空関連のオフィスがあったり、全体的なデザインもモダンで、どこか空港らしさが感じられるのも興味深いポイントでした。
また、カフェやレストランもいくつかあったのは嬉しいところ。こういう郊外の会場では開演前や終演後の居場所は重要ですからね。
開場は18:10。その直前にロッカーに上着と荷物を収納。待機列へ向かいました。
フロアは暑いだろうと考え、ここで半袖1枚になったわけですが、これがまあ寒い。
風が吹き荒ぶ中、凍えながら立ち尽くすはめになりました。
開場のかなり前から半袖で歩く虜が何人もいたため、意外と辛くないのかな…?と思っていましたが案の定キツかったですね。虜、気合いで発熱とかしているんだろうか。
自分の整番は1000番台だったため、テラス上の待機列で待つこと30分ほど。19時前ごろにやっと入場の順番が回ってきました。
いくら1000番台とはいえ、普段はここまで待つ印象はなかったのですが、どうも今回は遅れているそうで、スタッフ陣の慌ただしさが見て取れました。
結局わたわたしながら建物の中に入り、一息つく間も無く一目散にフロアへ。
流石にもうかなりの人が入っていましたが、フロア最後尾の一段上がった辺りのエリアが空いていたため、そちらに入り込んで開演を待ちました。
さて、前述しましたがZepp Hanedaに来るのは今回が初めて。
とは言っても特筆すべき特徴はなく、綺麗な大きめのライブハウスだなという印象。KT Zepp YOKOHAMAと同じ印象です(Zepp Shinjukuはむしろこう見ると少し異色ですね)。
強いて言えばディル恒例のパネルが入場口の前に設置されていて、開場前から見られるようになっていたのはありがたかったですね。入場後にパネルの前でまた人だかりができるので…。
ちなみに、BUCK-TICKから花が来ていました。毎回あるわけではないし、なんで今回あったんだろう。
ライブ
19時開演予定でしたが、入場の混乱もあってか、数分遅れて開演。むしろもっと遅れてもおかしくないと身構えていただけに、少し安心しました。
暗転してSEが流れる中、メンバーがサッと登場。普段はもう少しゆっくり出てきている印象がありますが、やはり時間を気にされていたのでしょうか…?
そして本編は「流転の塔」からスタート!この曲から来るとは…と思っているうちに続いたのは「AMON」。先週の公演からの変化および選曲の意外性には驚き。いや、セトリ全編を見ると筋が通っているのですが、それにしてもこの2曲から始めるとは。『DUM SPIRO SPERO』期の難しさと重厚感がいきなり全力で叩きつけられるとはさすがに思っていませんでした。
3曲目は「激しさとこの胸の中で絡み付いた灼熱の闇」。ここで会場のボルテージは一段アップ。自分も一気にテンションが上がりました。重厚感とカタルシスを併せ持つこの時期の代表曲。自分も中学生くらいの頃から愛聴しています。最近もライブで聴く機会がありましたが、やはり何度聴いてもいいものです。
その後も『ARCHE』から「Phenomenon」、『The Insulated World』から「谿壑の欲」と美しく重厚なDIR EN GREYワールドが展開されていきます。
そしてライブは中盤に入り、まず演奏されたのは再構築版の「蜜と唾」。規制なしの歌詞が飛び交う映像をバックに、京のグロウルをしっかり堪能しました。この曲、音源で聴くとあまりにドゥームでもはや轟音なので従来のDIR EN GREYの曲とは楽しみ方が違うな、と思っていました。しかし、ライブで聴くとまた印象が変わりますね。確かに無機質なリフの壁をただぶつけられていることには変わりないのですが、それだけにボーカルラインの変化が微細に感じ取れるので、京のスクリームがダイレクトに響きます。しかも京のグロウルは深いところからぐわっと迫ってくる感覚があり、それがバカでかいスピーカーを通して発せられるわけだからもう強い。このおどろおどろしさは一級品ですね。
そして続くは「DIABOLOS」!!!!
いや、この曲を遂に生で聴けるとは。『DUM SPIRO SPERO』の曲をやらなくなってからこのバンドのライブに通っているので、まさかこの曲が演奏される場面に立ち会えるとは思ってもいませんでした(続く「VINUSHKA」もそうですが)…。そして改めて気づいたのですが、この曲やっぱり構造が複雑。どうしてもサビのメロディーが穏やかなだけに、パワーバラードのイメージがあったのですが、それだけに収まらないのがこのバンドの長尺曲。気が付けばこの時期らしいぶっとい音でギュルギュルとリフが奏でられ、そして疾走。こんな曲だったっけ…でも確かに全部知ってるメロディーだからこれかあ…と思いながらステージを見つめていました。そんな「DIABOLOS」でしたが、ライブ感は満載。中盤の語りも変えてくるし(これは今までの傾向考えるとありそうだったけれど)、”Blue Velvet”の部分は歌わせてくれるしで意外と柔軟。完全に魅せるパフォーマンスをしてくるかと思っただけに、意表を突かれた形です。
そして今回のセトリの目玉、「VINUSHKA」が降臨…!!!!!
流石にイントロが流れただけでなんか感慨深くなってしまいました。そしてこっちはもう完全に一方的なもの(いや、なんか煽られたような気もしてきた…よく覚えてないけど)。
本来なら五感フル動員してこの瞬間を記憶に留めるべき…ですが、正直よく覚えてません。
というのも、何に集中するべきかわからなかったから。まず演奏。目の前で「VINUSHKA」が演奏されている、この時点で脳のリソースは裂かれる。しかし、バックで流れるはあのMV。「OBSCURE」や「Revelation of mankind」と並ぶ名MVですよ。この衝撃的な映像とその奥に流れる強いメッセージを、生演奏を贅沢にもBGMにして堪能すべきではないのか。頭の片隅ではそう感じて、目はスクリーンへと向かいます。でも疾走パートでは首が勝手に回ってヘドバンをしてしまう始末。最後までどうすればいいんだ〜!!!と思っていました。この曲のためだけにもう1公演行くべきだったかもしれない。
なんとこの後に来たのが再構築版「OBSCURE」。正直このイントロがこの日で一番テンション上がったかもしれない。
まあどっちが好きかと言われたら原曲の方だけど、それでもこのギターリフを聴くと身体中の血液が一気に沸騰するような気がしますし、刻みリフがガツンと来た瞬間助走つけてヘドバンしてしまいます。
そんなこんなで「Values of Madness」と「The inferno」を続けて本編は締め。
恒例のアンコール大合唱ののち、「The Devil In Me」からアンコールはスタート。このドロドロ感が今回のセトリにはマッチしていました。引きずるようなリフワークはそれこそ再構築版「蜜と唾」にも通づるところがあり(最も音作りは全然違いますが)、何か意図するところが見えてきたような気がしました。
ですがその後は割と暴れ系の曲。「落ちたことのある空」から「鱗」という流れでした。
個人的には「鱗」が嬉しかったですね。ちょうど『ARCHE』が出た辺りからこのバンドを聴いているので、やっぱ青春です。中学生の頃の自分の心の拠り所でした。
この日はバックでMVが流れていて、このガラスケースにメンバーが入って演奏するシーン、何度も見たなあと感傷に浸りました。
ラストの曲は「Eddie」。
京はいつもの通りサッとはけ、他のメンバーはスティックやらピックやらを客席に投げ込んでからステージを降りました。1時間40分ほどのライブでした。
セトリの印象としては、やはりマニアックかつ重厚というもの。ある意味非常にDIR EN GREYらしいものですね。
アップテンポのナンバーもありましたが、セトリ全体を見ると「AMON」などミドルテンポで掴みにくいような楽曲が多め。そういった意味では(前述しましたが)「The Devil In Me」と流れる雰囲気は似たものがありました。
また、前作より音の密度を減らした『ARCHE』からも「Phenomenon」や「禍夜想」(これは同ツアーの他の日ですが)など、らしくない曲がピンポイントに選ばれていたり、「Ranunculus」や「朧」などの最近のバラードなども含まれていないことから、今回のセトリには”面妖で不可解”なDIR EN GREYというコンセプトが一貫して存在するのではないかと推測します。
そんな感じでセトリはなかなか興味深いものでしたが、サウンド面はいつものライブハウスのDIR EN GREYといった感じ。
最初耳栓をつけていたらギターの主張が弱く聴こえたので、外してみたらバランス的には良さげ。耳栓によってカットされていた高音域にギターのサウンドが寄っていたのか、そこでやっと全体的な音の輪郭が掴めるようになりました。
特に京の声が綺麗に抜けていたのは良かったです。様々な歌唱法を駆使する中で、全てのシチュエーションでそれぞれに適合した響きを実現していたように感じました(グロウルなら低音の深みと歪みのエッジの共存を、クリーンなら鋭い美しさを)。
また、ボーカルのエフェクトはいつものことながら、今回はドラムのサウンドのエフェクトも巧みに使い分けていたようでした。
曲やシーンによってディレイがかかっていたり、スネアの音がくぐもったように聴こえたりと割と思い切った変化を与えていたように感じましたが、気のせいじゃないですよね…。
(ドラム未経験なのでドラムのサウンドに関する感性が磨かれておらず、自信がありません)
一方、ギターは音の感触が硬く、キンキンする箇所もありました。まあこれは最近の彼らの音作りの傾向なのですが、ちょっと今回は浮いていた箇所もあったかも。
まあ、総じて言えることですが、音響面ではホールの方が好きですね。ライブハウスでも悪いわけではないけれど、ホールだと化けるバンドだと思っています。
なお、ルックス面で目立ったのはToshiyaと京の変化。Toshiyaの衣装は前回のドレスらしきものから一変、長い袖がついた(語彙力…)衣装になっていました。しかも、ただ無駄に長い袖を持て余すことはせず、せっかくだからなのかよく舞っていました。Toshiya、やっぱりステージ上での動きが多くていいですね。なお、アンコールでは衣装を変えて登場。上裸にジャケットらしきものを羽織った姿になっていて、合間から覗く腹筋が眩しかったです。Toshiya、やっぱめっちゃかっこいい…。
一方、京はほぼノーメイク(目元にワンポイントなんかあったそうですが、最後列からじゃ見えなかった)。最近このバンドでは人間辞めてるような外見で出てくることが多かっただけに、意外。ノーメイクというと『Withering to death.』期を想起させますが、今回はあまり関係ないし…。
なお、終演後にShinyaがドラムスティックを投げようとお立ち台に立った瞬間、あまりの足の細さに驚きました。あれでこのバンドを支えているんだからすごい。
Dieはそこまで変わっていませんでしたが、薫はちょっと変化。薫の最近の路線、個人的に好きなんですよね。老いとヴィジュアル系の狭間における最適解の一つだと思っています。
総括
以上、DIR EN GREYのライブでした。
正直過去一掴みづらいライブだったと思います。
暴れ曲もあったはずなのに、何かじっとりとした感触が残る、そんな一夜でした。
事実、公演終了後、すぐ我に帰り妙な現実感を抱きつつ帰宅しました。
普段であれば、もうちょっと夢見心地でぼうっとしながらなんとか帰途につくのですが、この日は違いましたね。
まあ、でもこれがDIR EN GREYというバンドなのかなと思います。
露骨にウケを狙わず、ひたすら自己流のアートを追求する。最近初期曲ツアーとかあったのでアレですが、本来そういう姿勢のバンドです。
ですが、今までであれば、そのように新たな方向性を示す際は新譜を提示するのみであったところ、今回は別のベクトルの過去曲でそれをやってのけた辺り、このバンドのキャリアの長さとレガシーを感じますね。
まあ本人たちが何を意図していたかは本人たちのみぞ知ることなので、自分の邪推が正しいかは分かりませんが…。
そして、先日の薫のツイートから新譜の作成に突入することが判明しましたが、もしかしたら今回のセトリは何かその内容を示唆するものだったでしょうか…。おそらく来年の今頃にはリリース、くらいのペースで作っていくのではないかと思いますが、答え合わせが楽しみです。
さて、次のライブは頭を切り替えて11/20のRISE OF THE NORTHSTAR!!!!(もう行ってきたんだけど)